783冊目 半席/青山文平 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「半席」青山文平著・・・★★★☆

御家人から旗本に出世すべく、仕事に励む若き徒目付の片岡直人。だが上役から振られたのは、不可解な事件にひそむ「真の動機」を探り当てる御用だった。職務に精勤してきた老侍が、なぜ刃傷沙汰を起こしたのか。歴とした家筋の侍が堪えきれなかった思いとは。人生を支えていた名前とは。意外な真相が浮上するとき、人知れずもがきながら生きる男たちの姿が照らし出される。

 

2017年版このミス4位の作品。

徒目付(かちめつけ)片岡直人が事件に隠れた真相を探る6編からなる連作短編集。

 

切り口の鮮やかさは直木賞作品「つまをめとらば」には及ばないものの、どの作品も事件の背後に人情があり青山文平らしく巧い。

生真面目な片岡に対し、酒と旨い物好きで飄々とした上司・内藤雅之や職を転々とする謎の人物・沢田源内との対比も面白い。

 

現代物のミステリィと較べ派手さは無いものの、心の機微を巧みに描いた良い短編集だと思う。

 

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