サッカー審判TIPS(131) タイムアップの笛 | サッカー審判KenKenのブログ

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タイムアップの笛


この「タイムアップ」には前半終了と後半終了の両方に適用できる。
これをどういうタイミングで吹くかということを今回は書いてみよう。

サッカーの試合はボールがインプレーの状態とアウトオブプレーの状態に分けられる。
本来であればアウトオブプレーの時間は合算して最後に試合時間に加算されなければならない。
本当に厳密にやれば、スローインのボールを取りに行ったり、ゴールラインを割ったボールがゴールエリアやコーナーアークに置かれてから蹴られて動くまでの時間もロスタイムとして勘定し、ボールが動いてインプレーになってから時計を動かすべきなのだ。
アメリカンフットボールなどはそうやるだろう。
ボールがインプレーになってから時計が動き出し、ボールが止まると時計も止まる。

サッカーではそこまで厳密にはやらない。
しかし、前後半の終了が近くなるとそのあたりが急に厳密になったりする。
ロスタイムにコーナーキックのチャンスが生じたりする場合などだ。

それまでだったらボールを取りに行く時間をロスタイムとして追加するようなことはしていないのに、
最後にコーナーを蹴らせて終わろうなどと考えたりすると、加算した時間が過ぎているのに蹴るまで、
あるいは蹴ってしばらくプレーを続けさせて結果が出るまで待とうとしてしまう。

タイムアップの笛は「インプレー中」に吹くことができれば望ましい。
しかし、「アウトオブプレー中」にタイムアップになりそうな場合はどうしたものだろう。
Jの主審たちはどうしているのか私はわからない。

私は、できるだけアウトオブプレー中に笛を吹きたくないので、最後にコーナーキックを蹴らせて終わらせる。結果としてロスタイムを余分に取ってしまうことになるかもしれないが、それは「コーナーキックのためにボールを取りに行っている時間を細かく『アウトオブプレー』としてカウントした」ことにして自分を納得させる。
もしボールを取りに行く前に、つまりボールがゴールラインを割った時点で競技時間終了が到来すれば笛を吹く。まだ時間が残っていたらコーナーキックのボールが蹴られるまで待つ、という扱いをしている。

コーナーキックからワンプレー、ツープレーでゴールなりクリアーなり結果が出ればそこで笛を吹く。

かつてワールドカップの試合で終了間際のコーナーキックをヘディングシュートで決めたケースがあったが得点が認められなかった。スロービデオで見ると、コーナーキックのボールがまだ空中に浮いていてゴール前に到達する前に主審が手を上げて合図をし、終了のホイッスルを吹いているのが映っていた。
これは極端な例だが…。


昨夜の日本代表vsタイ代表の試合で前半終了間際にコーナーキックに向かった中村憲剛がボールを置こうとした時点で笛を吹かれてしまった。
取りに行ってボールをセットしようとするのに十数秒かかったかもしれない。それならばボールがゴールラインを割ってアウトオブプレーになった瞬間からコーナーキックが蹴られるまでロスタイムを取ってほしいな。そしてキックを蹴らせてほしい。あるいは蹴らせないのであればボールを取りに行く前に笛を吹いてハーフタイムを宣告してほしかった。
アウトオブプレー中に笛が鳴るのは個人的には少し違和感がある。