[過去記事] 蚊媒介性疾患のリスクが英国に迫る - 研究 | KGGのブログ

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https://www.bbc.com/news/health-67654008

 

英国に蚊媒介疾患のリスクが迫る-研究

2023 年 12 月 11 日

スミサ・ムンダサド

健康レポーター

 

 

 英国の一部は、2040年代から2050年代までにデング熱、チクングニア熱、ジカウイルスを蔓延させる可能性のある蚊の生息地となる可能性があると保健当局者は警告している。

 

 英国保健安全庁(UKHSA)の報告書は、2100年までに大量の排出ガスと気温が4度上昇するという最悪のシナリオに基づいている。

 

 その他の影響としては、暑さによる死亡者数の増加や洪水などが挙げられるという。

 

 しかし、潜在的な問題の多くは、迅速な行動によって依然として回避可能であると同報告書は述べている。

 

 温室効果ガス排出量を大幅に削減すれば、最悪の結果の一部を回避できる可能性があると付け加えた。

 

 この報告書には90人の専門家が参加し、気候変動が私たちの健康に及ぼす現在の影響についての「実質的かつ増大する」証拠がまとめられている。

 

 また、気候変動に対する国際的な約束が適切に守られなかった場合に起こり得る「もっともらしい最悪のシナリオ」に基づいて予測も行っている。

 

 現在の国連環境計画の推定では、現在の公約に基づいて、世界は2100年までに約2.7℃温暖化する軌道に乗っていることが示唆されているが、正確な数字は不明である。

 

 レディング大学の教授ナイジェル・アーネル(気候変動学)は、「気温がそこまで上がらないことを我々が望んでいるのは明らかだが、医療資源を計画する際には最悪の事態に備えるのが賢明だ。もし我々が気候変動を過小評価した場合の結果はリスクは非常に重大である」と述べた。

 

 健康上の大きな懸念の一つは、英国がAedes albopictusとしても知られるヒトスジシマカなどの外来種の生息に適しつつあることだ。

 

 この蚊は感染者を刺した後にのみ有害なウイルスを運ぶが、ロンドンでは2060年までにデング熱の定期的な発生が見られる可能性があると報告書は述べている。

 

 このウイルスは熱帯地域で最も一般的に見られ、人々を重篤な症状に陥らせる可能性がある。

 

 英国で最初に影響を受ける国はイングランドとなり、ウェールズ、北アイルランド、スコットランド低地の一部も今世紀後半には生息に適した地域となるだろう。

 

 近年、フランスではデング熱、イタリアではチクングニア熱の感染例がこの蚊によって引き起こされている。

 

 英国保健安全庁(UKHSA)はすでに、英国国境に設置された蚊の卵を検出する罠のネットワークなど、侵入蚊を迅速に発見するための監視システムを導入している。

 

 UKHSAのジョリオン・メドロックは、最悪のシナリオではこれを拡大する必要があるだろうと述べている。

 

 英国は蚊の一般的な繁殖地であるため、この昆虫が英国に住み着いた場合、人々は水を安全に保管する方法も考慮する必要があるだろう。

 

 これは、庭に溜まった水をバケツに集めないようにすること、子供用プールに蓋をすること、雨を集める可能性のある容器をひっくり返すことを意味すると付け加えた。

 

 温暖化が緩やかで緩和されれば、これらのリスクは数十年、あるいは今世紀を超えて遅れる可能性が高いが、一度これらの蚊が侵入すると、その定着はほぼ元に戻せないと報告書は述べている。

 

 高度温暖化シナリオの下で、行動が伴わなければ、次のような事態が起こる可能性があると報告書は述べている。

・2050年代までに猛暑により年間最大1万人の超過死亡が発生

・特に高齢化が進む人口において、寒さに関連したかなりの数の死亡者

・英国が輸入に依存している国の異常気象による果物や野菜の価格と供給への影響

・降雨パターンの変化により洪水のリスクが高まる

・特に若者の精神的健康と幸福に大きな影響を与える

 

 専門家らはまた、気候変動の影響は不平等であり、最も深刻な影響を受けるのは高齢者、病状のある人、貧困地域に住む人、子どもなどの弱い立場にある人たちであると警告している。

 

 干ばつや山火事などのいくつかのリスクは、英国南部地域で最も早く現れる可能性があります。

 

 UKHSAは、的を絞った介入と適応が鍵であり、リスクの多くは回避可能であると述べている。

 

 役立つ可能性のあるアクションには次のようなものがあると記載されている。

・UKHSAのような全国的な暑さ寒さ警報システムがすでに導入されている

・緑地を適切に増やし、治水設備を整備する。

・最も弱い立場にある人々への保護を導入する(例えば、介護施設のエネルギー効率を改善する)

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仮訳終わり

 

 

 

ヒトスジシマカの写真は次から

http://hayarino100.com/wp/2014/09/05/post-2126/

 

 

 

 ヒトスジシマカは日本の東北以南に分布し、感染症を伝播します。

 東京の代々木公園で2014年海外渡航歴のない人にデング熱が発生しました。その事例以前に、代々木公園で、ハワイフェスティパルとタイフェスティバルが行われました。デングウイルスを保有する宿主(人)が、そのフェスティバルに参加していたと言われています。

 輸入感染症ですね。日本にもヒトスジシマカというベクターがいることから、人の移動により熱帯病が日本に侵入することが証明された事例でもあります。

 

2014年国内デング熱発生例について感染症研究所の報告は次のとおり。

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https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2305-related-articles/related-articles-421/5449-dj4211.html

 

代々木公園を中心とした都内のデング熱国内感染事例発生について

(IASR Vol. 36 p. 37-38: 2015年3月号)

 

 2014(平成26)年8月に、海外渡航歴がなく都内の公園等で蚊に刺された方からデング熱患者が発生し、最終的に都内で108人の患者が報告されるに至った。この概要について、平成26年12月24日に発表した「東京都蚊媒介感染症対策会議報告書」の内容を中心に、報告する。

 

初発患者の発生

 2014(平成26)年8月25日、海外渡航歴のない埼玉県在住の10代女性について、さいたま市内の医療機関からさいたま市に対し、デング熱が疑われる患者発生の情報提供があり、26日、患者の検体を国立感染症研究所で検査したところ、デングウイルス遺伝子陽性の結果であった。

 都は、当該患者が都立代々木公園(以下、代々木公園とする)で学校の課外活動中に蚊に刺されたと話しているとの情報を受け、26日夜から翌朝にかけて同公園内10カ所に蚊の捕集トラップを設置し、デングウイルスの保有状況を調査した。また、都内の保健所と連携し、同じ学校に通う学生について、発症者がいないかどうか調査を行った結果、さらに2人(都内在住1人、埼玉県在住1人)がデング熱を発症していること、3人の共通点として代々木公園渋谷門付近で蚊に刺されていたという情報を確認した。

 代々木公園で緊急に行った蚊のウイルス保有調査の結果はすべて陰性であったものの、3人とも海外渡航歴がなく、代々木公園で蚊に刺された記憶があることから、都は28日に、代々木公園を推定感染地とするデング熱の国内感染患者の発生について報道発表を行った。

 

その後の患者発生状況

 代々木公園を推定感染地とする報道発表以降、代々木公園やその周辺に訪問歴のある患者の届出が相次ぎ、都内のみならず、夏休み等を利用して代々木公園を訪れていた他道府県等の患者の発生も報告された。その後さらに、海外渡航歴がなく、代々木公園やその周辺への訪問歴もない患者が報告され、都内では、新宿中央公園、明治神宮外苑、外濠公園、上野恩賜公園などが感染地である可能性があると考えられた。患者の検査結果からは、いずれも代々木公園で感染した患者と同型のウイルスであることが確認され、代々木公園以外にも媒介蚊の生息地が複数に拡がっていることが推測された。

 

都内の医療機関から届出のあった患者の状況

 都内医療機関から届出のあった患者の年齢は4 歳~77 歳、中央値は28 歳、性別は男性60.2%、女性39.8%であった。

 発生届によると8 月下旬~9 月上旬が発症日のピークと推定された。

 代々木公園周辺を推定感染地とする患者発生状況をみると、8月上旬を推定感染日とする患者が複数発生していた。代々木公園に訪問歴のある患者の約8割は、代々木公園を推定感染地とする患者発生公表日(8月28日)以前に感染しており、初発患者関連以外の患者発生が公表された9月1日以降は、それ以前と比べ感染者は減少していた。

 各保健所で実施された積極的疫学調査において、家族間、職場など明らかに繋がりがある二次感染が起きたと考えられる事例は確認されなかった。

 8月中旬には代々木公園以外の場所での感染が推定される患者が発生しており、媒介蚊が生息する場所が複数の箇所に拡がっていたといえる。また9月以降、推定感染地不明の患者が増加しており、患者を介した二次感染も疑われたが、推定感染地を患者1人のみの蚊の刺咬歴や行動歴から判断するのは困難な場合が多く、関係保健所からの総合的な情報集約が重要と考えられた。

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引用一部 一部改変(行頭一文字空け、文献番号削除、()ならびに[ ]説明削除)

 

 

 

ヒトスジシマカ

出典:  hayarino100.com/wp/2014/09/05/post-2126/