サッカー審判TIPS(153)
ボールの位置を直すのは警告?
我がチームが守備をしているときに実際にあった話。
相手が持つボールにタックルに行く。
ボールを奪えず相手を倒してしまいフリーキック。
ここまでは良い。よくあることだ。
ところが、相手チームがフリーキックを蹴るにあたりボールをどんどん前に出してしまう。
「おいおい、ファウルをしたのは悪いことだがポイントが違うだろ」
ということでボールを拾ってファウルが起こった地点まで下げてそこにポンとボールを置いた。
ボールを蹴ろうとした相手は当然文句を言う。
「勝手に動かすなよ!」と。
そしてイエローカードが出た。
果たしてこの判定は正しいのか。
ファウルを犯したのは良くない。
しかしそれは相手チームにフリーキックを与えたことで既に罰せられている。
だからこれでイーブンだ。
そしてフリーキックはファウルのあった地点から蹴るのがルール。
だから与えられたフリーキックを蹴る位置を極端に前に出すのは反スポーツマン行為とも言える。
スローインだってボールが出た位置からの再開だ。極端に前の位置からのスローインは笛で戻されるし、投げてしまった後だと相手チームのスローインだ。
キックの位置が違うとうことをアピールすることは守備側の正当な権利。
守備側の選手、ここは「ボールを蹴らせないように前に立って主審にアピールする」というのはいかがだろう。
前に立つとはいっても真ん前では逆に「規定の距離を守らない」として警告を食らう。
2、3メートル離れてボールのほうではなく主審の方を向いて「もっと後ろだよー」とアピールすれば警告は出しにくい。
本当に位置が違うと思えば蹴られる前にすぐ笛を吹き位置を戻させる。
例えば自陣から蹴るような場合で大勢に影響がないような場合は早く蹴らせるためアピールを採用せず、逆に離れるよう手で合図しよう。
逆にゴールに近いような場合は素早く蹴られる前にポイントに移動し、「はい、ここから」という声ともに指でキックの場所を差そう。そしてボールを置く選手に「すぐ蹴るか」聞いて、セレモニーを行なうかどうか判断する。
さて、冒頭のケースに戻ろう。
ボールの位置を勝手に直してしまったことだ。
残念ながら、これは警告をもらっても仕方がないことだと思う。
自分でボールを動かさずに主審にアピールすることが正しい対応だったのではないだろうか。
こういうことをさせずに済むように、私はフリーキックを与えるときはポイントを指示するようにしている。