中山峠のあげいもを食べに… | かものはしの口遊〜くちずさみ〜

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島根から札幌に来て18年目。相方、娘に猫(雌)も加わり、居場所が徐々に奪われていく様子を口遊みます

3連休初日のかものはし。
世間の皆様が休む日に働いたのである。世間の皆様が仕事の日に休むのはさも当然とばかりに、家でゴロゴロしていたかものはし。
相方のトモダチコレクションの世話を仰せつかっておったので、みんなにご飯をあげておったところ、三色だんごを見つつ



「中山峠のあげいもが食べたいのぉ」



などと戯けた感想を抱きつつ、外を見る。



…行けるんじゃね?




朝からチラチラ降っていた雪も止んで、時折晴れ間まで差す今日の札幌。
こうなっては、冬の間は冬眠と決め込んでいたわしの放浪癖がニョキニョキと顔を出してしまうではないか。
とりあえず、行けるところまで行ってみようかのぉ…ということで、車の雪を除けて、目指すは札幌最南にして最高標高の地、中山峠。



ここ数日、氷点下以上の気温を記録していた札幌。
道路の雪はある程度キレイになくなっておるではないか。
札幌に来て以来、凍結道路でのスピンを経験して以来冬道の運転を極力避ける生活をしてるかものはし。
島根にいた頃は冬の中国山地越えは何度もしていたのだが、凍結路面はほぼ未経験。
そんな未知との遭遇にすっかり恐れをなしておったのだが、道に雪が無いと分かれば話は別。
冬の札幌の道を我が物顔で突っ走る島根ナンバー。
こりゃ問題無く中山峠まで行けるんじゃないか…などと思いつつ、定山渓手前で片側2車線から1車線に変わった途端、何やら暗雲が立ち込めて来たではないか



おかしい、対向車がみんなヘッドライトをつけておるんだが。
そして、まるで今までの乾燥路面が嘘のように真っ白になってきたではないか。
まるで吹きつけるかのように視界を遮る雪。
しかし、降り出してからそれほど時間も経っていないのだろう。
車が走れば綺麗に轍からアスファルトが覗く程度の雪である。
これなら行ける。
島根ナンバーと言えど中国山地の雪の峠道を何度も何度も経験しておるのである。
久々の冬の峠道。
札幌に来て以来、久しく経験していなかったが、雪道については幾つもの武勇伝を誇るかものはし。
久々に血が騒ぐのぉ。
定山渓で前後の車がいなくなり、単独で中山峠に向かう道を走るかものはし。



しかし、徐々に徐々に、山を登るたびに当然のように雪が積もってきておるのぉ。
どこを見ても真っ白な峠道。
しかしわしだって中山峠に向かうこの道は何度も走っておるのである。
危ない場所くらい分かっております。
橋とトンネルが続く無意根大橋あたりから徐行。
こういう雪道こそ、マニュアル車の本領発揮である。
エンジンブレーキを何段階にも使い分けながら走るかものはし。



しかし…どんどん降りが強くなってくる雪。
さすがにそろそろ、来るんじゃなかったのぉ…という後悔の念を抱きだしたかものはし。
前が見えません。
雪でアッという間にフロントガラスが真っ白になります
うおぅ、危ない危ない。
緩やかなカーブを描く橋の上。
ここで視界を失っては、山間の谷底へ真っ逆さまに落ちてデザイアではないか。
橋の上を走っておったのに、気付いたらお花畑に到着しかねません
こんな山の中で落ちたら、春になっても誰も見つけてくれんではないか。
こんなことなら、家でゴロゴロとコアラのマーチでも食って暮らして行けば良かったのぉ…と思いつつ、ふと電光掲示板が目に入る。



「中山峠頂上、凍結注意」



やっぱ凍結してるんですか。
行けるのか?本当に行けるのか?この車。
この車は島根産ですよ?わしは新潟産ですよ?
本場を知らない人間が、どうしてこんな無謀なことに挑戦しようとしたのでしょう。
交通事故全国2位を誇る北海道。
交通事故を減らしたいのならば、北海道の峠道の入り口にはぜひ「本場の人以外、立ち入り禁止」の看板を付けた方がいいのではなかろうか。



まるで13階段を上るかのように、凍結している頂上を目指すかものはし。
たかだがあげいもを食べるために、どうしてこんな苦労をしておるんじゃ。
あげいもなんぞ、どこでも売っておるではないか。
というか、あげいもよりも美味しいものなんて幾らでもあるではないか。
どうして三色ダンゴであげいもを連想するんじゃ。
ダンゴ三兄弟でも思い出して一人カラオケに行ってれば至極平和な休日だったではないか。
どういう訳か、峠のカーブで3年前に事故ったシーンが脳裏をよぎったりしておったのだが、走馬灯か?ここで走馬灯が見えるのか?
するとわしのお迎えは、もうすぐそこに来ておるのか?
せっかくの3連休の初日にして、あとの二日はわしの葬儀に費やされるというのだろうか。



そして最後は3速で峠をゆっくりゆっくりと登り、真っ白な視界の隙間を覗き見るように走り、気付けば道の駅・中山峠に到着。
奇跡の到着、中山峠。
そして道の駅の駐車場には



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…車がおらんではないか。
まさか冬期休業か?それとも月曜はお休みなのか?
わしの車以外にはバスが1台と普通車3台しかおらんではないか。
吹きすさぶ駐車場。その向こうに仄かに店内の明かりが見えるではないか。
どうにかやっておるのか、それとも避難所と化しておるのだろうか。



店内に入ると、何とも活気の無い道の駅となっておった。
普段は人の出入りの絶えない中山峠の道の駅と思えない様子に、なるほど、お客より店員の方が多いからのぉ…と納得してしまった。
外の数少ない車は、たぶん店員さんのに違いない。
並ぶことなくあげいもを購入して食べるかものはし。
苦労して登った分、美味しいのぉ。
しかし、誰もおらん休憩所で食うのも味気ないものである。
真っ白な外の風景を見ながらあげいもを食って…さて、帰るかのぉ。



再び、真っ白な峠道を下るかものはし。
登りよりも下りの方が怖いからのぉ…とエンジンブレーキをフルに使って走っておったところ、前に除雪車を発見。
非常にゆっくりゆっくり走る除雪車。
その後ろをぴったりとくっついてカルガモ走行をするかものはし。
さすが除雪車。後ろは走りやすいのぉ。
スピードは遅いが、確実に滑る事無く峠を降りられるからありがたいものである。
後ろには長い長い行列が出来ておったが、まさか除雪車を追い越すような命知らずな事は出来ません。
島根ナンバーに、いったい何を期待しておるんじゃ。



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そして定山渓で一休み。
足湯は妙にぬるかった。まぁ氷点下だしのぉ。



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そしてそのまま札幌まで帰りました。
札幌は走りやすいのぉ。とても中山峠と同じ市とは思えません。



連休あと2日は、平和に暮らしたいものである。



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