蒸し暑い中、健気に仕事をこなすかものはし。
熱射病で亡くなる方が続出する今夏。
千葉大臣の手を借りるまでも無く、次はわしの番に違いないのぉ。
そんな暑さにやられながら仕事をしておったところ、自転車に乗った外国人3人組が地図を片手に何やら迷っておるではないか。
一生懸命に地図を見ておったが、歩道の日本人に話しかける事もなく、自力で何とかしようとしておった。
3人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものです。
外国人でも文殊の知恵は適応されるかのぉ。
「チョットイイデスカ?」
どうやら、文殊の知恵ではどうにもならんかったので、聞くことにしたようだ。
しかし、これだけ日本人が歩いておるのに、どうしてわしだったのでしょう。
「名倉の隣の国の人」と、以前に言われたかものはし。
なるほど、わしならば片言の日本語でも通用すると思ったか。
しかし残念、こう見えてもわしはれっきとした日本人である。
日本で発生し、繁殖し、成長した日本人オブ日本人である。
(※表現がおかしいのは本人の頭の問題です。国籍の問題ではありません)
ここは日本人らしいところを見せねばならん。
片言の日本語は、それほど覚えていないと見える外国人のお兄さん。
地図を広げて、あとは英語でわしに話かけてきたではないか。
なるほど、わしの祖国は英語圏だと踏んでおるわけじゃな。
しかし、ここで中途半端に英語など喋ろうものなら、彼は今後ずっと英語で乗り切ろうとするであろう。
はるばる日本に来たのである。
やはり日本で本場の日本語を覚えて帰ってこそ、彼の後学の為になるのではなかろうか。
ということで、ここは心を鬼にして、日本語で説明するかものはし。
決して、英語が話せない訳ではありません。
「I don't know」から「I can't speak english」までペラペラである。
しかし、わしの卓抜の英語力を封印してまで日本語で説明。
すると諦めたように、彼も英語混じりの片言の日本語で話してきたではないか。
これから日本で旅をするには、その姿勢を覚えて欲しかったのである。
さすがわしの一番弟子じゃ。
どうやら、地図に乗ってたライダーハウスへ行きたかったらしい。
なるほど、すでに通り過ぎておるのぉ。
一生懸命、片言の日本語で話す外国人のお兄さん。
そして一生懸命、片言の日本語で説明するかものはし。
…どうして、片言の日本語で話しかけられると、片言の日本語で返してしまうんかのぉ。
分かりやすい日本語を重ねて、身ぶり手ぶりを交えて説明をするかものはし。
しかし、わしの渾身のジェスチャーが見事に伝わったようである。
彼らも納得したように喜んで、自転車に乗ると颯爽とわしが指差した方向へ行ってしまいました。
うむ、人助けした後は気持ちがいいのぉ。
気持ちと気持ちが通じ合えば、言語ではなく心で通じるもんじゃのぉ…と感じた出来ごとでした。
あとは、彼らにはちゃんと、わしが日本人であることは伝わったのであろうかのぉ…。