凍結治療をご存知ですか?
体表にできた良性腫瘍やイボの治療法です。
亜酸化窒素で腫瘍を凍結させて除去する治療です。
凍結治療の最大のメリットは、無麻酔で実施できることです!
当院では5年前から導入しています。
持病のある子、高齢の子の飼い主さんからの依頼が多いです。
<凍結治療のメカニズム>
凍結治療の対象は良性の体表腫瘍です。(悪性のガンは原則対象外です)
体の表面にできた良性腫瘍の模式図です↓
亜酸化窒素を噴射して、マイナス89度まで凍結されます。
すると凍結により腫瘍の細胞が死滅します!!
凍結治療から数日後。
凍結された腫瘍表面が、壊死して剥がれます。
これを1週間間隔で繰り返すことで腫瘍が小さくなります。
小さな腫瘍であれば平均3回の治療で除去できます。
<凍結治療のメリット、デメリット>
凍結治療最大のメリットは、無麻酔で実施できることです
デメリットもあります
それは①腫瘍除去が不確実であることと、②通院回数が多くなることです。
手術であればほぼ確実に摘出できますが、凍結治療では再発する場合があります。
また手術であれば通常、手術前診察日、手術日、抜糸日の計3回で治療終了です。凍結治療の場合はこれ以上に通院が必要になることがあります。
当院は凍結治療の技術はありますが、無闇には進めません
上記のようなメリットデメリット、犬の状態や腫瘍の種類を勘案し、凍結治療適応か判断しています。
<実例紹介>
ワイヤーフォックステリアのAちゃんは耳の腫瘤から出血するとのことで、来院されました。
凍結治療を開始します。腫瘍は白く凍結します↓
凍結→解凍→再び凍結というサイクルを3回ほど実施します。所要時間は5から10分ほどです。
一週間後の患部です。
2週間後の患部です。
完全に除去できました
<まとめ>
凍結治療はイボや良性腫瘍の有力な選択肢です。
無麻酔で実施できるのが最大の魅力です。
一方で、メリットとデメリットがありますので、獣医師よく相談することが大切です。
皆さんも頭の片隅に凍結治療を覚えといてください。将来役に立つかもしれません