MDM-1 FOXフルモールド化(その6)胴体の真空成型
これは初めての試みになります。主翼などど違って深い3D構造の成型をどうやったら真空引きできるんだろうかな?とずうっと思っていたのですが、以前ご紹介したイギリスのEasy Composites社のYoutubeを見ていたら出来そうな気がしてきましたので今回初挑戦です。この中で、説明役のポールさんがバッキングフィルム(最後に被せるプラスチックフィルム)のシーリング作業はストレスになるけど、こうやったら大丈夫的な説明をされていましたが、「こうやったら」をまねて3回ほど成型しましたが、ストレスは変わりませんでした(^^♪。3D形状のシールを2Dフィルムでカバーするんですからつじつまが合うはずはありません。うまく処置できた部分も有りますが、360度ぐるっと一周したら、さあ大変、どうやってつじつま合わせたら良いかな????結局いつもの油粘土の多用で何とか真空引きのできる状態まで持っていくのが精一杯でした。
先ずは、ガラスクロスの積層ですが、最外層にはいつもの25g/m^2のマイクログラスを1層使い、次に200g/m^2のガラスクロスを3層積層します。
プロトタイプでは一枚物のガラスクロスにしていましたが、作業性が悪いので4分割にしています。ただし分割部は絶対同じ位置にならない様に注意しないといけません。
これは既に真空引き最中です。なお今回の通気材は不織布の代わりにカーテンに用いるレース地を使っています。これは柔軟性が良い為と、エポキシが付いても生地強度が強いので強引に引きはがすことができます。
排気口はモールドシェルフランジ部分に設置します。主翼取り付け部には多量の油粘土を押し込んで、エッジ部分を確実に押し込むようにしています。
シーリングテープですが、当初こういった用途向けの商品を購入したのですが、値段が高くて使える代物ではなかったですので、安価な代替品を探しました。材質はブチルゴムです。自己融着性のあるもので、皆さんも接着テープ売り場でみかけるかと思います。最初は1mm幅を購入したのですが、幅が狭すぎて作業性が悪く、
次いで、10mm幅を購入、これは作業性はバッチリですが値段が高い(*'ω'*)。
最終的に落ち着いたのが、3mm幅でした(^^♪。
このブチルテープですが接着性はプラスチックフィルム、モールドシェル共に全く問題なく、2昼夜程度の接着期間なら引きはがし後の粘着物の残留はほぼ無しという、うってつけの商品でした。
続きます。
MDM-1 FOXフルモールド化(その5)動翼の切り離しとヒンジライン
主翼、スタブに関する掲題の説明を一気に行いたいと思います。最終仕上げですからここで失敗したら衝撃は大きいです。特に心配なのが、直線定規が良く滑ることで、ヒンジラインがあっという間にあらぬ方向に走ってしまいます。例えばこのスタブですが、平坦ではなくしかも中央が盛り上がっていますからお尻のすわりは極めて悪いのは容易に想像できますね。さてどうしようか?何か滑り止めは無いかな?
ありましたネ。100均に。調理用品売り場にあったシリコンラップです。これを必要な大きさにカットして、翼に載せ、
直線定規を乗せて、Pカッターで線を引きます。
それでも神経使います(^^♪。またこのヒンジライン部分にはアラミド繊維のテープを入れてありますから、ちょっとやそこらでは切れたりはしませんので安心要素です。動翼の切り離しには、こういった治具を準備して、もちろんシリコンシートは貼ってあります。
切りたい場所に貼り付けて、ノコでごりごり切断します。
主翼は大きいので安定させるために、いつもの保持台の上に固定して作業を行いました。
切断すべき位置については、テンプレートを当てますが、念のためにLED照明に透かして、位置を確認しています。これはカップリング時に内装部品が動いてしまいますので、その位置状況で加工位置も若干調整しています。
実際例えば主翼の場合、1mm位のずれはあちらこちらに有りましたので正確には主翼左右の動翼の寸法は完全には一致していません、特にヒンジラインについてはカップリング時に入れたバルサ材の位置によって上の写真の様に、透かしたシルエットの中央をヒンジラインとしています。これはここの開口作業のしやすさを加味してもいます。
手順としたら以下のようになっています。
最初にテンプレートを当ててバルサ部品がどうなっているか確認します。バルサがある事を確認します。
先ほどの透過光でヒンジラインが決まりますので、鉛筆でその線をケガいておきます。
開口します。
開口部の内部をハンドルーターで切削します。ここはマイクロバルーン入りエポキシがはみ出していたりもしますので余計な部分を取り除きます。ここでもまたアラミド繊維のテープがありますので、ルーターの刃が上面に突き抜ける事はめったにありません。
終端部が明確になったら、ピンを上面に突き出るまで差し込みます。
ひっくり返して、ピン穴2点を結ぶ直線状に直線定規を当ててPカッターでヒンジラインを入れます。
次に主翼のサーボモーターメンテナンスハッチ部の開口は、まずはテンプレートでケガキ線を入れて、
その線を狙ってハンドルーターで切断して、
完成です。この時サーボモーターの配線を切らない様に注意が必要ですので、いたずらにビット(刃)を奥に差し込まない様な注意が必要です。
次回からは、胴体の真空成型について説明します。
続きます。
MDM-1 FOXフルモールド化(その5)PVAの塗布
PVA(ポリビニールアルコール)なる物質ですが、ご専門の方々に叱られそうですが、水溶液中に成分がプカプカと分散した溶液(エマルジョン)だよと思って頂けば宜しいかと思います。これをモールドシェル表面に塗布すると、下図のように疑わしい開気泡を塞いでくれる効果が期待できるという事です。
ただ、でこっぱちが今までこれを使うのを拒んでいた理由には、いろいろあって、
1.工程が増えるだけでなく品質(表面状態)にばらつきが出る。
⇒つまり、塗った表面がモールドシェルの表面になってしまう。
2.色の塗り分けが出来なくなる。
⇒マスキングテープを使った今回の様な塗り訳は絶対にできない。エアブラシでグラデーションならいけますが・・・。
3.これが一番大事、どうやって塗るの??
モールドシェルで成型後、型から取り出して、製品の表面をサンディングして、サフェーサーで処理して、仕上げ塗装をするような工程であれば、モールドシェルの寿命は間違いなく伸びるので、メーカーさんの様な立場の方は歓迎でしょうが、今回のようにモールドシェルから取り出したらそれが製品表面ですってな工程では全く論外かも・・・・。ただ今のモールドシェル表面の状態が致命的であれば致し方ないか・・・。
ということで、やるしかないので、どうやって塗ったら良いか、試してみました。
先ずは刷毛塗り・・・・、結果は論外。液だれを起こして開いた口が塞がらない(^^♪。
いつもの実験型を使っての確認です。青の濃い部分が液だれを起こしています。
クラック(割れ)の入った箇所にも塗ってみましたが、弾けるような仕草は全く感じられず、これは行けそうです。
念のためポリウレタン塗装をして剥がしてみたら、PVAは塗膜と一緒に剥がれていますので全く問題なしでした。
ではどうやって塗ろうか?100均で塗装用のコロを買ってきて塗ったら毛だらけになって、これまたボツ。やっぱりエアガンだよね、とやってみたら見事に液だれだらけ・・・・(・_・;)。
Youtubeでいろいろ検索したら有りました。アメリカの方だと思うのですが、彼もまた専門家に方法を聞いてやってみました的な動画で、要はスプレーバーからの溶液突出量を極限まで減らして、すなわち、エアガンから出たら塗装面にたどり着くまでに溶液がカラカラになって粉が降り積もる的な考え方でそれを3回繰り返せば良いという結論でした。なんてことはない、でこっぱちがその昔塗装時の圧縮エア中の水分で苦しんだ時の解決策がまさにそれでしたので早々に合点し、実行に移しました。画像はないですが、液だれは皆無でしたが表面は比較的梨地肌ってところでした。また問題も発見できて、素手で触った箇所は溶液が弾きます。塗装では一般的な注意事項になるのですがこれが顕著に出る傾向がありそうですので、離型工程とその後のワックス塗布工程では素手は厳禁と言った感じになります。これさえ注意すれば大局的には行けそうなので、これでやってみようとなりました。また下面の塗料は白でもちろん塗り分けは無しです。
離型結果は、唖然とするくらい良好でその後のPVAの水洗もあっけないほど簡単に済んでいました。結局これを2機分製作しています。ただ表面は、ポリウレタン塗装吹きっぱなし状態で本来の表面状態からは大幅に異なっていますが仕方ありませんネ。
続きます。





























