お母様やおばあちゃまのお振袖を、
お召しになる場合、
三つのやり方があります。
①そのままお手入れだけして
お召しになる場合
②裄だけ直してお召しになる場合
③全体的に縫い直してお召しになる場合
①は身長差が5㎝ぐらいまででしょうか?
よく、身長は変わらないのでと
お越しになる親子さんが多いのですが、
手足の長さが違いますので、
腰ひもの位置も変わってきます。
勿論着付けで、ある程度は融通できますが、
限度があります。
洋服の上からはおったぐらいでは、
わからないものです。
裄は、ご本人をお測りして、
おきものの裄と比較し、5分までは、
良しと出来ると思います。
②の場合は、基本的に、
焼けてないか、縫込みがあるか?
胴裏も足りるかなど、
色々の事を検討せねばなりません。
先日のお嬢様の場合は、
袖口側の縫込みが多いお袖でしたので、
袖を解いて縫い直せば、
ご希望の寸法になるが、
そうしないと、
希望の寸法より1㎝短くなるという物でした。
たかが1㎝されど1㎝です。
焼けている場合には、
色直しという追加作業が必要になります。
胴裏が足りないから、
希望の寸法にならない場合もあります。
その場合は、剥いで足すのか、
胴裏自体を新しくするのかなども
検討せねばなりません。
また、裄だけ直す場合には、
先ほどと同じく、
身丈が足りるという条件を
クリアした場合のみです。
③の場合ですが、
20年以上前にお仕立てしたお品ですと、
縫い糸が弱っている場合もございます。
ここで、全体を解くかどうかの問題として、
解いて仕立て直すのに見合うお品物か
どうかを見極めさせていただき、
次に、お振袖の布幅でご希望の裄に
することが出来るかを見ます。
最後に、身丈がご希望の寸法に
なるかどうかを見ます。
ただ、奥の手として、
万一ご希望の寸法に身丈が出ない場合ですが、
帯の下に入る二寸であれば、
別布を足すということが出来ます。
しかし、これには、
考えなくてはならない事があります。
お振袖というものは、
お母様がお着付けを出来る場合でなければ、
基本的に、どちらかのどなたかに
着せていただかなくてはなりません。
その時に、剥ぎの入ったお振袖を
お持ちになるのはどうなのかという事です。
気にされないようでしたら良いのですが、
そのあたりも含めて、
良く打ち合わせを
させて頂かなければなりません。
最後に、全体を解いて仕立て直す場合に、
元の縫い目の汚れや焼けを直す
必要が出る場合が多くあります。
また、金駒刺繍などの
縫い付け糸の弱りなどで、
補修が必要になる場合もございます。
ですので、ご予算として、
追加料金が発生する場合もございます事を、
しっかりご理解の上、
進めさせていただく事が大切だと思います。
出来上がり後に、
小物も別途必要になりますし、
お手頃なお振袖のフルセットより、
お代がかかってしまう場合もございます。
ですが、そのお振袖と同等のお品が
そのお値段で揃うかどうかのご検討は、
していただけると宜しいかと思います。
お問い合わせは、きもの蔵人みやもとまで。