何事のおはしますをば知らねども
かたじけなさに涙こぼるる
という西行法師の詩があります。
伊勢神宮で詠んだものとされます。
ある先生の言葉によれば
ここに日本人にとっての宗教観の原点が
込められているといいます。
仏教の教えを学んでいると
仏教の歴史や
「空」とか「縁起」といった理論が
大事であることを知ります。
つまり、
お釈迦様という偉大な方が
真理をお悟りになって
その内容を弟子や信者に説き
そのうち教団が形成され
お釈迦様亡き後は
様々な展開を見せ
ついには日本にも伝わる
という歴史があり
すべての物事は関係に中にあって(縁起)
自分というのは他者との
つながりの中にある(無我)
それゆえにすべての物事は無常であり
思い通りにはいかない
といった理論としての教えがあることを
知ります。
このような仏教が伝わる以前から
わが国には八百万の神を信仰する
宗教観がありました。
その日本人の原初の
宗教観が最初に挙げた詩に
現れているというのです。
何がここにあるのかは
わからないけれども
ただ、畏れ多い気持ちが生まれて
涙がこぼれてきた。
様々なものに神様が宿っていて
特に山などの自然=神に対する畏敬の念を
大切にしてきたのが日本人だと
思います。
仏教の教えは
頭で理解しようという
論理的な部分が強調されがちです。
しかし、何か大自然に対する
体の奥から生まれてくる
畏れ多いとか、感謝の念を
古来の日本人は大切にしてきました。
このような感覚、宗教観を忘れては
仏教の有難い教えも活きてこないのではないか
というのが、かの先生の主張であると
思います。
もちろん、
仏像の姿を目の当たりにした時には
多くの人は自然と合掌すると
思いますが
大自然などの身の回りにある物事に
対しても感謝の念や畏敬の念をもって
過ごしていくことは
仏道を歩む上でも大事なことだろうと
思っています。
南無大師遍照金剛
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