「月と蟹」道尾秀介著・・・★★★☆
海辺の町に祖父と母と暮らす小学生の慎一。よそ者として、クラスになじめない慎一は唯一の友達・春也と、ヤドカリを「ヤドカミ」様という神様に見立てて遊ぶことをはじめる。最初は単なるごっこ遊びだったものが、偶然を重ね、次第に切実な願いをこめた儀式へと変わっていく。同じ年の少女・鳴海をまじえ、それぞれに親への複雑な思いを抱える三人の関係もゆらぎはじめる。少年少女たちは痛みを胸に秘めながらも、大人になっていく。少年時代の最後の日々を描く傑作小説。
第144回(2011年)直木賞受賞作。
父を癌で亡くし、母親と祖父の3人で暮らす主人公の小学生・慎一。
慎一の唯一親しい男友だちで父親から暴力を振るわれる春也。
慎一の祖父の船で漁に出た母を亡くしたクラスメイトの鳴海。
著者の作品は独特な雰囲気を持っているが、本作は大人たちの世界に翻弄される3人の子供たちの心に潜む苦しみと葛藤を描き、息苦しい閉塞的な世界を持った独特な作風で、ホラーテイストな純文学的作品といった感じ。
子供たちの喜びと苦しみ、無垢さと残酷さの混在が巧く描かれている。
書評が少ししにくい作品でこれ以上の事が思いつきません。。。ort
今年はこれにて終了です。
一年間お付き合い頂きありがとうございました。
月と蟹 (文春文庫)
637円
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