サッカー審判TIPS(204)
PK戦時の人数調整
タイトルを見て、「あー知ってるよ。10人対11人でPK戦に突入したら、多い方のチームから一人ベンチに下げさせて10人対10人でやるんだよね」と思ったあなた。
その判断は正しいです。
実戦ではその通りにやってください。
さて、先日行なわれたトーナメント戦ではPK戦(勝者を決定するためのペナルティーマークからのキック)が何度か行なわれた。
そのうちの一つの試合でのこと。
両チーム11人揃っていたので、コイントスして先攻後攻を決め、普通にPK戦が開始された。
すると、競技進行中に片方のチームの一人が突然鼻血を出してしまった。
別に相手選手と接触があったわけではなく、センターサークル内に座っている最中にだ。
原因はともあれ、ベンチに下げ治療に当たらせた。
そこまではよい。
その後、もう一方のチームの一番後ろに並んでいた選手にベンチに下がるように指示し10人対10人にしてしまった。
これは処理が間違いです。
人数を合わせるのはPK戦が始まるときだけです。
主審の方はそのことはちゃんと頭に入っていたのですが、PK戦の最中に人数に差が生じた場合にも合わせなければならないと拡大解釈をしていたようです。
(ルールブックの「審判員への追加指示」のところに「キック開始時にのみ人数を合わせる」と記載されています)
幸い、6人目で決着がつき10人目までまわってくることにはなりませんでしたので結果オーライではありますが…。
しかし、10人対11人でPK戦を行なわないというルールの背景には、一方の11人目ともう一方(人数の少ないチーム)の1人目が当たることになるので技量や度胸、経験の差が大きい選手が対戦することになるので人数の少ないチームに有利になることを防ぐ、という意味合いがあると思う。
進行途中で退場やケガで人数が減ったチームが上記の精神を適用されることもなく有利になってしまうのは、相手チームにとってちょっと可哀相な感じがする。
しかしルールはルールですから、今後自分が審判を行なう場合は間違えずに適用したいと思う。