引き続きニューズウィークより 

                                                         By 丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授) 

 

3.科学よりも情緒に引きずられた入国拒否
新型コロナウイルスの特徴は、感染者無症状のまま他人に感染させてしまうことである。そこで、感染している蓋然性の高い人たちの動きを制限することで感染拡大を防止する措置がとられてきた。すなわち、中国の武漢で感染爆発が起きたときには武漢が封鎖され、その後も感染爆発が起きている国からの入国を制限することが世界中の国によって行われている。WHOは当初国境を遮断する措置に反対したが、結果的には出入国の制限はかなり効果的だったと思われる。

 

遅すぎたアメリカからの入国拒否

日本政府も感染爆発が起きた国や地域からの入国を拒否する措置を立て続けにとってきた。ただ、そのタイミングを見ると、しばしば入国を拒否するタイミングが遅すぎ、それが3月末以来の急激な感染拡大を招いたとみられる。

日本政府はまず1月31日に中国湖北省に滞在歴のある外国人の入国を拒否すると発表した。同日の中国の新規感染確認数は2102人。武漢の都市封鎖が行われたのが1月23日だからその直後に湖北省から入国拒否をしてもよかったが、8日間も遅れてしまった。習近平国家主席の来日を控えての遠慮があったのではないかと疑われる。

ただ、日本側の遮断は遅れたものの、中国が自発的に武漢の封鎖や団体旅行の停止などの措置をただちにとったため、この遅れの実害はほとんど出ていないようである。国立感染症研究所の最近の研究によると、1月に武漢から日本に入ってきたウイルスはその後大きな広がりを見せることなく3月には終息したらしい(『朝日新聞』2020年4月28日)。

2月16日に日本政府は中国浙江省も入国拒否の対象に加えた。しかし浙江省での感染拡大は2月13日までに終わっていたのでやはりタイミングが遅すぎた。ただ、この遅れもあまり大きな影響はもたらさなかった。

2月下旬には韓国で大邱を中心に感染爆発が起きた。日本政府は2月26日に大邱および慶尚北道清道郡からの入国を拒否すると発表した。この日の韓国の新規感染確認数は214人で、図1に見るようにその後の1週間に感染爆発が起きた。つまり韓国に対しては感染の上りはなを捉える絶妙のタイミングで入国拒否が行われたのである。

3月に入るとイタリアで感染爆発が起きた。日本政府は3月10日にイタリアのヴェネト州など5州からの入国を拒否すると発表した。しかし、この日のイタリアの新規感染確認数はすでに1797人。韓国に対するのと同様のタイミングを捉えるためには、これよりも10日前にイタリアに対して入国拒否を実施すべきだった。さらに3月半ば以降はアメリカでの感染がものすごいことになってしまったが、日本政府がアメリカからの入国拒否を発表したのはようやく4月1日である。その日のアメリカの新規感染確認数は2万2559人であり、あまりに遅すぎた。

 

クラスター潰しに固執

 しかし、新型コロナウイルスの強い感染性を考えると、毎日発表される統計に何よりも求められるのは速報性である。統計が遅ければ、緊急事態宣言を出すタイミングが遅れるなどさまざまな問題が起きる。統計の正確性を高めるための「突合作業」はもちろん必要なことではあろうが、それは確認作業が終わったら統計を修正すればいいことで、確認できていない死者数を計上しないというのでは速報性を大きく損なってしまう。

 

緊急事態宣言が出たこの重要局面で厚生労働省はいったいなぜ「突合作業」に時間をかける愚を犯したのか。その理由は日本の死者数のグラフに韓国の死者数を重ねるとなんとなく想像できる(図2)。この時期には、日本の死者数が韓国の死者数に迫っていたのだ。おそらく厚生労働省は日本の死者数が韓国を超えるのを避けたかったのである。しかし、都道府県が発表する死者数を隠すわけにもいかないので、「突合作業」に時間をかけることによって国全体の死者数を見かけ上少なくした。そしてこの数字はWHOにもそのまま報告されたのでWHOのレポートでも日本の死者数はまだ韓国よりだいぶ少ないように報告されていた。
 しかし、4月21日についにNHKが韓国超えの死者数を発表してしまった。厚生労働省もついに観念し、翌日には統計上の死者数を一気に91名も増やした。 これ以外にも、「クラスター潰し」という当初はうまくいっていた感染拡大防止の戦略に固執し、感染の急拡大という次の局面に対応する戦略が準備されていなかったなど、旧日本軍の失敗パターンを想起させる事例はまだまだある。ただし戦前との重要な違いは、現在ではこうして日本政府の失敗を批判する言論の自由があることである。もっとも、安倍首相と親しいある評論家が、厚生労働省の戦略に批判的なテレビ番組に対して電波使用を停止すべきだなどと言い出した。仮にそんなことになれば、日本政府の失敗を止めるものはもう何もなくなってしまう。

 

  丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授)様には面識も無く、Yahooニュース掲載記  事をご無礼承知で引用(一部色調、文字の大小で強調し)させて頂きました。 過去ブログで述べた持論の不備を、本欄でも是非周知させたく紹介させて頂きました、付きましてはご無礼の段深くお詫び申し上げます。

 

 尚 本項①及び②項に異論や警告有る場合、当方抗する力量も無く、直ちに消去は厭わない積りです、その節は皆さま是非ご理解下さいませ。 木村 記                                                        

 

    次回 コロナ検査目標 日本はドイツの14分の1

       一方 世界は経済対策等出口戦略をも視野の動き 

 

 この国は「黒船」以来外国から、云わば他力本願に依ってのみ変革を為し得た。 

今回Yahooニュース掲載記事で日頃の思いを代弁と心得、紹介してみました。

 

 ニューズウィークより 

                                                        By 丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授) 

 

 緊急事態宣言の1カ月延長が事実上決まった。日本で新型コロナウイルスへの急激な感染拡大が起きたのは中国より2カ月、韓国より1カ月遅れで、その教訓を汲んで準備を整える時間があったはずなのに、なぜ日本の対応は失敗したのか5月1日現在、日本の新型コロナウイルスへの感染者数は1万4119人、死者は435人。比較されることの多い韓国と比べて、感染者数、死者数、致死率ともに日本が上回ってしまった。 しかも韓国が1日の新規感染者数が1桁台になり、すでに流行をほぼ抑え込んでいるの対して、日本は毎日数百人ずつ感染者数が増えつづけている。さらに気がかりなのが致死率(=死者数/感染者数)が急ピッチで上昇していることである。図1で韓国の線をみればわかるように、感染者数の増加ペースが下がるとき、致死率はむしろどんどん上昇する。もちろん一人でも多くの命が救われることを願ってやまないが、残念ながら日本の致死率が4%を超える可能性は高い。

 

 日本はこれでも欧米に比べればましという言い方もできようが、台湾(感染者429人、死者6人)や韓国に比べるとだいぶ見劣りする。「人口当たりの感染者数、死者数でみれば韓国より少ない」と言っている人もいるが、それもいずれ逆転しそうだし、人口当たりでみれば、日本は現時点ですでに中国の感染者数、死者数を上回っている。また、日本の致死率は湖北省以外の中国(0.8%)より大幅に高い。これではどう見ても東アジアのなかでは「負け組」である。

 日本で急激な感染拡大が起きたのは中国より2か月、韓国より1か月遅れであり、その経験と教訓を汲んで準備を整える時間があったにもかかわらず、なぜこのような失敗に至ったのか。それについてはコロナ禍が終わった時点でしっかりと検証されることを望むが、これまで日本政府がやってきたことを眺めると旧日本軍の失敗パターンを繰り返している気がしてならない。戸部良一・寺本義也・鎌田伸一・杉之尾孝生・村井友秀・野中郁次郎の共著『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』には、コロナ禍に直面した日本政府の行動を読み解くヒントがちりばめられている。

 

 1.あいまいな戦略
いま日本政府とマスコミを挙げて市民に呼びかけられている戦略は「人との接触を8割削減」することである。この戦略は理論疫学のモデルから出てきたものであるが、政府やマスコミが発するメッセージとしてはあいまいである。なぜならメッセージを受け取る側に多義的な解釈の余地を残すからだ。

 

飲み会2人と10人では接触機会が45倍

 「人の流れ」と「接触機会」が異なることは、2人で飲み会をやる場合と10人でやる場合とを考えてみればよい。10人で飲み会をやれば2人の場合より外出する人の数は5倍に増えるが、接触機会は45倍にもなる。なぜなら、2人ならば接触機会は1回だが、10人の飲み会となると、自分自身が9人と接するだけでなく、他の9人も相互に接するからである。これは10人から2人を選び出す「組合せ」の問題であり、その答えは45回である。外出する人数が何千、何万となると、nC2≒n2乗/2となるので、接触機会を8割削減、つまり5分の1にするには、人の流れを√5分の1に、すなわち55%ほど削減すればいいことになる。もし外出人数が7割削減されているのであれば、人と人との接触機会は91%も減っている計算になる。

安倍首相は4月22日に発したメッセージで「都市部では(現状では)人の流れが平日は6割減、休日は7割減で、接触機会の8割削減にはさらなる努力が必要です」と述べた。この発言には「人の流れ」と「接触機会」との混同があり、最高指揮官の安倍首相でさえ戦略をクリアに理解していないことがわかる。

たとえば、私自身の例でいうと、ふだん至近距離で他人と接触する機会の大半は往復の電車通勤でのものなので、電車通勤をやめてクルマで出勤すれば他人との接触の8割削減が実現できるのではないかと思ってしまう。もちろん私はそのような解釈をして行動しているわけではないが、「人との接触を8割削減」という戦略にはそうした解釈の余地を残してしまう。

 

 私は何も外出人数を55%削減すればいいと主張したいわけではない。「接触機会」という概念は首相でさえ正しく理解していないし、「人の流れ」とは異なってデータで検証することも簡単ではないので、理論疫学の計算で使うにとどめ、政府が掲げる戦略とすべきではないといいたいのである。政府が国民にメッセージとして発する戦略は誰でも理解しやすく実行可能なもの、すなわち「外出は一日一回、生活必需品の買い物のみに限定しましょう」「散歩やジョギングのため公園に行ってもいいですが、他人との距離は2メートル以上保つようにしましょう」「年老いた両親に会いに行くのはやめましょう」「オフィスではテレワークを推進し、出勤人数は7割以上削減しましょう」といったメッセージで十分である。

2.役に立たない兵器
太平洋戦争中の旧日本軍の秘密兵器に「風船爆弾」というものがあった。和紙で作った直径10メートルの気球に焼夷弾をつけてアメリカに向けて飛ばして攻撃するもので、約9300個放たれたうち、実際にアメリカに到達して爆発したものはわずか28個、6人にケガを負わせ、小さな山火事を2件起こすという「戦果」を挙げるにとどまった。

 

マスクにもならないアベノマスク

安倍首相の肝いりで全国5000万世帯に一家に2枚ずつ配布が始まった通称「アベノマスク」も役に立たないという点では風船爆弾とどっこいどっこいのようである。
先に配布された妊婦用の布マスクの場合、5月1日までに4万6934枚に黄ばみやカビの疑いなどの不良が見つかり、すでに発送した47万枚を国に返送させて検品しなおすという(『朝日新聞』2020年5月1日)。全戸配布される「アベノマスク」についても不良品が続出したため、未配布分を業者が回収して検品しなおすという。

不良率が1割というのは、これまで中国から研修で来日する企業家たちに「日本企業はPPM(百万分の1)のオーダーで不良率の低減を目指しています」と説明し続けてきた私にとっては、まったく目を覆いたくなるほどの惨状である。加えて、致命的と思われるのは、アベノマスクを使って粒子がどれだけ漏れるかを検証してみたら漏れ率が100%だったという事実である(『AERAdot』2020年4月28日)。アベノマスクは国民を安心させるために配るのだと首相の側近たちは言っているらしいが、決して安心してはいけない代物なのである。

アベノマスクに大量の不良品が混じっているうえ、そもそも感染予防には役に立たないことが明らかになった以上、回収して検品しなおして再配布するなどという無駄なことは直ちにやめ、未配布分は廃棄すべきである。すでに配布してしまった分については「ウイルス遮断の効果はありませんが、咳エチケットとして着用する場合には煮沸消毒したうえでお使いください」と政府から市民に伝えるべきだ。そうしないとアベノマスクが健康被害を引き起こしかねない。そしてこの無益な物に膨大な国費を費やしたことに対して、責任者に応分の処分を下すべきである。

   次回  繰り返される日本の失敗パターン②

 

 この項は友人の友人(医療従事者)

からの拡散の要望に付き、本項にて報告

      件名: コロナ対策

 

米国ジョンズ・ホプキンズ大学の感染症教授が作ったコロナウイルスの説明の日本語訳。

 

〇ウィルスは生物ではなく、何層もの脂質(脂肪)でできた保護膜に覆われたたんぱく質分子(DNA)です。 このウィルスが、眼・鼻または口の粘膜の細胞に付着すると、突然遺伝コードが変異し倍々方式で増え侵略します。

 

〇ウィルスは生物ではなくたんぱく質分子であるため殺すことはできませんが、自然に崩壊(減衰)します。ウィルスが崩壊する時間は温度、湿度、どこ(何)に付着したかにより違います。

 

〇本来ウィルスはとても壊れやすいのですが、脂質でできた何層もの膜に覆われていることが問題でこの脂質の保護膜を取り除く必要がでてきます。脂質の保護膜を破壊することができる石けんや洗浄剤は有効(泡立ててこすり破壊)な訳です。破壊するためには石けんをたっぷりと泡立てて20秒以上こする必要があります。保護膜を破壊することによりウィルスたんぱく質は自然に減衰し崩壊していきます。

 

〇熱は脂質を溶かします・・・25度以上の水で手や衣服、その他を洗うことが有効な理由となります。さらに暖かい水は泡がより泡立つため、より有効となります。

 

〇アルコールとアルコールを65%以上含むものは脂質を分解します。特にウィルスの外側のたんぱく質の層を分解します。

 

〇漂白剤(塩素)1対水5の割合でプロテイン(たんぱく質)を破壊します。ウィルスの内側から崩壊させます。

 

〇過酸化水素水は石けん、アルコール、塩素の効果を長持ちさせます。過酸化水素はウィルスたんぱく質を破壊します。しかし、純過酸化水素水を使用する必要があり 皮膚を傷つける可能性があることに注意が必要です。

 

〇殺菌剤、抗生物質は役に立ちません。ウィルスはバクテリアなどの生物ではないので抗生物質で殺すことはできません。

 

〇服やシーツ、布などを振ってはいけません(使用、未使用にかかわらず)。表面に張り付いた状態では不活性なので勝手に時間がたてば分解するからです。しかし、これを振ったりハタキを使用すると、最大3時間空気中にウィルスが浮遊し鼻などに付着してしまいます。
       3時間 (生地)
       4時間 (銅と木)
      24時間 (段ボール)
      42時間 (金属)
      72時間 (プラスチック)

〇ウィルスは冷たい空気、寒い空間や家や車などエアコンがある場所では安定した状態で残存します。また、湿気と暗さはウィルスの残存を促します。したがって逆に乾燥した暖かい、明るい環境は勢いを墜落させます。

 

〇紫外線ライトや光線はウィルスたんぱく質を破壊します。たとえば使用済みのマスクの殺菌には 紫外線ライト (UVlight)を使用すると完璧です。但し、肌のコラーゲン(これもプロテイン)も 破壊するので注意して下さい。

 

〇ウィルスは健康な肌を通り抜けることはできません。

 

〇酢(酢酸)は脂質の保護膜を破壊できないので有効ではありません。

 

〇スピリッツ、ウォッカも役に立ちません。強いウォッカでもアルコール度数は40% です。ウィルスを破壊するには65%以上のアルコール度数が必要です。

 

〇アルコール65%以上のリステリンは役立ちます。

 

〇より狭く限られたスペースではウィルスも集中しているかもしれません。広い場所で換気がよければ ウィルスも少なくなります。

 

〇粘膜を触ったり、食べ物、鍵、ドアノブ、スイッチ、リモコン、携帯電話、時計、パソコン、机、テレビ、トイレなどを触る前にも、触った後にも手を洗わなければなりません。

 

〇頻繁に手を洗うことになるのでての保湿をして下さい。乾燥により生じる肌の小さなひび割れにウィルスが隠れ潜む可能性がありますから、厚めにハンドクリームを塗るのがお薦めです。

 

〇爪の中にウィルスが隠れるのを防ぐために、爪も短くしておきましょう。
                                              

                                                                     ―ジョンズ・ホプキンス病院―
 
    ☆☆☆☆☆☆☆☆

日赤医療センタードクターからのメッセージ
  この数日でコロナウイルス感染症の患者さんが急増しています。私の病院のコロナ病床は満床になりました。重症者もいます。 現場ではすでに医療崩壊のシナリオも想定され始めています。 正直、報道よりも一般のみなさんが思っているよりも、現実は非常に厳しいです。

 近い将来、本来助けられるはずの命が助けられなくなる事態になりそうだと感じてい ます。今まで、どんな人でも少しでも生きたいという思いがあるのなら、全力で命を助ける医療をやってきました。でも、このまま感染が拡大すれば、「助ける命を選択する医療」にシフトしなければならなくなります。本当に悲しい。だから、外出を控えてください、人と会わないでください。 感染を食い止める方法はこれしかありません。生きていくための最低限の外出だけにしてください。

このメッセージを出来る限りの家族や友人にシェアしてください。 時間がもうありません。よろしくお願いします。 日赤病院は、初診、救急外来を中止しました。
                                                                                             以上

 

 医療現場の悲痛な実状に思いを寄せ、

  自粛と自戒がせめてもの応援と心得、

    本項本文内容のみで結構です。

       拡散をお願いします。

 

  次回 繰り返される日本の失敗パターン①

             Yahooニュース抜粋  ニューズウィークより

   

 昨今 矢張り今日のコロナ問題に触れずにはいられない、老婆(爺)心乍ら私ならと、つい揣摩臆測に及ぶ。

まず ①情報収集から②現状の把握 ③現況調査、 ④将来像の予測、⑤解決策(実施設計)の策定 ⑥検証・考証の方法 ⑦製作・建造 ⑧試験・実験の実施 ⑨実働状態の確認。

            

手前味噌になるがU.L.(ウルトラ・ライト)機開発過程を例に取り上げて続けてみます。 

(株)コマツより試作開発依頼、金は出すが口出しをせず、一切をお任せするが条件

   詳しくは

超軽量動力軽飛行機(ウルトラ・ライト) 試作・開発 に記載

 

 まず規格・規制の状態を把握の為情報誌(洋雑誌含む)などを買い求め乱読、業界の情勢を探る。 次いで運輸省航空局本省(霞が関)担当部局担当者に伺い着手の挨拶と指導を仰ぎたい旨を告げる。 その際「耐空性審査要領」N類(クラス)に該当、担当は大阪航空局となり即担当者を紹介、後日出向き挨拶。 造船設計・建造の過程で運輸省へのコンタクトは実施上神経を削がれる、経験上重要な政(まつ)り事だった。

 

 コロナ事案の場合 以下朱字で記載

 昨年12初旬頃 中国奥地(武漢は後日に知る)で新型ウイルスに依る肺炎が流行しつつ有るとの報道、医療・保健従事者なら当然 情報の真偽や詳報を求めてあらゆる組織を活用し、何等かの行動を起こしてる筈なのだが・・・。

本年1月中頃にはTVは武漢で医療関係パニックで混乱を報道、一方我が日本では一向に気配無く、中国の春節でインバウンド(観光旅行者)増加の期待感さえ伺える雰囲気だった。 しかして感染の経緯や予防法などの周知徹底を図るべく準備作業は進められなければ、果たして当時当事者の実態を検証の要有り。

 

 ②現状の把握 ③現況調査

 一方 コマツの好意で米国・フロリダ州サンファンで世界大会の知らせに、社員の天本君を派遣(コマツO氏同行)。 写真やビデオ動画、資料やパンフレットを取得、世界の技術的趨勢や現状把握(しかし私だったら拙い語学乍ら海外同好者達とのコンタクトやネットワークを張り巡らす知恵も有ったかなと多少後悔の念も)。 又コマツの海外各支社情報で米国以外(カナダ・オーストラリア・欧州各国)は安全性確保の為機体自重115kgから145kgに移行との事(日本・当時は115kg)、当然日本も将来追随の筈とタカを括る。 その上米国ではPL(製造物責任)問題は当事者が危険への接近とされ、メーカーサイドの責任は当面問われない事が判明。


  香港での流行も報道され、台湾での旅行(入国)制限が実施されたが、福岡では中国から豪華旅客船がほぼ毎日入港。 空路もしかり、一向に規制の雰囲気無く入国時体温の計測は2月初旬。 米国・台湾は入国規制の強化が叫ばれ実施、日本でも当然同様措置の筈。 国会では安倍総理のお花見問題に専念? 野党含め政治屋には一向に気配無く。

 

 ④将来像の予測

 私はこれら資料と専門書やラップトップのP.C.を携え山籠もり(私流の難問解決法)、当時雲仙の富貴屋に宿泊し24時間3日間没頭。  本プロジェクトを進行の為フローチャートを作成。 フローチャート(工程表の一種)は建設省・都市計画の手法で神羅万象? 複雑に絡み合う、あらゆるファクター(要素・要因)を時間経過と共に順序立てて結果に導く手法で、今回工程実施の基本となる。 

 

   今 後出しジャンケンのそしりは逃れないが、まず特別編成の指揮官指名(瞬発力と豪腕さを兼備の猛者)命令系統の組織を構築し一元管理の徹底以後生じる問題・課題の仕訳、詰り担当部局の分担等々末端までのフローチャートを作成し全員が流れを掌握が前提。 当初 厚生大臣が罹患者発生を日々発表されてた喜(悲)劇、又コロナ担当は西村康稔経済再生相は何故に経済担当? コロナは単なる経済問題!? 彼は通産省出身、内閣の錯覚はこの様な人事にも明白に表れている。

 

  阪神淡路大震災の際、時の村山総理(社会党)は小里貞利氏(自民党)を他(北海道・沖縄)の長官職を解き、専任の震災対策担当大臣に指名復旧・復興の陣頭指揮に当らせた。 責任は村山総理が一切を受けるとも。 無能な者ほど丸投げして頼る事も有りきかなと当時は思ったのが思い出される。

 

 具体的には 武漢の状況を見る限り準戦時状態で有り国民総動員も辞さない程の覚悟と決意を。 昔軍隊の戦力逐次(小出し)投入は消耗・損耗のみ生じ決して成果に繫がらず、 斯様な際は一気呵成(総力投入)が常套手段。  自衛隊・消防・警察・ボランティア含め総動員の体制を含め規(強)制力を伴った特別時限立法を整備、今後生じる全方位に対応可能とすべき。

 

 敵はウイルス、微細にして全く見えず忍者かスパイで有り、ウイルスを炙り出すのが検査の筈。 所が時医療関係、専門の評論家、皆さん等しく保健所等医療関係の混乱を招く厚生大臣曰く37.5度以上4日間模様を見た上で・・・と、 現今その間の感染のスプロール化は素人目でも明白、4日間模様を見た上で・が現在混迷の元凶

今回 霞が関の縦割り行政が災いし厚労省一元での検査管理、文部省管轄の大学病院や研究機関を拒んだとも思える拘り、 今後責任追及を求めたい。

 

 医療活動は戦時の野戦病院を想定し権限の委譲と全てに即応可能な体制を敷く、予防医療・治療はアビガン含め遠方(中国やドイツ)から効果有りの情報を得た段階で導入。 韓国ではドライブスルーでPCR検査体制を導入し現時点(4月中旬)では収束したかに見えるが。 政府・関係者は最近になり検査数増量の旨を表明。 又感染防止の為、国民に自粛を要請も実効性をあげるには、先行き生活不安や事業の不安を払拭する為に生活補償は即五十万若しくは百万円以上一斉にバラ撒き(長期貸出し:50年間程度、不良債務は覚悟し)但し公務員は除外し一部高額所得者は年末調整等で網に掛る。 国債発行、日本銀行造幣局の輪転機を総動員、幸い日本の国債はほぼ国内の預貯金が原資、家族間の金銭貸し借りの様なもの、外国やIMFも無関係。 ※ 麻生財務大臣は10万円(不十分・逐次投入の愚)支給で欲しい人は上から目線の手を挙げて・・? 手旗信号ではない!  雑巾がけ知らずのボンボン、何れアベノマスク事案でミャンマー・ルート?絡みの利権が炙り出され失墜目前。

 

 ⑤解決策(実施設計)の策定   

 まず航空産業参入に当たりドイツでの生産活動や技術状況が常に脳裏(意識)に、 当然ドイツが視野。 現状パイプに帆布張りは商品の格?量産不向きに過ぎず、FRPは重量制限から不可能に近く、高速艇使用のCFRPも機体重量の壁。その後九大・航空科O氏よりACM(先進複合材料)を提案される、カーボン(炭素繊維)ケブラー(アラミド繊維)のプリプレグでので成型は、成型型枠や加熱・加圧に伴い副資器材を必要とされ資金や時間をいかに解決するかの難問に苦渋の決断。

 

  当時九大・航空科研究室含め材料・航空宇宙学会で基礎研究が始まったばかり。 炭素繊維やテストピースさえ入手困難な時、福岡航研では東レ・本社(炭素繊維高速艇の写真、同社ポスターに提供)と高速艇利用実績で直接サンプル協力の即応体制を敷いて頂いた。

 

 躊躇なく、東レ・本社からの情報協力と紹介で東京都・三鷹の新日本航空整備(ボーイング機のトイレ室をACMで成型製作中)に天本君を見学に。 その間セキスイ化学在籍時 収縮フイルム(特許取得)で成型(再結晶)温度130℃は経験済。 ベニヤ合板と石綿板(間口180cm×高さ90×奥行き90)に保温ガラス綿で簡易オーブンを作成、加熱は工業用石油フアンヒーターで加熱と強制循環を諮る、天本君調査の間に1日で完成し成型テストをも実施してた。

 

 一方 当然の事ながら機体設計に当たり機体コンセプトの模索、デザイン、性能、流体、構造、重量管理面等々それら全てを勘案の機体模型(1/10)を製作し、九大・航空科のゲッチンゲン(口径2M)風洞で風洞試験4日間実施、空力的な計算性能との整合性を確認。 翼型は東大・佐藤淳三教授を訪ね、学会発表の翼型を使用許可を願い快諾も、実験・計算結果不向きかもと、お願いし乍ら苦渋の判断で従来のNACA翼型(現NASA)に決定。

 尚、後年三鷹のJAXA(航空宇宙研究所)の大型風洞(STOL実験機「飛鳥」開発用 国内最大)で佐藤教授提案の新翼理論を基に複座ULモーターグライダー(私設計)共同試験を実施(8日間)。 ※佐藤教授は、その後 航空宇宙学会会長・JR尼崎事故、事故調査委員長に就任し陣頭指揮。

 

写真は空力性能計測後、気流糸にて渦流を目視観察。

 

 大阪府では既に罹患の度合いを4段階に仕訳して受入態勢を構築、 収容先の数量的な確保に努めている模様、大阪府知事・市長共に政府や霞ヶ関先んじて行動。 疑わしきは先んじて検査(精度云々は問題外)と、早期隔離に収容の臨時施設や体育館、公務員宿舎等々収容先の確保、 送迎は自衛隊の支援。 正に臨戦状態であり国家挙げての態勢を整える。 

 

 ⑥検証・考証の方法

 試作オーブンでテスト(材料試験片)ピースを作成し九大・航空科のインストロン万能試験機で、ACM素材の物性数値を取得。 ACM材料の場合、木やアルミ製と異なり材料設計を伴う、強度計算に当たり許容応力、せん断応力に剛性の把握は必須。 経験上メーカーカタログとは些か異なる事再々と、加熱加圧や製作過程が異なり本件設計計算上に於いて取得の必要性は当然だった。    

 

 通常風邪の場合は近所の町医者にて診察施療、各種検査もほぼ可能なのだが、事PCR検査は数段階の手続きを経る事に不信感。血液検査は民間検査機関に依頼、何故同様な検査が不能なの?早期発見、早期治療が今回は満たされず感染の拡散。  

自宅待機の陽性・保菌者が自宅で死を迎えだした、これら真の原因者の犯人探し(検証)を何れ行って欲しい。 

 

 製作・建造試験・実験の実施

 本機は重量管理が全てを制し、特にACM製の場合世界・歴史的にも前例無く、従来の構造様式は全く参考にならない。 従って部分製作し剛性の確認を諮り乍ら進行と構造設計。

斯様な場合試行錯誤と朝礼昼改が常識、 暮改では遅い当時関東・関西の職業別電話帳を重用し材料・資器材の即手配。 主翼のみ荷重試験、破壊試験を実施、主翼自重は22kg(砂袋2.2個分)に対して荷重は砂袋(10kg)を当初60個準備(法的極限は57個)破壊試験に際しては60個追加。計測用にペンレコーダー(8+4点式)をコマツ大分研究所(大野)より借用、主翼にはストレィンゲージ(歪:ひずみ)12点貼付しレコーダーに接続、主翼局部の変形、撓み量およびクリープ変形を記録。

 

              主翼荷重試験の計測用準備の模様。

 

       以降 随時追記の予定 ⑦製作・建造 ⑧試験・実験の実施 ⑨

 

  次回   コロナの正体と医療現場の実情

                   目 次    技術屋の回顧譚

近所の町内中央公園

   町内 石丸中央公園、小・中学生の溜まり場で野球やサッカーに自転車の練習風景が散見される、孫達と幼児から小学生まで触れ合った思い出多く園内内側の桜も賑やか。

 

早々のコロナ問題、後味悪く心残りなので

常日頃尻ポケットにカメラ(動画可)を携帯、 無目的に何かとパチリと記録している。尚 若い頃後ろポケットに英和辞書を忍ばせ記憶に励んだ記憶、感触が懐かしい。

 

 毎年この季節は、西公園で家内手作りの弁当で、昼から夜桜の10時頃迄、孫子家族や友人知己約延べ2~3十人(一部入替り乍ら)程度でお花見が恒例の行事。しかし本年はコロナで中止は止む負えず、買い物序での途中ご近所の桜を記録、云わばお裾分けの積りで、来年は是非とのメールを受信。 

   

           町内 石丸公園で家族・親子連れののどかな光景。

 ご近所大町団地の桜並木、この季節はわざわざ迂回して鑑賞と撮影。

川面に咲く見事な桜

 私の最も好きな桜で、川面に垂れ下がる艶な姿が雅(みやび)。

近所の買い物又郵便局の途中、これら風景は3月中旬から4月20日頃まで日々毎日撮影、連続撮影のパラパラ写真で再現してみたい。 ともあれ 本年も一風異なった良い花見を堪能。

 

   次回  コロナウイルス技術屋の考証

 

 昨暮12月にヤフーブログから越して来たものの、未だ新居の間取りも覚束ない事態に、最近になり調度品の配置換えが漸く整ったかな? の段階。これからご近所さんに挨拶せねばと遅まきながら・・・? 年甲斐も無く少し気恥ずかしい。

 

 さて今節コロナウイルスの猛威に曝されている最中でのデビューには些か場違いな感。私的に、第二次大戦(戦中生まれだが戦後の記憶は微かに)以後最大の危機ではと危惧。しかも敵は厄介な細菌で、忍者の如くそこら中にも隠蔽、地雷が仕込まれ又付近には砲弾が突然着弾の危険、その様な事態が現状ではと推測しています。

 

 云わば現在は戦場であるにも係らず、 商店街やスーパー若しくは海岸で遊びに興じているバカ(失礼)共が絶えない、 最早犯罪者(確信犯)の如くに思えるのは私だけか。政府の愚鈍な動静は、この1月中旬に中国武漢での新型ウイルス発生のニュースが報道されてたにも係わらず、 ほぼ静観の如く予感する事無く何らの施策もしなかった。

 

 当初PCR検査は医療機関に患者が殺到して混雑、 機能不全を生ずるとしていたが、わが国民の沈着冷静な面を無視、つい最近検査数を増強する又はしようとしている矛盾! 最初に触れたが、敵はウイルス(細菌)、そこで索敵し 所謂 潜んでる敵(ウイルス)を発見し攻撃、危険の除去を図るべき所を、 厚生省の役人を含め専門家と称する人種は等しく同様の立場で注意のみ喚起。  その後は国民承知の様な後手後手の 悪手。

 Too Lttle! Too Late!   極めて些少で遅すぎる ! 

 思い出されるのが 戦前軍部の戦術・戦略、現在霞関の役人(参謀本部に相当)達。所謂 戦力の逐次(小出し)投入による不利な場面で益々消耗のみ増大で、より一層不利な事態を招来、 斯様な場合は一気果断に総力投入その後状況判断での撤退が常套手段。小生はK国の指導部には余り良しとはしないが、ドライブスルーでのPCR検査を実施は座布団10枚の快挙、 さすが戦時中国家の成せた判断と実行力に感服する。現政治屋は何故戦前の軍部による国民の悲劇、 韓国や台湾の行動実績を見習わぬか。

 

 真珠湾攻撃で一気に敵(米国)主力艦隊攻撃で、政治的に有利な立場で治める積りが、国力の差異は歴然で長期戦へと、 兵站の拡大にあらゆる戦力の途絶、壮絶を体験。

 

 年初のお花見問題からガーゼマスク配布、補償の一家30万円から個人に10万円等小さな市街戦のドンパチ程度の取組みに終始、安倍政権混迷の度合いに断末を予感。

 

 何れ歴史のなかで証明されるべき事実として、当事者として防疫に努めると共に、しかと記憶に留め証人者として後者に伝えねばと思う今日この頃。果たして移転後の挨拶が斯様な不幸な事態から始めねばとは、 辛すぎる。

 

  次回  気分転換に春の名残りを

    

 アメリカズカップ艇 マスト開発の一件
 矢張り面白部長(三菱化成)の申し出が緒で話が持ちかけられて来た。アメリカズカップは1851年イギリス発祥だが、世界最古のトロフィーとして世界に周知されているヨットレースで4年に一度前回優勝国で予選、決勝が行われています。次回は1992年サンディエゴ(米・CAL)で開催、 吾が日本も石原慎太郎氏を委員長に「日本チャレンジ委員会」を結成して望む事になった。 
 
 私もヨットマンの端くれ、福岡市の小戸ヨットハーバーに仲間とクルーザー(定員10名ベッド5名)を共同所有しレースやクルージングを楽しんでおり、多少の知識は持ち合わせていた。 レース艇のデザインは林賢之助氏で高名は良く存じてたが、横浜の横山一郎事務所で両名との打合せ、一郎氏は「太平洋一人ぼっち」でマーメイド号設計の横山昇氏のご子息で現事務所を継承、今回のプロジェクトでは林氏と共に中心的存在。両氏共先進複合材料(ACM)については失礼だが未知の材料であった模様、そこで材料メーカー(三菱化成)に問合せの結果が今回の打合せに繋がった。
 
 レギュレーション(規則:英文)は相当量の中、必要と思われる箇所の抜粋コピーを受取る。  無論その場で即答とは行かず持ち帰り熟読吟味の上、 後日技術的検討(材料設計・製造技術・コストや期間)を約して引き上げたが、果たして。
 
 今回最初に感じたのはマストの長さ34Mであった、現在の試作工場では最大18Mであり工場探しが1点、 又 成型加工に於いて過熱・加圧の方式であった。工場用地或いは貸し倉庫等、一部知人や不動産業者を通じ市内の数箇所を当ったのだが、帯に短くタスキに・・・又 U油圧会長の肝いりで飯塚・桂川町まで踏査したが事務所から40km近くもあり、困難を感じたし実際作業状態が想像出来なかった。
 
 工場の立地は、その地から製造したマストを如何なる方法でチャレンジ委員会の基地(愛知県・蒲郡)まで届けるのかであった。 以前 福岡航空宇宙協会でゼロ戦32型を復元修理するべく荷揚げの博多港から大宰府天満宮まで運搬に際しては、コースの詳細な調査と事前予行を含め日通は特別チームを編成し夜間にパトカー先導で実施した経緯を知るものとして道路の曲がり具合等とても困難に思われた。後年 新日鉄から戸畑工場を使用をとの申出があったが、恐らく事後だったのか。
 
 肝心な技術的課題だが、レギュレーション(規則書)から外形寸法や最大圧縮力等々多岐に渡り事細かに規定されている事に少々驚いた。 ACM(先進複合材料)素材は未だ航空等極めて限られた分野での実績にも係わらず、材料力学的にもかなり熟知したもののみぞ知る、実に見事な設定条件に感心したものだった。
 
 マストの荷重条件は主にジブやメインセールと追い風用のスピンネーカー等々により、マストにはサイドステーで全て圧縮力(座屈荷重)として負荷される。但し マストにはメインセール下部のブームによる横荷重(曲げ)が加わる。構造屋としては、クレーン設計に於いて圧縮メンバー(柱材)に横(曲げ)荷重を避け負荷させない様に配慮するのが常識、 しかしヨットのマストだけはこれが常識。この件は強度計算以上に荷重試験は絶対条件、 荷重負荷に於いては油圧装置等も必要とされ、成型製造以上の作業と時間も必要と思われた。
※ 柱(マスト)の座屈計算に於いては断面特性(断面二次モーメントi)とその長さ(L)から適正な細長比(λ=L/i)を超えて(120≦)おり、且つ曲げ応力は非常に厳しい。
 
 ACM素材は鉄やアルミ素材と違い材料設計から始めるのが最も異なるところ、設計の自由度は極めて高い反面、複合的な要素要因から材料設計は極めて高度な知識と判断を必要とされ、技術者よりも学術的解析要素が大部分を占める。
 
 結論は場所、長さゆえの技術的困難な面(成型精度)や加熱、加圧の設備設計製作、 納期(予測が困難だった)、 予算見積り等々肝心の設計技術以外の条件で私達には到底及ばないと当事は判断したものだった。
 
 後年 偶々アメリカズカップ会場のサンディエゴ(米・カリフォルニア)で世界複合材料のシンポジウムが開催され訪れた際、会場でチャレンジ委員会現地責任者のK氏(ヤマハ所属)が来られ、是非現地の基地へと案内されP氏(日系二世ロス在)と共に訪れ見学させて頂いた。 無論 私共が開発や製作を断念した事は承知済で、 日本出発前にマスト折損の件は報道で承知していたが、 K氏からはヤッパリやっちゃいましたよ(折損)と第一声、 開発者がヨットを熟知していなかったのか。 
  同大会出場艇の現在
 
 横山事務所で林チーフデザイナーと打合せの際、私もレースやクルーズでヨットに親しんでいる旨が伝わっていたのか、冗談交じりながら責めを感じた次第。尚 同基地は各チーム共厳重な塀(二重に)で隔離され、船型や特にキールの水平安定板(翼端板:ウイングレット)形状決定に日夜試行錯誤の最中、各国とも陸置きした艇体は水線下は厳重にスカートで隠されていた。各国とも高層ビルやヘリコプターからの隔離されてるのが緊張感と共に伺えた。
 
余談乍ら 当時船形計算ソフトはカナダ「コースタルデザイン」社製で、国内では私共の㈲福岡航研と三井造船、アメリカズカップ「日本チャレンジ委員会」の三者のみでした。同ソフト運用の32ビットのDosV機パソコンは未だ一般発売は無く、東京・秋葉原のプロサイド社に特注、チップやマザーボード等は輸入に頼ってた時代。
 
 所で奇しくも昨年そのアメリカズカップが地元福岡で開催
 最早往年のヨットの面影は一掃され、 空中戦の如きレースの有り様に最初はただ呆然と又は唖然と眺めるのみ。
 同動画
 
 かって参加の可能性有りきだったが隔世の感、 愛用のカメラ(ニコン)に300mm.望遠レンズを購入し練習日~大会~撤収まで約1週間、小戸のヨットハーバー(基地)と百道の砂浜で観戦等、 まるで子供時代に回帰した如く張付いてしまった。写真も数百枚撮ったがブログ容量が限界で残念乍ら・・・。
 
   次回    アメーバブログ  「技術屋の回顧譚」      

                        アメーバブログ(ヤフログから)に初の投稿

 三菱化学 (当時 三菱化成)
 丸の内本社の部長(氏名ど忘れ)はユニークなお人柄と、思考回路の持ち主で社長直轄のパイプは、大企業の手間ひまは無関係とも思える社内での立ち位置。 部長からは新幹線車両の開発やアメリカズカップのマスト開発の件でお世話を頂き話を頂いたのも同部長からだった。 何れも㈲福岡航研と私自身の力不足が実現へとは繋がらなかったのだが。
 
 先進複合材料を新幹線への応用
 日立・光製作所(山口)から新幹線車両軽量化に新規材料の導入をと話を頂いた。九大航空科修士(大学院)当事からバイト等出入りの一人、航空機会社では人工衛星本体担当し完成の後の野口君が入社。 彼は理論カーボン技術の研究で、云わば申し子で将来を買っていたが、部長とその彼の運転で光工場に出向く。 尤も 車輌の開発・設計は鉄道技術研究所の所掌であり、民間技術導入の範囲は今も不明なのだが。 工場は途轍もなく広く長い、 例えば製造ラインは1編成16輌がひとつのラインで繋がったまま建造されており、 それらが数ライン並行している姿は壮観でさえあった。
 
 その内の1編成を説明と共に案内され、構造を隈なく見学。 日頃航空機の構造は航空宇宙学会のシンポジウム等で工場(三菱・川崎・富士重工等々)見学の他、文献や書物では一通りの知識。 造船設計しかり、各業界ではそれ相応の歴史と蓄積は当然の事だが、 矢張り私ならとの思いは岡目八目ながら目についた。いわゆる軽量化の思想が極めて乏しく、 戦車の如くに思えてしまう事多し。
 
 私自身常に軽く・強く・速くが前提の努力、剛性の面でもデザインからの配慮も不十分な印象(当時)、 例えばプレートバックリングの剛性ではほんの少し曲面を構成するだけで極端に強度・剛性の増加。 それとフェールセーフの発想に未熟な面も散見、担当者から如何感想と問われ、戦前の航空機機体にも劣ると断言。
 
 新幹線通路の開閉ドアも単体で抱えたが、負荷条件を与えられたなら、少なくとも3~4分の一は可能と思われ、ボディ(躯体)やシャーシイ等々、増してカーボンやケブラー等先進複合材料なら一夜にして・・・と思いっきりの賜った次第。
 
 私自身 造船界の船体設計に参入当事の素朴な疑問は、直接応力計算や振動解析に当たり、 国内より外国船級協会や外国人検査官の理解により、次々と解決を図りブレークスルーの経験有ればこそ。
 
         次回    続〃※⑨A.C.M.技術波及効果 アメリカズカップ艇

                          目 次    技術屋の回顧譚

 

  
  
 この所 うだる様な猛暑にはまったくもって辟易しています。
ご承知の方もおられると思いますが、我が家なりの暑気払い的エアコンの利用法を
福岡の郷土紙である西日本新聞の読者投稿欄「こだま」に私見をメール送信した所
下記の様に掲載されました。 右下に別枠 地域からの提言として「除湿30度運転 電気代が安く」と掲載されました。
イメージ 1










                                                   紙面をクリック(左2回)すると拡大

掲載された文は、 タイトルからしてリライトされており拙文の訂正は当然乍ら
多少ニュアンスが異なってるやに思われるので、改めて投稿原文を再記の上、
体感温度の計算結果を添えておきます。
                
                  記
 「我が家のクーラーはドライ30℃設定で快適です」
 
 猛暑の中クーラー無しの生活は考えられない程になりました。
私は以前化学会社の開発部門に携っていましたが、130℃の雰囲気の中で実験等を行っていましたが仕事乍ら、10数分は耐えられました。
しかし現在の30~35℃がとても我慢ならないのが実情です。
 
 一方 ドイツやロサンゼルスで滞在の際には30℃以上でも暑ぐるしく無く、
汗もかかず木陰では快適でさえありました。 
 
 原因は日本の湿度ですね、湿度は空気密度を上げて、同じ温度でも熱量(カロリー)にはかなりの差があります。
 
 例えば 外気温35℃、湿度80%の場合に、湿度を30数%程度にさげると約5℃程度体感温度が下がり(ミスナールの計算式)、 快適に過ごせます。
建物の構造や地域の環境次第ですが、我が家は福岡市市街地で普通の木造2階建てです。
 
 尤も真夏昼下りの最高温度の際は、2~30分程度冷房を効かせ室内の輻射熱を下げて、又 ドライ30℃に戻します。  クーラーは24時間ほぼオンにしていますが、 間欠運転の為実質1/6~7程度の運転(電力消費)時間です。
 但し夜間は30℃でも寒いです、 是非お試し下さい。 




体 感 温 度
V=0.1m/s (ミスナール計算式で木村算出)
            湿 度  %                
    20253035404550556065707580859095
  37 28.8 29.0 29.5 30.0 30.6 31.1 31.6 32.2 32.7 33.2 33.8 34.3 34.9 35.4 35.9 36.5
  36 27.8 28.3 28.8 29.3 29.8 30.4 30.9 31.4 31.9 32.4 32.9 33.5 34.0 34.5 35.0 35.5
  35 27.1 27.6 28.1 28.6 29.1 29.6 30.1 30.6 31.1 31.6 32.1 32.6 33.1 33.6 34.1 34.6
  34 26.5 27.0 27.5 27.9 28.4 28.9 29.4 29.8 30.3 30.8 31.3 31.7 32.2 32.7 33.2 33.6
33 25.9 26.3 26.8 27.2 27.7 28.1 28.6 29.1 29.5 30.0 30.4 30.9 31.3 31.8 32.2 32.7
  32 25.2 25.7 26.1 26.5 27.0 27.4 27.8 28.3 28.7 29.2 29.6 30.0 30.5 30.9 31.3 31.8
31 24.6 25.0 25.4 25.8 26.3 26.7 27.1 27.5 27.9 28.3 28.7 29.2 29.6 30.0 30.4 30.8
  30 24.0 24.3 24.7 25.1 25.5 25.9 26.3 26.7 27.1 27.5 27.9 28.3 28.7 29.1 29.5 29.9
29 23.3 23.7 24.1 24.4 24.8 25.2 25.6 25.9 26.3 26.7 27.1 27.4 27.8 28.2 28.6 28.9
  28 22.7 23.0 23.4 23.7 24.1 24.5 24.8 25.2 25.5 25.9 26.2 26.6 26.9 27.3 27.6 28.0
  27 22.0 22.4 22.7 23.1 23.4 23.7 24.1 24.4 24.7 25.1 25.4 25.7 26.1 26.4 26.7 27.0
  26 21.4 21.7 22.0 22.4 22.7 23.0 23.3 23.6 23.9 24.2 24.6 24.9 25.2 25.5 25.8 26.1
  25 20.8 21.1 21.4 21.7 22.0 22.2 22.5 22.8 23.1 23.4 23.7 24.0 24.3 24.6 24.9 25.2

※ 最近エアコン大手メーカーのダイキンでも
     ダイキンは 新・28℃ 除湿をすれば
                    温度控えめでも快適と宣伝をされているようです。
 
 
  参考までに体感温度試算結果を下記しておきます。
image
   体感温度計算
(ミスナールの計算式で算出
       v=0.1m/s)


 昨年押詰まった12月半ば、 博多工高同級の冨田慎二郎君から突然電話が有り
実は来年 7月末会社 カッパー工業㈱ 創立40周年記念を行う予定だが、同級生として是非出席願いいとの由。
又 その際、 友人代表としてひと言スピーチを頼むと言い渡されてしまった。
 
 それ以来 式典当日7月29日の朝ギリギリまで原稿の書込み内容を推敲の数々
自問自答に明け暮れる事 半年余り、 七転八倒の苦しみを味わってしまった。
余談乍ら西日本新聞発行「福岡県百科事典」前田建一師の原稿用紙2ページ、 
と今回の持ち時間3分は、 共に制約ページや時間に大半苦労を強いられもした。
 
壇上 同級生代表挨拶
              級友代表挨拶、 カンペを堂々と?
 ともあれ それにしても盛大な記念式典だった。
 (案内状に当日心付け等一切無用のお達し、とtellにて再確認のダメ押し)
式典会場は 福岡市中心部中洲川端の「ホテルオークラ」大宴会場、 出席者は
現役国会議員3名含む120~30名程度だったろうか、会社関係者が過半だったが、
彼の公私に渡る広範なお付き合いには政治家や宗教関係者含め半ば目が点!
 
   鏡割りをはじめ、演舞や多士済々の名演説やスピーチに酒宴たけなわな内に
吾が順番が巡り来て一際高き舞台に直立、 余りに見通しの良さに頭が真っ白!
かねて準備の予定稿を通読、 発声や活舌も無茶苦茶なままに終始して自爆。
当日出席者の名簿・座席一欄を会場に忘れてきた様で、当日を思い出す上で
不憫をかこっている。 
 
同級生肩組記念写真
 写真は左より福本照捷、高田浩、花崎映助、冨田慎二郎、私(木村)、 萩原雄生君
 
 このメンツで五月に一度冨田君の計らいで一席を設けて戴き会飲食、 以来の
再会。 花崎君を除き皆アルコールは現役だったのが嬉しい。74~5歳なのだが
一応に元気そう。 花崎君はソフトボールで、今尚現役とは恐れ入る! 
 
 さて肝心の冨田君と会社に一部触れて紹介させて戴くが、 卒業以来既に50数年
余り経過、記憶も定かでないが・・・以下。
 
 彼(以下 冨田君)は学生時分から青雲独立の気概芬々の個性の持ち主だった。
クラス55人は皆仲が良く、校内だけの付き合いながら良い思いでのみ蘇える。
しかし乍ら彼の個性は、毅然とした雰囲気は今も尚現役の感。
 
 五月に聞かされ知った事だが、小学低学年の頃お父様を交通事故で亡くされ
毎朝配達のアルバイトを済ませて登校、 私も小中校生の一時期新聞配達をして
いたが、ほんの1年足らず。 彼はほぼ全うしたのだから同僚(?)として実感出来る。
お父様の事故だが、今川橋付近で進駐軍の車が絡む事故で、今なら一大政治
的トラブルとして取上げられ、それなりの補償も得られた事だろうが、 当時の
進駐軍(恐らく米軍?)はお上以上!  とても充分な補償までは行かなかったのでは。
 
 又 学生の3年2学期頃はクラスほぼ全員就職も決まり緩んだ気分横溢の中、
机に向かい受験勉強に励んでた姿は、今なお記憶に残る。
 一方私も軽飛行機T.K.号(木製機)の完成に向け土、日は無論春夏冬休みは
前田航研(糸島・北原)の工場で徹夜に近い作業は卒業式直前まで、互いに気の
抜けなかったは同志とも、そしてクラス唯一技術系会社設立の起業の仲間であった
のは奇縁か?
 
 40年前の多分まだ寒い頃、連絡が有り清原君と共に、私の行きつけ
東中洲のうなぎ屋座敷で、起業の決意を聞いていました。
私が 長崎で船舶設計を立上げて丁度10年、福岡移転5年目の事でした。
 
 どこでどう連絡ついたのか定かではないが、福岡はまだ5年目(当時)。
級友の所在等不明のさなか、 懐かしさが込み上げて来たのがつい先日の事。
その時同道の清原君はこの3月没したとの由、 合掌
 
 彼の努力の結晶 「カッパー工業㈱」は H.P.で知るかぎり 水処理技術で
福岡はもとより九州に於いても勇躍、 公共事業やリバレイン(中洲)、マリンメッセ
等々名だたる業績を誇り、 カッパー(銅)は既に珠玉の域に達したかに思える。
     カッパー工業㈱H.P.  http://www.copper.co.jp/
 
 私が最も注目し尊敬するのが、無借金経営です!
福岡で事務所を立上げて以来、 オイルショック、ドルショック、造船所倒産・
不渡り手形によるダメージの数々、 最後はバブル崩壊(一利も恩恵に浴さず)
等々に翻弄されてきた身には及ぶ筈も無く。
 
 それ以上に代表取締役として今尚現役である点、 ツマリ現在進行形。
何れ次世代に引き継ぐ時まで、何処に、何処へ、何処まで立向かうのか・・・。
同級生として健康を気遣うと共に、楽しみでもあります。 この項 完