今年の夏も暑いですね!スイカカキ氷祭


この暑い中、我が子のために動物病院へ来てくださる飼い主さんには日々感謝しております。


しかし夏場の通院は動物の熱中症リスクが高いです。十分にご注意ください。


昨年の記事の引用で恐縮ですが、ご一読ください↓


保冷剤、ご準備お願いします!



動物病院ではあるあるな病気でも、飼い主さんの認知度が低い病気は結構あります。
 
その一つが肛門嚢破裂です!
 
犬と猫、どちらにも多い病気です犬猫

肛門嚢は肛門の両側にある分泌物を溜める袋です。
 
ここに細菌が感染し、膿が溜まることがあります。
この膿が多量になると、肛門嚢が破裂して、膿が溢れてきます。
症状としては下記のものが、一般的です。
○お尻を舐めている
○お尻を触ると怒る
○お尻から血膿がでてきた。
○なんとく元気がない

治療は簡単で、抗生剤を投与すればすぐに治ります。
 
お尻の周りは意識して見ないと、病気の発見が遅れがちです!ガンなど怖い病気が隠れていることもしばしばです。
 
実例紹介

猫のAちゃんもお尻の違和感で来院されました。
 
お尻を見てみると、やはり肛門嚢が破裂していましたえーん

 

肛門嚢の位置にぽっかり穴が空いています↓

 

Aちゃんには、2週間持続する抗生剤を投与しました。これで治るはずです。

 

シャア!!

 

怒ったお顔もかわいいAちゃんでした。


参考記事です↓




 

 

凍結治療をご存知ですか?雪だるま雪だるま雪だるま

 

体表にできた良性腫瘍やイボの治療法です。

 

亜酸化窒素で腫瘍を凍結させて除去する治療です。


凍結治療の最大のメリットは、無麻酔で実施できることです!


当院では5年前から導入しています。


持病のある子、高齢の子の飼い主さんからの依頼が多いです。



<凍結治療のメカニズム>

凍結治療の対象は良性の体表腫瘍です。(悪性のガンは原則対象外です)


体の表面にできた良性腫瘍の模式図です↓




亜酸化窒素を噴射して、マイナス89度まで凍結されます。

すると凍結により腫瘍の細胞が死滅します!!



凍結治療から数日後。
凍結された腫瘍表面が、壊死して剥がれます。

これを1週間間隔で繰り返すことで腫瘍が小さくなります。

小さな腫瘍であれば平均3回の治療で除去できます。


<凍結治療のメリット、デメリット>


凍結治療最大のメリットは、無麻酔で実施できることです{emoji:char3/002.png.ニコニコ}


デメリットもあります注意

それは①腫瘍除去が不確実であることと、②通院回数が多くなることです。


手術であればほぼ確実に摘出できますが、凍結治療では再発する場合があります。


また手術であれば通常、手術前診察日、手術日、抜糸日の計3回で治療終了です。凍結治療の場合はこれ以上に通院が必要になることがあります。


当院は凍結治療の技術はありますが、無闇には進めません上差し

上記のようなメリットデメリット、犬の状態や腫瘍の種類を勘案し、凍結治療適応か判断しています。


 
<実例紹介>
ワイヤーフォックステリアのAちゃんは耳の腫瘤から出血するとのことで、来院されました。


ブルーベリーのような腫瘍です↓


凍結治療を開始します。腫瘍は白く凍結します↓

凍結→解凍→再び凍結というサイクルを3回ほど実施します。所要時間は5から10分ほどです。

 

一週間後の患部です。

写真だとわかりにくいですが、小さくなっています。


2週間後の患部です。

完全に除去できました拍手



<まとめ>

凍結治療はイボや良性腫瘍の有力な選択肢です。

無麻酔で実施できるのが最大の魅力です。


一方で、メリットとデメリットがありますので、獣医師よく相談することが大切です。


皆さんも頭の片隅に凍結治療を覚えといてください。将来役に立つかもしれませんニコニコ