サッカー審判TIPS(31)
給水タイム
少年団の試合が炎天下で行なわれる場合、よく前後半とも半分くらい過ぎたあたりで給水タイムを取る。
審判が、プレーの切れ目で「給水ターイム」と宣言して選手を一斉にベンチ前に帰して水を飲ませるのだ。
これには以下の理由がある。
ルール上は、選手はアウトオブプレーのときにタッチライン上あるいはゴールライン上にて給水することができる。
大人だったら、自分の体が今水を欲していると判断して早めに給水をすることもできるし、今ならチームに迷惑をかけないから、とか判断してちゃちゃっと水分補給したりできる。
しかし小学生だと、水を飲まずに頑張っちゃったりする選手がいたり、水を飲もうとしたらコーチから「こら、水なんて飲んでる場合か」とか「早くボールを追いかけろ」などと怒られたりする場合がある。
それに子供はすぐに水不足になりやすい。だから強制的に一斉に水分を取らせるのだ。
このとき注意することは以下の通り。
(1)天然芝あるいは人工芝のピッチ上に持ち込む飲料は基本的に水のみとする。
これは糖分やその他の成分が含まれている飲料がピッチ上にこぼれた場合、あとでベタベタしたり
芝を傷めたりする場合を懸念しているからだ。
(2)タッチラインから出ないで給水する。
勝手にベンチに行って座って休んだり、バケツの中のタオルを取りにトコトコと出たりしない。
(3)戦術的指示はしない。
ハーフタイムで戻ってきたかのように、ここぞとばかりしゃべりだしたり身振り手振りで指示を
与えたりする監督がいる。目的は給水だ。
(4)給水が終わったら速やかにピッチに戻る。
私はせいぜい実質30秒ほどで済ませるようにしている。
30秒経ったところで「はい、水を飲んだらピッチに戻って~」と声をかける。
(5)監視はA1(第1副審)と分担。
ホーム側(ピッチに向かって左側)のベンチ前で上記(2)(3)の違反がないか監視。アウェイ側(右側)の
監視はA1が行なう。
もう一つ大切なことは、給水のためにプレーを止める場所はできればベンチに近いタッチラインでスローインとなった場合が良い。しかも守備側が自分のエンドで行なうスローインのときに止めると再開のときにフェアな感じがする。
攻撃側が相手エンドでスローインを行なおうとしているときに「はい給水~」と止められると何となく、守っている側に有利という印象がある。
また、ベンチと反対側のタッチラインからのスローイン時に給水をさせるのは、その場所から戻ったりまた行ったりするのに時間がかかるので好ましくない。
ゴールキック時(キーパーの持ち蹴りではなく、置き蹴りだよ)というのも「さて、仕切りなおし」という印象なので違和感がない。
うまいところで試合を切ることができるようにするために、必ずしもちょうど中間の時間で給水させることはない。20分ハーフだったら9分~11分の間で給水できれば問題なかろう。
私はロスタイムとして給水タイムを加算している。中には加算しないという人もいたが、リードされている側からすれば追いつくチャンスが短くなるので不公平感はあるだろう。