734冊目 まっぷたつの子爵/イタロ・カルヴィーノ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「まっぷたつの子爵」イタロ・カルヴィーノ著・・・★★★☆

メダルド子爵は、戦争で敵の砲弾をあび、まっぷたつにふっとんだ。左右べつべつに故郷の村にもどった子爵がまきおこす奇想天外な事件のかずかず…。イタリア文学が生んだもっとも面白い物語として読みつがれる、スリリングな傑作メルヘン。

 

カルヴィーノの1952年の作品。

 

村の政治を司るメダルド子爵が戦争に行き、砲撃を受けて体が真っ二つとなり、右半身だけが帰郷する。

しかしメダルドは人格が変わってしまい、罪の無い人たちを次々と処刑し、目に付くものは手当たり次第に刀剣で真っ二つに切断し、「悪半」と呼ばれ村人に恐れられた。

そんな時、メダルドの左半身「善半」が村に帰って来る。。。

 

「善半」が言った印象に残った言葉

「ああ、パメーラ、そこがまっぷたつにされているものの良い点なのだよ。この世のすべての人が、そしてすべての生き物が、それぞれに不完全であることのつらさに気づいてさえくれれば。かつて、完全な姿をしていたときには、わたしもそれがわからなかった。そしていたるところにばら撒かれた傷や苦しみに気づかずに、わたしは平気で歩きまわっていた。完全な姿のものには、なかなか信じがたいのだ。パメーラ、わたしだけではないのだよ、引き裂かれた存在は。あなたも、そしてすべてのものが、そうなのだ。―――」

 

カルヴィーノは小難しい作品もあるが、本作は大人向けのお伽話のような感じで、奇想天外な話でありながらも哲学的で、奥の深い作品だった。

本書も図書館のヤングコーナーに置かれていたが、オジさんにも充分通用する本がたくさんあっていい場所を発見した。

 

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