「東京アクアリウム」小池真理子著・・・★★
自殺したかつての不倫相手をパーティーで目撃した女性とその友人を描く表題作ほか、大都会の片隅にたゆたう八人の肖像。日常に不意に覗く刹那の記憶を切り取るスタイリッシュな短篇集。
先日読んだ「恋」で直木賞を受賞した著者が得意とする短編集。
「恋」を読んだ時に感じた、物足らなさが顕著に出た短編集だった。
8篇からなる本書は、すべて主人公である女性の視点から描いた作品で、殆どが恋愛や不倫など男との関係を描いている。
ストーリーは多彩であるものの、薄っぺらで深みが無い。
「仏像作って魂入れず」といった感じである。
紹介文に「スタイリッシュ」な短編集とあるが、文体は平易でサクサク読めて、深く考えず手軽に読みたい人には合ってるかもしれない。
三島由紀夫の評論をしている著者だっただけに期待を持っていたが、三島に影響された様な感じはまるでしないし、そうで無くても物足らない短編集だった。
ミステリーなら良いのかなぁ?
東京アクアリウム (中公文庫)
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