「氷の闇を越えて」スティーヴ・ハミルトン著・・・★★★☆
わたしの心臓のすぐそばには、一発の銃弾が眠っている。わたしが警官だった時代にローズという男に撃たれたものだ。あれから14年が過ぎた今、私立探偵となったわたしのもとにローズの署名のある手紙が届く。手紙は、最近わたしの身辺で起きた連続殺人はローズ自身の犯行だと告げていた。彼は逮捕され、刑務所で服役中なのだが……
著者は「解錠師」で2013年版「このミス」1位を獲得。
デビュー作の本書は1998年「アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞」を受賞した。
「解錠師」は巧みなプロットとハートウォーミングなストーリーが印象に残る素晴らしい作品で本国でも高い評価を受けたが、果たしてデビュー作はどうか?
アレックス(元警官の私立探偵)の富豪の友人の周辺で連続殺人が起き、刑務所に収監されている筈の男・ローズからアレックスのもとへ連続殺人の犯行声明が届く。
ローズに同僚を射殺され、自分も銃撃され胸には今も銃弾が残っている。
事件の記憶がよみがえり、ローズの影におののくアレックス。
刑務所にいる筈のローズの正体はいったい誰なのか?
ストーリーは王道的クライムノベルといった作風で、終盤で事件の真相が明かされる。
手堅い作品ではあるものの展開が地味目で「解錠師」に比べると凡庸である事は否めない。
もうひと押しスリリングさが欲しかった。
なお本作の後、「アレックス・マクナイト」シリーズとして現在8作品が刊行されている。
氷の闇を越えて〔新版〕 ハヤカワ・ミステリ文庫
907円
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