囲碁の世界には「地(じ)」と「厚み(あつみ)」という大切な概念があります。実はこれ、武術の稽古や実戦の感覚ととてもよく似ているんです。
◆「地」とは何か?
囲碁でいう「地」は、最終的に点数として数えられる領土のこと。
武術に置き換えると、これは 技が実際に相手に決まった瞬間 にあたります。
- 拳が相手にヒットする
- 投げが決まって相手が倒れる
- 関節技で動きを封じる
これらはすべて「地」、つまり 目に見える成果 です。
◆「厚み」とは何か?
一方の「厚み」は、囲碁では直接の得点になりませんが、相手にプレッシャーをかけ、次の展開を有利にする潜在的な力。
武術に置き換えると、
- 崩れない姿勢や安定した構え
- 間合いを自在に支配する足運び
- 打撃や投げにつながる布石となる崩し
- 相手を近寄らせない気迫や存在感
といったものが「厚み」にあたります。
一撃必殺ではなくても、そこに立っているだけで相手が仕掛けづらくなる。これが厚みの力です。
◆両者のバランス
「地」を狙いすぎると、どうしても無理攻めになりがちです。逆に「厚み」ばかり意識していても、決め手に欠けて勝負を終わらせられません。
武術において大切なのは、厚みを築きながら、ここぞという場面で「地」を取ること。
このバランス感覚は、囲碁でも武術でも同じですね。
