サッカー審判TIPS(690)
オフサイドポジション?
高校サッカー選手権大会、決勝に進出する千葉県代表流通経済大学柏高校が3回戦で石川県代表の星稜高校と対戦した試合での決勝点について思ったこと。
この得点は右からのコーナーキックを流経のDF関川選手がヘディングで決めたもの。
しかし試合の録画を見ていたら、GKの前に立っていた流経の選手がGKのセービングの邪魔になったのではないかと思われた。このとき、オフサイドポジションにいたかどうかが問題になる。
彼がオフサイドポジションにいたのではなく、そしてGKの守備を意図的に邪魔しようとしていたのでなければ、そこにいることによって結果的にGKの視線を遮りプレーの邪魔になってしまったとしても反則を取られることにはならない。
意図的にGKがボールに向かおうとすることを邪魔したとしたら「身体的接触なしで相手競技者の進行を妨げる」反則(競技規則2018/19の12条、103ページ)を取られることになる。
映像を見ると、この選手はGKの動きを邪魔しようとしていたようには見えない。またボールに対してプレーしようともしていない。シュートの行方を追っているだけだ。
もし、彼がオフサイドポジションにいたとしたらどうだろう。
GKは彼のすぐ後ろをセービングで飛んでいる。GKの視点で見ればこのFWの選手の存在は視界に入っていて、シュートコースに飛ぼうとした際に何らかの影響を与えていなかったとは言い切れないだろう。たとえ動かずにいたとしてもだ。
競技規則97ページ(11条オフサイド)にはGKの視界を遮ってプレーに影響を与えた場合はオフサイドの反則となる、とある。この画面だけ見るとそのように判断されてもやむを得ない。
で、結局得点が認められたということは、彼はオフサイドポジションにいなかったということなのではないかと思われる。
失点した星稜からも「オフサイド」のアピールが無かったので、このFWの選手の位置はセーフだったのだろう。

