釈尊(ゴータマ)の弟子たちは、
釈尊を仏陀と崇拝することで
教団を形成し、維持していました。
釈尊を慕う人々は、ジャータカや仏伝文学を通じて、
釈尊の仏陀としての偉大さに
神話的なイメージを結び付けていきました。
その神話化する中で、過去には釈尊と同様な
仏陀が存在したとし、過去の仏陀(過去仏)について
記した経典などが製作されます。
過去に6人もの仏陀がいて、釈尊が最後の仏陀である
とする過去七仏の信仰が生まれました。
6人とは、毘婆尸仏、尸棄仏、毘舎浮仏、拘留孫仏、
拘那含牟尼仏、伽葉仏のことで、教えは普遍的で、
釈尊以前のはるか遠い昔から、
これらの仏によって説き継がれてきたのだといいます。
これが基となって、未来仏としての弥勒仏が
考え出されました。
弥勒は56億5千万年後、この世に現れる(下生)ことに
なっていて、すでに修行が完成し、
あと一生を過ごせば仏となり得るという境地に達し、
現在は兜率天に住んでいるとされる偉大な菩薩です。
過去、現在、未来に多くの仏がいると想定する神話は、
更に発展して空間的にも拡大されました。
それはいわゆる現在多方仏であり、
十方に仏の国土(浄土)があると考えられました。
このような信仰を否定する仏教内の学派も
あったようですが、インドの多くの仏教には
広く受け入れられました。
時間的、空間的に多くの仏陀が普く存在する
という考えは、後の大乗仏教では飛躍的に
展開していきました。