伏見稔(Hoodoo Fushimi) 「ハコダテ・レディー」 | KillerKiller Records 覚え書き

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これまで2回記事を書いてきた孤高のオールドスクーラー、フードゥー・フシミ。
「ケンカおやじ」
「Thanatos Of Funk」
ネット上に情報がほとんどない中、リリースされたのはLP2枚とCD2枚というのはわかり、
持ってない最後の一枚も実はAmazonで買えるとわかってていつか買おうと思ってまして。
(フードゥーフシミしか扱ってないショップなんですが、、、ご本人?)
それをこの度購入したら、以前にも購入したのを覚えてていただいたようで
何やらおまけが同梱されていました。

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伏見稔 「ハコダテ・レディー」 7"

ぐぁぁぁ~~~~!!!
まさかの存在すら知らなかった7インチ!!
83年、dharma RECORDSからのリリースです。
MFXでもSYNTAXでもない第3のレーベル判明(笑)
Thanatos Of Funk以前なのでもちろんまだフードゥーフシミではなくMinoru Fushimi名義。しかも漢字。
最近、Thanatos~が極一部で再評価されてるのか
某レコ屋で6万円もの値段がついてたりした矢先にこの発見は感涙です。

さて内容はというと、Thanatosですら日本語ラップは3曲のみ、
しかも83年じゃそこんとこは期待できないかなと思ってたんですが、、、
いや、日本語ラップはないんです。(テーマはあえて日本語ラップにさせていただきます)
ただそれ以上の衝撃的な内容!
ある程度以上の年齢の人ならジャケ見てわかるかもですが、両面ともに演歌のカバー!
北島三郎「函館の女」、城卓矢「骨まで愛して」の二曲を
あろうことかエレクトロファンクカバー!エレクトロファンク演歌!!
TR-606のオールドスクール感あふれるビートにやけっぱちともいえる荒い歌唱が最高!!
「函館の女」ではサブちゃんの真逆を行くヴォコーダーのようなかすれた音質の伸びのない歌。
声が出なくて急に音程下げても勢いで押し通すストロングスタイルです。
対して「骨まで愛して」はねっとりした歌唱にあわせて
Skweeeばりのねっちょりシンセが絡みついてエグイ!
ベース、ドラム、TR-606、パーカッション、ギター、シンセ、ボーカルの全パートは勿論
プロデュース、レコーディング、写真、デザインまで全てひとりでこなす
孤高の宅録スタイルはこの当時から健在。
カバーなので作詞作曲が本人じゃないのがこれまでと違いますが。
う~ん、個人的にはThanatos~以上の衝撃作でした。
やっぱすげえぜフードゥーフシミ!!

さて、これまでフードゥーフシミ全作品を扱ってきたのでもちろん最後にこちらにも触れましょう。

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フードゥー・フシミ 「くさや」 CD

92年、現在までで最後のリリースとなった4thアルバム。
これまで作品を重ねるごとにミュータントHIPHOP的な個性が強くなってましたが
このアルバムにしてそれも極まってます!
サンプリングの使用率が高くなっててフシミ流ミドルスクールに突入した感あり。
全体に祭囃子などの和風なサンプリングや三味線演奏が多いのは今までもですが
声ネタのセレクトも独自過ぎて秀逸、Editうまくなってますね?
トラックもエレクトロファンク、HIPHOP以外に音頭にロック、レゲエなどを
下敷きにしながらもオリジナルすぎるアレンジで攻めてます。
ロックトラック上でロックはあぶねえぞとラップする「ロックやるなよ」
ファンキードラマー使いで声ネタEdit、祭囃子、三味線が絡む「ポイポイ節」
エレクトロ上で喘ぎ声といろんな「Bitch」の声ネタをエディットしたスキット「ある英単語の研究」
とんでもなくアングラ感を匂わしレイシズムに対して歌う「劣等人間」
不穏なトラックに選挙演説をコラージュしたうえで「地元の利益~♪」と繰り返す「地元の候補」
浪曲サンプリングの上で歌、語り、オフビート気味なラップを使い分け
日常に潜む薬品を悲観する「即死はしない毒」
あたりが個人的に好みなところ。
しかし全18トラックそれぞれが強烈です。