637冊目 逆さまゲーム/アントニオ・タブッキ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「逆さまゲーム」アントニオ・タブッキ著・・・★★★☆

本書は、現代イタリア文学の旗手アントニオ・タブッキが、見事に「逆さまゲーム」でありながら、頭脳的なゲームにおわることなく、ふかい人間的な感動をともなう世界をノスタルジックに描く。

 

現在、日本で知られている、イタリア文学作家といったら極少数だろう。

各国の文学についてウィキペディアで調べても、メジャーなイギリス、ロシア、ドイツ、フランス、アメリカなどと較べると、その人数や文学史などの情報量には各段の差がある。

そんな中で、タブッキは日本語訳も多く、日本では一番人気のあるイタリア作家ではないだろうか。(他にはイタロ・カルヴィーノか?)

私は過去に3冊の著作を読んでいるが、3冊とも非常に面白く、その作風に魅了された数少ない(?)ファンの1人である。

 

さて、本書であるが、著者の3作目の作品(1981年)で、11篇からなる短編集である。

以前私が読んだ3冊(「遠い水平線」「供述によるとペレイラは・・・・・・」「インド夜想曲」)と較べると難解(特に文章が難しい訳ではない)というか、「ヘッ?」と言う感じでどう捉えたらいいのか?オチが良く分からない作品集だった。

上記の3冊はどれも違う作風だったが、これもまたそれらと違う作風である。

 

訳者あとがきには、

「反対側に立つ」ことによって、タブッキは私たちが日常、こうにちがいないと思い決めていることを、ぐるりと裏返してみせ、そのことによって、読者はそれまで考えてもみなかった日常の裏側に気づかさせられ、あたらしい視点の自由を獲得することになる。

。。。とあるが、残念ながら私にはその自由を獲得できなかった。(x_x;)

 

こんな事にはめげずに、これからもタブッキは読んでいきたい作家である。

 

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