サッカー審判TIPS(109)
PK戦の進め方(3)
前2回、PK戦(PMK)について書いたところ、ちょうどタイムリーなことに本日の3年生の大会でPK戦(PMK)を行なうことになった。
我が少年団の3年生の子供たちは人数がギリギリである。本日、風邪による欠席者が出て10人で大会に臨むことになった。朝一の試合、善戦むなしく勝ち越せず1-1の同点で終了したためPK戦を行なうことになった。
コーチとしてベンチ入りしていた私は、主審に向かって「うちは10人だから相手の選手をひとりベンチに下げてくれるんですよね」と声をかける。
主審は「わかってます」というようにうなずく。
まー、11人目まで順番が回ってくることはないだろうからそんなに気にすることはないのだが、昨日ルールブックに目を通しなおしたところなのでちょっとばかりこだわってみたかった。
ところが主審は相手チームの選手を誰もベンチに戻さずゴールに向かって歩き出すではないか。
私はピッチに入って行って主審を呼び止め、「ルールでは同じ人数にしてPK戦を行なうんですよね。相手選手を誰かひとり減らさないとまずくないですか」と質問する。
するとこういう返事が返ってきた。
それはわかっています。でもひとりだけベンチに下げるのは可哀相なのでこのままやります。
11人目として蹴らせないよということは理解しているようだが、これはないだろう。
大会規定としてローカルルールを決めることはよくある。
ただし、主審の判断で勝手に適用を変えてはまずかろう。
しかもそれを両チームの選手、コーチの誰にも宣言していない。
ここでルールを持ち出して議論したところで進行が遅れるだけである。
空気の読める私は、ここで引き下がることにした。でもひとこと言いたい。
「では、ルールを変えてやるのであればベンチに説明があっても良いのではないでしょうか」とコメント。
「はい、わかりました。すみません」
ということで10人対11人でPMKが始まった。
さて、可哀相だからといってルールの適用を主審の判断で勝手に変えてしまうのはいいのだろうか。
本当に11人目まで回ってきたときにその子を飛ばして1番目の選手に蹴らせることになるのだから、それはそれで可哀相だろう。
私だったら、せっかくの機会だから子供たちにルールを説明して一人ベンチに下げさせるだろう。
子供たちにしても、10人対11人でPMKを行なうチャンスはあまりない。
だから、このような場合にはこういう運用になるのだよということを教えておくと将来似たような場面に出くわしたときに混乱しない。
この方が教育的に価値があると思う。
ベンチに下げる子もルールだから仕方がないと思ってもらわないとへんに甘やかすことになる。
逆に、私が人数の多いチームのほうだったらPMKの前に迷わず「お~い、○○!ベンチに下がれ~」と11人目を呼び戻し、私の隣に座らせて観戦させるだろう。だって、そうしないと自チームの11人目、まああまりうまくない子が相手チームの1人目、多分エース、と当たることになるのだからね。
結局6人目で決着がつき、我がチームは敗退となった。チャンチャン。