「王とサーカス」米澤穂信著・・・★★★
新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれ、事前調査のためネパールに向かう。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を送ろうとしていた太刀洗だったが、王宮では国王をはじめとする王族殺害事件が勃発。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。
本作は2016年版「このミス」ランキング1位を獲得した他、「週刊文春ミステリーベスト10」で1位、「このミステリーが読みたい!」でも1位を獲得し、Amazonでも高く評価されている。
しかしながら、私には本作の良さが全く分からなかった。
2001年、実際にネパールで起きた王宮内での王族殺害事件を題材に、雑誌記者大刀洗万智が巻き込まれた殺人事件の謎を描く。
国を揺るがす程の王族殺害事件と王宮を警備していた軍人の殺害がどう結びつくのか?王族殺害の真相に大刀洗は迫る事が出来るのか?
壮大な展開を期待しながら読んだものの、読めども読めども小粒な描写ばかりで、肝心なミステリィのハラハラドキドキ感も熱量も希薄。
拍子抜けするスケールの小さい事件の真相と、良い事を訴えた風の結末も貧弱で、毒気の無い品行方正で退屈な作品だった。
これの何が面白いのだろうか?
私の感覚が狂ってる?
スケールの大きさを期待したのが間違いだったのかも。
翌年に出た同じ大刀洗万智シリーズの短編集「真実の10メートル手前」は良かったのにね。
それにしてもこれが1位とは、海外作品とは雲泥の差。
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王とサーカス (創元推理文庫)
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