サッカー審判TIPS(30)
フラッグテクニック
今年配られた「競技規則」、いわゆるルールブックには形式上の大きな改訂があった。
今まで17条の条文と追加通達のほかに、「Q&A」が掲載されていた。
これは質問と回答という形式で、「こういうケースにはこう対処する」という一問一答が複数載せられていたのだ。
(参考までにルールブックのURLを載せておく。お金を払って購入しなくてもウェブで見れるのだ。ただ、本当にルールの勉強をしようと思うならば印刷された本を買って常に携帯して自分で書き込みしながら知識を深めていく必要があるけどね)http://www.jfa.or.jp/jfa/law/pdf/law_soccer_all_07.pdf
これが今年のルールブックでは「審判員のための追加指示とガイドライン」というタイトルで、過去のFAQにあった内容が網羅され、さらに追加で実際に役に立つ情報が記載されるようになったのだ。
その中に「フラッグテクニック」というのがある。
■副審の旗は、常に広げた状態にしておき、走っているときもバタバタさせず、主審に見えるように
する。
なるほど。バタバタ音をさせるのは主審に音で知らせたいときだけなのだ。
これに関しては私も苦い経験がある。
4級を取ったばかりの副審とやったときだ。40代の彼は国体にも選出されたことのある名ゴールキーパーだったのだが、審判の経験はほとんど無かった。
右サイドにボールが渡り、そこからゴール前にクロスが上がる。
FWにドンピシャ合ってゴールが生まれた。
そのクロスが上がったとき、バタバタという旗を振る音が聞こえた。
シュートをしたFWもオフサイドポジションにいた(ように見えた)。
そこで、オフサイドだと思い笛を吹いたのだ。
副審を見ると「今のはセーフですよー。オフサイドじゃないですよ」という顔をしている。
どうも旗を下に向けたまま左右にバタバタ振って「ノーファール、オンラインなど(この場合はオンサイド)」をアピールしたつもりらしい。
確かに私が中学高校のころ(今から30年以上も前だ)には旗を下に向けたままバタバタ振って「プレーを続けよ」とアピールすることがよく行なわれていたものだ。
今ではやりません。
で、結局その時は私が主審として「ボールが出た瞬間FW位置がオフサイドだった」と判断してゴールを取り消したのだ。主審の位置からよくそんな判断ができるよね。副審がセーフと言ってるのに。
しかし取り消された側のチームに囲まれることもなく、間接FKで試合再開となったのでホッとしたものだ。
ハーフタイムにタッチライン横で試合を見ていたチームメイトに聞くと「あぁ、あれはオフサイドでしたよ」と言ってくれたので、なるほどそれでクレームも出なかったのかと納得。
ということで何が言いたいのかというと、旗は走っているときにバタバタさせないということ。
どうやればいいのか。体の脇に付けて走るのだ。といっても手を伸ばしていては旗を踏むこともあるので左手の肘を曲げて旗を体側(たいそく)に当てたまま走るということなのだ。
もし「オフサイドじゃないよ」ということをアピールしたいのであれば右手を前方に差し出し「プレー続行」を表現すればよい。これは選手にもベンチにも観客にも「あれは副審が見落としたのではなく、ちゃんとジャッジしてオフサイドは無かったということなんだな」とわからせるために有用である。
本日はこのへんで。
次回は旗を上げる手の話。