背徳者の精神
「実際にあった狂気的恋愛を思い出しながら綴ってみました。
                    長かった半年間…あの時の恐怖を思い出しながら」
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記事一覧 <1>

01:結婚願望 02:時間の無駄 03:三十路前 04:メリークリスマス 05:同情 06:もうひとつの出会い 07:拍子抜け 08:悪魔の微笑み 09:強引な愛 10:恋人宣言 11:嫌な予感 12:電話番号 13:クラクション 14:取引 15:不可解 16:悪夢のはじまり 17:迎え 18:wブッキング 19:訳あり 20:相談 21:理由 22:優しい時間 23:留守電 24:敏感 25:密告 26:否定 27:胸騒ぎ 28:待ち伏せ 29:ショック 30:卑劣 31:慟哭 32:安堵 33:嘆願 34:3つの提案 35:スペアキー 36:漠然 37:誤解 38:仮面 39:近況報告 40:余計なプライド 41:了承 42:迷惑 43:嫌な約束 44:略奪愛の果て 45:親友の死 46:遺書 47:憂鬱 48:告白 49:平穏な日々 50:不幸な再会 51:合鍵の謎 52:レイプ 53:呆然 54:理由 55:合鍵 56:愛せる 57:不安 58:誘惑 59:決心 60:言い訳 61:決断 62:休息 63:鳴り止まない電話 64:姉の存在 65:残酷な言葉 66:ストーカー殺人 67:恋愛妄想 68:淫乱ナース 69:悪魔の囁き 70:盗聴 71:嬉しい知らせ 72:約束 73:別の作戦 74:招かれざる客 75:警察への通報 76:侵入者 77:最悪の展開 78:助けて 79:嘲笑 80:逃げられない 81:策略家の条件 82:子供のように 83:代償 84:知られたくない 85:見離された 86:蘇る悪夢 87:疎まれる存在 88:最大の過ち 89:高熱 90:不思議な感情 91:対話 92:不自然 93:陰謀 94:思考回路 95:執拗 96:無視 97:公衆電話 98:戦慄 99:携帯電話 100:唐突

記事一覧 <2>

101:約束の時間 102:激白 103:冷たい薄笑み 104:駆け引き 105:同乗 106:車の鍵 107:混乱 108:騙された 109:逆切れ 110:素直

新しい小説も書いています。

まだまだ完成してませんが

お暇な人は読んでみてください。


http://blogs.yahoo.co.jp/kitacchu/MYBLOG/yblog.html?fid=525318&m=lc

久々に戻ってまいりました。

気がつけばかなり放置しておりました…(汗)

これからもコツコツとやっていくのでまたよろしくです。

素直

寝付けないまま朝を迎えた。

私はすぐに居間に向かうと

聡を起こすために声をかけた。

聡は何度目かの問いかけでうっすら目を開き

時計をチラッと見ると

何も言わずに寝返りをうって背を向けた。

「ちょっと…起きてください!」

「まだ早いじゃん…もう少し寝かせてよ。」

甘えたような声で聡が返事をする。

「だめです…私、仕事なんです。

昨日、約束したじゃないですか!?」

私は半ば強引に聡の体を揺すると

聡は観念したかのようにゆっくりと体を起こし

大きくあくびをしながらこう言った。

「仕事休んじゃえば…」

「……そういう訳にはいかないんです。」

「ふ~ん」

聡はまだぼーっとしたまま動こうとしない。

私はそんな聡を尻目に急いで化粧をし

仕事に向かうための身支度を始めた。

「ねぇ!」

聡が大きな声で私を呼んだ。

「何!?」

また何か良からぬことを考え付いたのかもしれない。

私は咄嗟に身構えると返事をした。

「なんかさ…飲むものないの?コーヒーとか」

「………」

私は何も言わずにインスタントコーヒーを作ると

黙ってテーブルの上に置いた。

「サンキュ!」

聡は嬉しそうな顔をしてコーヒーを飲み始める。

(こんな状態では仕事に遅刻してしまうどころか

もしかしたら無断欠勤になってしまうかもしれない)

私はゆっくりコーヒーを飲みながら

タバコをふかす聡を言葉でせかした。

「もう時間なんだけど…」

聡はその言葉を聞いてか

コーヒーを飲み干すとゆっくり立ち上がった。

「送っていこうか?」

「…結構です。」

とても素直な聡に私は少し驚きながらも

私達は何事もなくそのまま家を出た。

逆切れ

「じゃ、おやすみ♪」

聡は私にそう言うと目をつぶってしまった。

今夜もここに泊まっていくつもりなのだろう。

「………」

私は考えた。

どうにか聡に家から出て行ってもらうために

(…そうだ。

聡が運転できないなら運転の代行を頼めばいい

そうすれば聡も言い訳が出来ないはず。)

私はそう思いつくと出来るだけ優しい口調で聡に言った。

「ねぇ、運転代行屋さんに電話するから迎えに来てもらおう?

…それならいいでしょ?」

聞こえているはずなのに聡の返答はない。

きっと眠ったふりをしながら考えているのだろう。

「ね、そうしよう!」

そう繰り返し私は聡の体を何度か揺すってみた。

しばらくすると聡は眠そうにまぶたを開けた。

そしていきなりこう怒鳴った。

「…うるさいっ!しつこいなぁ、俺眠いんだけど!」

「………」

聡は自分に都合のいい言い訳を思いつかないかわりに

逆切れして怒鳴りつけ私の提案を跳ね除けたのだ。

私はもうこれ以上そのことに触れてはいけないと直感した。

ただ、ひとつ聡には言っておかなければならないことがある。

それだけは必ず約束させなければ。

私は静かに…だがはっきりと聡に言った。

「明日は仕事だから私と一緒に家を出てください。

約束してくれないとあなたを泊める事は出来ません。」

今度はちゃんと聞こえているのだろう。

聡は私を追い払うような手振りをして

まぶたを閉じたままにやけながら頷いた。

「約束…ですよ。」

私は唇をかみ締めながら念を押すと寝室へむかった。

家の鍵はバッグから取り出し自分の枕の下へ入れた。

そして寝室のドレッサーをずらしドアの前に移動させる。

これで聡が寝室に入ってきてもすぐに気づく…

私は例えようのない不安と恐怖に怯えながら一夜を明かした。

騙された

私も聡を追いかけるようにして居間に入った。

そして、聡の反応に怯えながらこう言った。

「車の鍵…探したけどなかった…」

聡は黙ってソファーに腰掛けている。

鍵を探すような素振りもない。

私はそんな聡の姿を見て続けた。

「もしかして…

さっきの店に忘れてきたんじゃない?」

聡は動じることもなくニヤニヤしている。

そしておもむろに上着のポケットから

鍵を取り出すとテーブルの上に置いた。

「!!!」

「藤田さんはすぐ騙されるんだね…」

聡は溢れ出しそうな笑いをこらえながらこう言った。

「騙したの!?」

私がそう言うと聡は冷たい口調でこう言った。

「騙されるほうが悪いんだよ」と。

「とにかく、鍵があったんなら帰ってください!」

私が聡に詰め寄ると

聡は何も言わずソファーに横になった。

「約束したでしょ…」

今度は哀願するように声をかける。

だが聡は起き上がる様子もなく

目だけ私のほうを向いて答えた。

「約束通りちゃんと家には帰したでしょ。

それとも酔っ払ってるのに車の運転させる気?」

「………」

私が返答に困っていると聡はふざけた口調で続けた。

「言えば?私には関係ないでしょ…って」

「………」

また、聡の罠にはまってしまった。

全く帰る気配のない聡を呆然と見ながら

私はそう感じていた。

混乱

私は足早にフロアのドアを開けると部屋に向かった。

聡がついてきていないことを確認すると

慌ててエレベーターに乗り込む。

そして玄関の鍵を開け、そしてまた閉める。

私は部屋に入り、居間の電気をつけると

コートを羽織ったまま聡の車の鍵を探しはじめた。

(鍵が見つかったら帰ってもらえる)

それだけを考えながら…

だが、鍵はどこにも見当たらなかった。

テーブルの上やソファーの隙間…にさえも。

私の頭は混乱していた。

聡はまだ外で待っている。

鍵が見当たらないことだけ告げても聡は納得しないだろう。

きっと家の中に入って自分で探すと言い始める。

だがこのまま無視しても何をされるかわからない。

聡を待たせてから10分が過ぎた。

インターホンが鳴る。

「はい…」

フロアのモニターに聡の顔が映った。

「寒いんだけど…まだ見つかんないの?」

「もうちょっと待って…今、探してるから。」

私はそう言ってインターホンを切ると

今度は這い蹲るようにソファーの下を探した。

だが、やはり聡の車の鍵は見つからない。

もうこれ以上、聡を待たせるわけにはいかない。

これからどうなるかわからないが

私は聡に車の鍵が見当たらないことだけは

話さなければと思った。

靴を履き、急いで玄関の鍵を開ける。

「!!!」

…そこには聡が怒った顔で立っていた。

「遅いよ!それで鍵は見つかったの?」

「………」

私は驚いたまま何も返す言葉がなかった。

「家の鍵も全部ついてるから困るんだよね!」

聡はそう言い放つと勝手に部屋へ上がりこんだ

車の鍵

「一体どういうつもり!?」

私は少し声を荒げて聡に言った。

「どういうつもりって…

俺の車、藤田さんのところにあるし

別々に帰るなんてタクシー代、勿体ないじゃん!」

聡がとぼけたように返す。

そして少し間を置くと何かに気づいたように声高に言った。

「もしかして、他に行くところあった?」

私が黙ってうつむいていると

聡はすぐ怖い顔になって私の顔を覗き込んだ。

「あの男のところとか?」

「関係ないでしょ!」

私は聡の目を見ることもなく返答した。

図星なのが聡にばれるのがとても嫌だった。

「藤田さんはすぐ関係ないでしょ?っていうけど

それって何?それしか言えないの?」

聡は少し酔っ払っているのか私に絡み始めた。

タクシーに乗って15分位経っただろうか

私達はマンションの前に到着した。

聡が先にタクシーを降りる。

私はタクシー料金を払いながら戸惑っていた。

(また聡とふたりっきりになってしまう…)

やがて私がタクシーから降りると

聡はふかしていたタバコを投げ捨てた。

私は素知らぬふりで何も言わず家に向かった。

その時だった。

「ちょっと待って。」

聡が後ろから声をかける。

「今度は一体なんなの!?」

私は振り向かずに叫んだ。

聡はポケットに両手を突っ込んだまま

小走りで私に駆け寄ってくるとこう言った。

「車の鍵、藤田さんの部屋の中」

本当に忘れたのか…それともこういう作戦なのか

どっちにしろ今は聡を家に入れることはできない。

私は少し考え込むと言った。

「…今、取ってくるから待ってて。」

同乗

取り残された私はどうしたらいいか困っていた。

「もう一軒付き合ったら本当にちゃんと帰してくれるの?」

少し強気になって聡に聞いてみる。

「う~ん、どうしようかな?」

聡はふざけたようにそう返すと

まるで獲物を狙うハンターのような目で私を見た。

「じゃ…やっぱり帰ります。」

私がそう言うと聡は慌てた様子で引き止めた。

「ウソウソ!ちゃんと帰すから安心して!」

そして半ば強引に私は次の店に連れて行かれた。

聡の行きつけだというメンズバーは少し洒落た感じ。

「いらっしゃいませ!お久しぶりですね!」

顔なじみなのか店員が聡に馴れ馴れしく話しかける。

「ちょっと怪我しちゃってさ…

しばらく、こっちにいることになったんだよね」

聡も笑顔で店員に話しかけている。

私達はカウンターの席に案内されると並んで座った。

店員が私を横目で見ながらこう聡に言った。

「新しい彼女ですか?」

聡は否定も肯定もせずにやけている。

その後も聡と店員のくだらない会話は続いた。

私は愛想笑いをしながら早く時間が過ぎ去るのを待った。

時計をチラチラ見る度に聡が面白くない顔をする。

そんな時だった…

ふいに功輔の顔が思い浮かんだ。

(功輔に会いたい…)

私は強くそう思うと

この店を出たらすぐに功輔の家に

タクシーで向かおうと決心していた。

会ってくれなくてもいい…

とにかく今は聡と一緒にいるのが嫌だった。

結局、その店で私達はカクテルを2~3杯飲んで出た。

聡が通りに出てタクシーを拾ってくれる。

到着したタクシーに私が乗り込むと

すかさず私の隣に聡が滑り込んできた。

そして勝手に私の住所を告げ、タクシーは走り出した。

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