「魅惑者」ウラジミール・ナボコフ著・・・★★★☆
ナボコフといえば名作との誉れ高い「ロリータ」が知られているが、本書はその原型となった作品のようである。
本作も「ロリータ」と同じく、1人の少女に魅せられた中年オヤジの話である。
少女を自分のものにするために、未亡人である母親に近づき義父の関係となるが、邪魔者になった妻を毒殺しようか?などと考えを巡らすオヤジ。
しかし、妻は病んでおり都合よく病死する。
オヤジは少女を連れ出し旅に出る。
少女と2人になる事を妄想しながら、ホテルに到着するが。。。。
ストーリーは極単純で、100ページ程の短い作品(本書の後半1/3はナボコフの息子による本作の解説)ではあるものの、言葉の魔術師と称される著者だけに、少女に対する異常愛を濃密で含蓄のある文章で綴られ、どこか哲学的でもあり(特に結末の文章表現は凄い)、傑作となった「ロリータ」の片鱗を伺わせる。
近々その「ロリータ」を再読してみたいと思う。
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