679冊目 白の闇/ジョゼ・サラマーゴ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「白の闇」ジョゼ・サラマーゴ著・・・★★★☆

ある男が、突然失明した。それは原因不明のまま次々と周囲に伝染していった。事態を重く見た政府は、感染患者を隔離しはじめる。介助者のいない収容所のなかで人々は秩序を失い、やがて汚辱の世界にまみれていく。しかし、そこにはたったひとりだけ目が見える女性が紛れ込んでいた……。

 

著者はポルトガルの作家で1988年にノーベル文学賞を受賞し、本書は「世界最高の小説ベスト100」に選出されている。

1995年刊で100冊の中では一番新しい作品。

 

ストーリーは紹介文にある通り、突然失明したひとりの男から原因不明のまま次々に失明が伝染し、多数の発症者が軍により厳重に監視された元精神病院に収容されたが、1人だけ目が見える女性(眼医者の妻)が紛れ込んでいた。

人々は、餓えと汚物にまみれた衛生環境の中で秩序を失い、やがて食糧を巡りグループ同士の内乱が起きる。

収容所は火が放たれ崩れ落ち、外界に解放されたものの、町にも失明し食糧と寝起きする場所を求める人々と死体があらゆる所に転がり、収容所と変わらぬ凄惨な世界が待っていた。。。

 

展開は単純で文章も平易であるが、会話文が括弧書きでなく、改行もされていないので普通の本と較べ本の厚さ以上に長い。

 

この物語で鍵を握るのが、ひとりだけ目が見える眼医者の妻で、目が見える事を悟られないように、グループの人達を手助けして生き延びていく。

 

法を失ない秩序の無い閉鎖された空間で、人間たちはどう行動し、人間としての尊厳を保てるのか?

現代の文明社会で、もしこのような事があったら、果たして人間は生き延びていけるのか?

そこで必要なものは何なのか?

 

本作は寓話で哲学的だと高い評価がされ、「世界最高の小説ベスト100」にも選出された訳だが、この程度のものが果たして「世界最高の小説」に値するのだろうか?というのが私の正直な感想。

 

このような問題提起をテーマにした作品なら、他にも良い作品が多く存在していると思うが。。。

 

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