736冊目 ドルジェル伯の舞踏会/レイモン・ラディゲ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「ドルジェル伯の舞踏会」レイモン・ラディゲ著(堀口大學訳)・・・★★★

 

「肉体の悪魔」と本書を遺し、二十歳で夭折した早熟の天才ラディゲに日本の早熟の天才三島由紀夫が傾倒し、「私の聖書」とまで言わしめた作品。

 

確かに「肉体の悪魔」と同じく、二十歳の若者が、不倫に纏わるそれぞれの人物の揺れ動く心理描写を緻密に描いた事には驚嘆する。

が、非常に読みづらく、たった200P少々に数日も掛かってしまった。

 

隙が無く密度の高い文章は、少しでも他所に気をとられると、何が書かれているのか分からなくなる熟読を要するタイプの作品。

それに加え会話文が少なく、堀口大學訳の特徴なのか、センテンスが短く、文末が「・・・だった」の連発で流麗とは言い難い説明文のような文体。

例えて言えば、昔のTVドラマで、人の心情描写をナレーションで説明していたが、本作はすべてナレーションで説明しているような感じだった。

 

ところが、三島はこの訳を絶賛し「私は、堀口氏の創った日本語の芸術作品としての『ドルジェル伯の舞踏会』に、完全にイカれていた。」と語り、他にも横山利一、大岡昇平、堀辰雄など多くの作家も影響を受けている。

 

「肉体の悪魔」(松本百合子訳)は拙いと感じるほど平易だったのだが、、、

私が悪いのか?訳が悪いのか?。。。(私に決まってるよな。。。( ̄_ ̄ i)

 

現代の感覚からすればストーリーは古典的で、この手の作品なら良い作品が他にもあると思うが、悔しいので他の訳でもう一度読んでみようかな~?と思う今日この頃である。。。(;´Д`A

 

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