49「昭和のこんにゃく男」と「鬼の副長」 | 海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

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函館ちゃんちゃんこ物語49
 

道場海峡男、間本久直、山高ー焚人ー潔、深間克明の、
通称「ちゃんちゃんこ軍団」は、年に数回、不定期に総会を開く。
今回の場所も海岸町の焼き鳥屋「かしらや」。
北の港町函館で、

極秘の「軍団会議」が開かれた。

 

 

「昭和のこんにゃく男」と「鬼の副長」

 

スポーツニュースは連日、大リーグ・ドジャースの大谷翔平の話題から始まる。試合があるときはもちろん、試合がないときも、何やら適当な翔平話題で盛り上がる。どれくらいの会社とスポンサー契約しているのだろう。TVコマーシャルや新聞広告など、野球以外の活躍も凄まじい。


「令和」の時代、「平成」生まれの東北の田舎町の少年が、こんなに世界的に偉大になるなんて、「昭和」の時代では考えられないことだ。



そして、時代はさかのぼってその「昭和」。北の港町函館で4人の若者が人知れず蠢いていた。通称ちゃんちゃんこ軍団、道場海峡男、山高-焚人-潔、深間克明、そして間本久直の4人である。
 

「おれは、土方歳三と同じなんだよ」
定期総会の「かしらや」で、唐突に間本久直が言い始めた。
「ホントは土方のように副長が似合っているが、今は立場上、ちゃんちゃんこ軍団の団長だ。大学のキャリアもこの4人の中では1番長いし、第一、影響力は群を抜いている。これは仕方がないことだ」
間本が、なぜか真顔で語っていた。

 

海峡男も山高も深間も、誰一人間本のことを「団長」だと認識したことはなかったし、大学のキャリアは確かに1年長いが、長いというだけであとはなにもない。影響力については、間本にみんな迷惑は被ったが、影響されたということは一つもない。


その上間本が、自分を土方歳三と関連させていることがもっと分からなかった。

 

言わずと知れた土方歳三。新撰組時代には、「鬼の副長」と恐れられ、局長近藤勇の右腕として活躍し、戊辰戦争では旧幕府軍の指揮官のひとりとして各地を転戦、蝦夷に渡り、最後の戦場「箱館」で戦死した。

「昭和のこんにゃく男」と異名を取る間本久直が、どう考えたら、自分と土方を並べて考えられるのだろう。

偉大な大リーガー大谷翔平が、アメリカ合衆国で生まれた「令和」時代だが、その昔、「昭和」時代には、北の港町函館で、迷惑な意味不明男・間本久直が生まれた。

続きます



※おことわり
この物語は、実際にあったかどうか疑わしいことを、作者の老化してぼんやりした記憶をもとに書かれていますので、事実とは全く異なります。登場する人物、団体、名称等は、実在のものとは一切関係はありません。
また、物語の中の写真はすべてイメージです。

 

「函館ちゃんちゃんこ物語」

毎年届く年賀状。その中には学生時代の懐かしい仲間のものもある。ここ数年多くなったのが「退職」の知らせだ。いつの間にかみんな年を取った。

道場海峡男(どうばうみお)は、本棚の隅から、大学の研究室の機関誌「学大地理」を取り出した。色あせた機関誌だが、40年前の懐かしい思い出の数々が鮮明に蘇って来た。

研究室の仲間、ちゃんちゃんこ軍団の同志、4年間の輝く函館の歴史がここにある。