浄土とは | 吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

茨城県石岡市にある真言宗豊山派の摩尼山吉祥院です。
ふるさと茨城路百八地蔵尊霊場第九十一番札所に指定されており、
開山約900年の歴史を持つ由緒ある寺です。
境内の四季折々の風情や仏教について、幅広い情報を発信するお寺ブログです。

キリスト教やユダヤ教では

人は死んだあと、善人は神の国

天国に行くといわれます。

仏教ではそれが「浄土」にあたります。

浄土は、仏・菩薩が住んでいる世界のこと。

 

それに対して「穢土」は凡夫が

住んでいる現実の世界のことを指します。

三界・六道輪廻の迷いの世界です。

 

お釈迦さまが滅したあと、56億7千万年の間は

この世に仏がいない期間であり

その間は地蔵菩薩などが導師となるとも

いわれています。

そして、56億7千万年後に弥勒菩薩が

仏としてこの世に下生するとされているのです。

 

キリスト教などの天国は一つだけだと思いますが

仏教の浄土は一つだけではなく

それぞれのブッダごとに浄土があります。

 

お釈迦さま以前にも仏がいて、

過去七仏ともいわれますが、

それに以外にも大乗仏教の興りによって

多くの仏と共に複数の浄土が生まれました。

 

十方(東西南北、東南、南西、西北、北東、

上下の計10の方角)に

ブッダがそれぞれいるともいわれます。

 

有名なのは、阿弥陀如来や薬師如来、

阿閦如来といった仏さまで

阿弥陀如来は、西方の極楽浄土

薬師如来は、東方の浄瑠璃浄土

阿閦如来は、妙喜世界に

それぞれ住んでいるとされています。

 

奈良時代から平安時代のころには

弥勒菩薩や薬師如来の浄土が

知られていましたが、平安時代の末期には

法然上人が浄土宗を開いて

「南無阿弥陀仏」を唱えれば阿弥陀如来の

極楽浄土に往生できると説きました。

 

それ以降、浄土真宗や時宗などによって

阿弥陀の極楽浄土への往生信仰が

広まりました。

一般に民衆には鎌倉期以降に

大きく広まり、多くの人々が極楽往生を願い、

現在でも日本の仏教徒の3割ほどが

浄土宗系の宗派に属しています。

 

また、観音信仰も盛んになりました。

観音菩薩は南インドの補陀落(ポータラカ)

というところに住んでいるとされ、

西国の三十三観音霊場の

最初の熊野那智が補陀落に見立てられました。

 

さらに、東照宮などで知られる「日光」の地名は

補陀落が「二荒(ふたあら)」となり、それが

「にこう」と呼ばれるようになり、最終的に

「日光」となったといわれます。