694冊目 愛の領分/藤田宜永 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「愛の領分」藤田宜永著・・・★★★★

妻に先立たれた男と、不倫相手の自殺を経験した女。愛を信じられない彼らは、それでも出会ってしまった。すべてをかなぐり捨ててた4人がゆきつく果ては…。

 

第125回(2001年)直木賞受賞作品。

著者の名前だけは知っていたが小池真理子の旦那さんという事を知り読んでみた。

 

妻を亡くし、東京でテーラーを営む主人公・淳蔵の元に昔友人関係にあった男・高瀬が突然訪れる。

高瀬の父は昔、淳蔵の父が長野で経営していた旅館・田山旅館を買収し、高瀬の妻・美保子と淳蔵は不倫関係にあった。

高瀬は旅館を手放し、美保子が難病を患っている事を打ち明け、淳蔵に見舞いに来て欲しいと頼まれる。

淳蔵は美保子を見舞いに長野の高瀬宅を訪れ、そこで高瀬の娘に絵を教えている元田山旅館の従業員・太一の娘・佳世と再会する。。。

 

何となくミステリィテイストのする作風で、過去を引きずりながら現在を生きる4人の愛憎劇を描いた大人の恋愛小説。

奥さんの小池真理子とは違い心理描写などに物足りなさも感じず、古典的ではあるものの安定感があり安心して読めた。

 

他の作品も読んでみようか、とも思わせる作家だった。

 

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