縁起 | 吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

茨城県石岡市にある真言宗豊山派の摩尼山吉祥院です。
ふるさと茨城路百八地蔵尊霊場第九十一番札所に指定されており、
開山約900年の歴史を持つ由緒ある寺です。
境内の四季折々の風情や仏教について、幅広い情報を発信するお寺ブログです。

縁起という道理は

仏教における基本的な考え方です。

 

縁起とは、あらゆるものごとが

他のものによって起こっている(依存して現象している)

という意味です。

「これあれば彼あり、これ生ずれば彼生ずる、

これなければ彼なし、これ滅すれば彼滅する」という

定型句が有名です。

 

あらゆるものには、原因(因)と条件(縁)が

必ず必要であるとされ、したがって、

因と縁による結果としてものごとが

成り立っていると考えます。

 

例えば、花は原因としての種子がなければ咲かず、

条件として水や光を必要とするようにです。

 

また、十二支縁起という説がありますが、

その説では、現実の人生の苦しみの根元を追求し、

根本的な無知(無明)から老・死に至るまでの

因果関係を理論化しています。

 

無明というのは、縁起の道理を知らず、

自己の欲求(渇愛)のままに生きることです。

仏教においては、渇愛によって執着が生まれ、

執着が原因となって、思い通りにならないという

苦しみが生じるという因果関係を説きます。

 

十二支縁起のそれぞれは、

1.無明…真理を知らずに欲望にままに生きること

2.行…潜在的な意思による行い

3.識…対象を認識する心的作用

4.名色…心的作用による主観的・客観的側面

5.六処…視覚、聴覚などといった人間の感覚能力

6.触…感覚器官と対象物との接触

7.受…快、不快などの感受作用

8.愛…感受したものへの愛着

9.取…愛着するものへの強い執着

10.有…執着によって引き起こされる生存

11.生…生存がもたらす新たな生

12.老死…老いて死にいくこと

簡単に示すと以上にようになります。

 

これを原因から結果へと観察していく場合と、

結果から原因へと遡って観察する瞑想があります。

そして最終的には、

無明を滅して人生における苦を除くのです。

 

縁起という道理による因果関係によって

世の中のものごとのあり方を理解するのが

仏教思想の基本となっています。

 

したがって、あらゆる存在を創り出す原因を

永遠不変なる神に求める宗教とは異なっています。

この縁起を否定する仏教教理はあり得ないということです。