kibitsu
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シィルツ記~セルガイ・アッテンビリアの日記より~
ギルドを興すと、旅の仲間や、ライバルが集う場所になる。小さいながらも我がギルド「アッテンビリアの独り言」も、そのようなギルドのひとつである。ギルドマスターの仕事は、さまざまである。まれには、事件に巻き込まれたり、ギルド員の心配事を排除したりと動き回ることも珍しいことではない。そういった活動が好きだからこそ、ギルドマスターなどという席についているのかもしれないのだが・・・・・・。
「kibitsu」記す
レイウーク東部を散策しているとギルド員からギルドボイス(ウィスプの常時魔法をギルド向けに拡大したもの。ギルド員全員にシィルツの大陸にいる限り声を届けることができる。ウィスプの説明は後記)でタッスルホッフ=バーフットから連絡が入った。どうやら個人的な内容であるらしいのでウィスプ(シィルツの大陸では常識なのだが、タッスルのようなものも他にいるかもしれないので、あえて書いておく。声を思念として、シィルツの大地のどこかにいる、ある特定の人物に向かって飛ばすことができる常時魔法<魔法力の消耗はない>であり、誰もが使える能力である。)にして、話を聞いていたが、ことがことだけに直接あって話をすることにした。
タッスルホッフ=バーフット。現在無職の30。シィルツの世界には珍しく、シィルツに来る以前の記憶を持っていると主張する人間である。「彼は、人間ではなく、ケンダー族の一員だといって聞かないところ」などは、彼のする話が、いかに奇想天外に聞こえるかを示すいい判断材料である。
「それでね、ギルドを興そうと考えているから、ギルドを抜けていい?ギルドマスターをやることにしたんだ。あれって、リーダーみたいなものじゃない?リーダーといえばね、僕たちの仲間のリーダーは、タニスっていう人間なんだけど、あれ、エルフだっけ、まぁ、どっちでもいいね、そのタニスがね、こういうんだ・・・。」
ほおって置くと、話がとんでもない方向へ流れに流れ、いつになっても本題に戻っていかないという悪癖を持っているのが、彼の欠点である(かれは、ケンダーだからしょうがないじゃないかという・・・)。息を継ぐタイミングを見計らって、割り込む絶妙な技術を最近会得したばかりだ。
「冒険者証を見せてくれないか?」
冒険者証には、やはり、30の数字がある。ギルド試験に受かるコツは、39や49といった時に受けることである。シィルツでの常識なのだ。・・・が、このタッスルは常識というものが通用しないのが、頭の痛いところではある。
「まだ早すぎやしないか?」そうだねなどという簡単な返事は期待せずに聞いてみる。
「なんで?ギルド試験は30になったら受けることができるっていうじゃない。だったら、早く、ギルドを作りたいんだ。」そして、彼独特のニヤッと笑った表情で、こう付け足した。「ギルド倉庫作るの手伝ってよ。倉庫って、広々としてていいじゃない?憩いの我が家亭の倉庫にはね、揚げジャガ用のジャガイモやエールの樽がたくさんあってね。そこに迷い込んだ僕は、いっつも、ティカにこう怒られるんだ・・・」
頭が痛くなる前に、話を切り上げるのが一番の得策であるのはいうまでもない。
「わかった。ギルドを興してギルド倉庫を作るのを手伝えばいいんだな?」さっさと手伝って、送り出すほうが賢明なのかもしれないとギルマスらしからぬ考えが頭をもたげてきたが、何とか押さえつけながら割り込んだ。
「人の話し、ちゃんと聞いてる?まさか、ギルマス試験受けて、僕に渡すつもりじゃないでしょうねぇ。ギルマス試験の室内闘技場に入るチャンスをみすみす見逃すとでも思ってるの?ぼくには、このケンダーの邪霊退散スプーンがついてるしね。このスプーンの話はもうしたっけ?」
タッスルの冒険者証に「おしゃべり度」という項目があれば、きっと255の数字が浮かぶことだろうと考えながら一方で、何度も聞いたし、聞くたびに細かな点がアレンジされていくスプーンの話をまた聞くなどもうごめんだと頭がフル回転する。
「わかった。心配だから、ライオネルさんのところまではついていこう。」
こうして、エリムにたどり着いたのであった。
タッスルが、エリムのギルド試験になぜか受かったことと、ギルド倉庫を作るのに難儀をしたのは、また、別の機会に記すことにしよう。
此花咲夜姫
「此花咲夜姫」綴ります
>「『精進しろ』の一言・・・。
> 大体幼いころ、武術指導ばっかりしてくれたのは、あなたでしょっ!!
と、この前の日記に書いたんだけど、鍛冶師って、「一撃必殺」って技があるのに、弱いのよねぇ・・・。
・・・・・・ん。
・・・・・・・・・・・・あれ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、まさか。
300ぱーせんと?「一撃必殺」のスキルレベルが1のままだぁーーー!!!
自分の冒険者証(エリムのクレアさんから発行していただいたカードね)を見て、びっくり。
あわてて、限定解除させていただきました。
720ぱーせんとぉおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
いままでの私の冒険って、よくやってこれたわね・・・・・・自分のことながら、兄の一言が身に染みてしまった。いたひ、いたすぎる・・・。
此花咲夜姫
「此花咲夜姫」綴ります
兄から、非常に無粋な手紙が着いたのが昨日のこと・・・。
『精進しろ』の一言・・・。
大体幼いころ、武術指導ばっかりしてくれたのは、あなたでしょっ!!と、言い返そうかとも思ったけれど、この怒りはバイルにぶつけましょ。哀れな白い木馬様、なむぅ。おかげさまで、感覚も鋭くなったので、ギルド倉庫から、以前読めなかった製作の書をひとつずつとりだして、試してみた。
おっ。燃えるしっぽの書・・・・・・わかるぅ。なるほど、そういう構成になっていたんだぁ。ふむふむ。
読めなかった製作の書が読めるって、うれしいなぁ。
もしかして、この喜びを知らしめるために、兄は・・・・・・わけないか(ため息)
結果オーライとして、返事を出すのはやめておきました。ええ、燃えるしっぽを銀行に預けるだけで、兄にはわかるでしょうからね。
えっ、なぜザイドで作ったのかですか?えーっと、寒い土地なら、燃えるしっぽ、暖かいかなぁなんて、おもっただけなんです。<本当だったら、「鍛冶師の原点である、この町で再スタートを・・・」なんてかいてみたかったなぁ>
kibitsu
シィルツ記~セルガイ・アッテンビリアの日記より~
武具のほとんどは、バイルからのドロップ品である。だが、優秀な鍛冶士によって生産される武具も存在する。冒険者は、バイルを打ち倒す力のみで強さを評価されるのではなく、優秀な鍛冶士を味方につけることができるかどうかも評価の対象になりうるのである・・・・・・。
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マデリンに戻り、マデリン銀行に立ち寄った。銀行員から、此花の手紙を受け取った。シィルツ全土に支店を持つ銀行は、セゲルやアイテムを常に運ぶため、その片手間に各銀行預かりという形になるのだが、無償で手紙を運んでくれている。
『兄さん、この前送ってもらったマリエルの翼とタイタンの爪の作成書なのですが、私には難しい内容でした。力になれず、ごめんなさい。代わりといっては、失礼かもしれないのですけど、生産して頂ける先輩の鍛冶士さんを紹介します・・・』
手紙は、他の兄弟のことにふれてあり、幾分続いていたが、とにかくその鍛冶士を捜すことにした。
その鍛冶士は月下さんといい、材料から作り方まで、あまり理解できなかったが丁寧に教えてくれた。
材料を揃えるのに苦労したが、月下さんの手助けもあり、何とか揃った。その材料を全て渡し、生産して頂くことになった。
「はい、できましたよ。」
こともなげに、真新しいマリエルの翼とタイタンの爪を差し出した。此花は、読むことすら適わなかったというのに・・・・・・。
月下さんに礼を述べ、身につけてみた。体に新しい希望が沸いてくるのが、感じ取れた。これで、墓地に狩り場を移すことができる・・・・・・。新たな戦いが待ちかまえている、そう感じた。
日記補足
此花に『精進しろ』との手紙を送ったのは、また別の話である。
kibitsu
シィルツ記~セルガイ・アッテンビリアの日記より~
武器などの装備品は、自らの手で輝きを増すことができる。それは戦局を有利な方へと誘う働きをする。武器ならば切れ味を増し、防具ならば衝撃を和らげる。だが、装備品自体がその精錬に耐えられなかったときは、輝きは失われる。いや、輝きばかりではなく、それ自身が消失してしまうことすらあるのだ。それ故に消失の危険を避ける冒険者は多い。消失の危険を乗り越えた白き輝きを放つ装備品は最高のものといえよう。冒険者の憧れである・・・・・・。
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ウッドウッドとの戦いを終え、エリムに着いた。まず、ギルトさんに挨拶をしにいった。彼は我らがギルド設立の時から世話になっている人物で、今でも、ギルド倉庫に賊が押し入らないように、警備してくれている。戦利品を納めながら、ギルドの構成を考えた。ウラヌスを誰に渡すべきなのか・・・・・・。
考えているところへ、【剣士】mariruri公爵が来た。我がギルドの重鎮で、冒険者としても、私より遙かに強いバイルを屠る力をもっている。彼に相談し、ウラヌスは【僧侶】青い鳥男爵に渡すことに決めた。
「マスター、これを。」
公爵が一振りの剣を差し出した。闇属性の東方不敗であった。それは白き輝きを放っていた・・・・・・・。
「マスターには、早く修練を積んでもらい、私と同じバイルを打ち倒せるようになってもらわなければな。」
白き輝き・・・・・・。それを託されるということは、その価値に匹敵する責任を持たなければならないということだ。責任を果たすためには、これまで以上の戦いをしなければならないだろう。
「わかった。この東方、借り入れる。」
ウッドウッドとの戦いで疲れがたまっていたはずの体に、それを洗い流すかのような高揚感を覚えつつ、東方を手にした。今日は、酒場でここエリムの一番強い酒「バイル殺し」を頼むことにしよう。この東方を眺めながら、明日からの戦いを祝うために・・・・・・。
びび・まーく2
ライムむらで、「そこのあんた!」ってひとがいたんだ。なんだー?とおもってみてみると、「まあ、来てみれば?」だって。ちかよってみると、あたまにたいようのマークがあるのへ(゜∇、°)へ ケケケケ・・。へんなひとぉー。
あれ、てれてないでやんの。「真実の生・・・真の人生・・・知りたくはないか?」
しんのじんせい?モフィスさん、なにそれ?
「信じられないと思うが、君は今まで間違った人生を歩んでいたのだ。さあ、真の人生を歩みたいとは思わぬか?」
まちがったじんせい・・・・・・。しんのじんせい・・・・・・。なにかがひっかかったんだ、そのとき。
ぼくは、わらわれることでいきてきたんだ。おわらいのみちをすすむために。
とりあえず、モフィスさんのはなしをきいてみることにしたんだ。そして、レイウーク西部のシーコウさんから、ジプシーのもようをもらって、モフィスさんにわたしたんだ。
ぎしきがはじまったんだ・・・・・・そして・・・・・・あたまのなかを、からだのなかを・・・何かが通り過ぎていった。 僕は気づいたんだ。笑ってもらうことは笑われることじゃない。人間の持つ弱さや悲しみを、ほんのひとときでもいい、忘れてもらうために、考え選び抜かれた言葉を紡ぎ出して、笑いを引き出すことなんだ。
僕は、変わったんだ。モフィスさんにお礼の言葉をかけて、僕は駆けだした。華麗なる芸術の道、これこそが、僕の真の人生なんだ。ゴージャスな未来に向けて、第一歩を踏み出したんだ。
kibitsu
シィルツ記~セルガイ・アッテンビリアの日記より~
武器の中でも、その名前にGを冠する武器は、自分という小さな力を増幅してくれる。その加護を得ることができれば、この戦いも、もっと容易に進めることができたであろうに・・・・・・。
「kibitsu」記す
ウッドウッドとの戦いは続いた。いつ果てるともしれない交差斬りが、何体ものウッドウッドを十字森の土へと、還していった。しかし、また迫るウッドウッド・・・・・・。違和感のある手応えがあった。大地に還るウッドウッドの体から、紫色に輝く武器が見えた。
ウラヌスメイスG。僧侶の武器であった。
らいむむいらがいつかは使うであろう武器だが、まだ早いだろう。これはギルドのメンバーから使い手を捜すことになりそうだ。
数歩先にいるウッドウッドにねらいを定め、再び剣を振るう。





