先月、1月25日(金)に千葉県香取郡にあります自然酒の酒蔵「寺田本家」に行ってまいりました。
千葉県と言いつつも、ほんの少し足を延ばせば鹿島神宮に届く距離ですから、ほぼ茨城県といってもいい場所です。
成田駅から先は電車の本数も少ないので、ほぼ1日がかりの小旅行となりました。
寺田本家のお酒は以前から愛飲しており、どのような作り方をしているのか大変興味がありました。
機会があればぜひ見学をしたいと思っていたところ、今回、蔵見学のご案内がまいりましたので、是非にと申し込ませていただきました次第です。
さて、最寄り駅であるJR成田線の下総神崎駅で下りて、タクシーに乗って約5分ほど走り1メーターで到着。
レンガ造りの門の奥に蔵があり、さらにその奥には神社のある小高い丘が見える、静かな住宅街の中にあります。
このあたりは、「寺田本家」のほかにもいくつかの酒蔵があり、街をあげてお酒フェスティバルが行われるときには、何万人もの方がこの街に訪れるそうです。
12時を少し過ぎたあたりに到着し、蔵のひとつに案内をされて、そこで事前に申し込んでおいた、玄米おにぎりと粕汁の昼食をいただきました。
粕汁の酒粕はもちろん寺田本家製ですから、大変コクのある美味しい粕汁です。
食事も終わり、13時から24代当主 寺田優氏の説明のもと見学がスタートしまます。
オーガニックに関心を持たれている方には「寺田本家」のお酒は結構有名です。
昔ながらの生酛(きもと)造りで、自然の力、微生物の力を最大限に活かした自然酒を造る伝統ある酒蔵です。
世の中の多くのお酒は、醸造アルコールを添加したり、人工培養した乳酸菌や麹を使っています。
しかし、寺田本家では自然の力を最大限に活かしたお酒造りにこだわり、麹は自分達の田んぼから取った稲麹を使い、乳酸菌などは添加せずに、蔵に住み着いた微生物がゆっくり降りてくるのを待ちます。
お米は、地元あるいは山形県などから厳選した契約農家のお米を使っています。
そして、お水は寺田本家内にある井戸を使用しています。
この井戸は今までに一度も枯れたことがなく、当主いわく、裏の神社から天然ろ過された水がいつも井戸を満たしているようです。
この水をエリクサーという浄水器に通して酒造りに使っています。
そして、最初の米洗いの工程から手作りにこだわっています。
寒い中、実際に手で米を洗うところを見ましたが、作り手の手から出る気がお米を大事に扱っています。
このお米洗いの作業ですが、お話を聞いたところ、慣れない人は腰をかがめた作業なので痛めてしまうのですが、慣れてくると、米洗いをしていると何ともいえない気持ちよさになり、無の境地になるようです。
洗米の後は、このお米を大きなお釜で蒸しあげていきます。
ここで蒸しあがったお米をスコップで救い上げ、熱いうちに手で広げて冷ます作業を行います。
そして蒸したお米に麹菌を振って麹を作る作業を行います。
30度~45度の部屋で、稲麹を付着させます。
この麹室(こうじむろ)といわれる部屋では、実際にお米を一人一人手に取って麹の状態を見て、そして味合わせていただきました。
一般的な蔵では、このような麹菌の部屋に見学者が立ち入ることは絶対にないのですが、寺田本家ではあっさりと受け入れを許しています。
それは、見学者が持ってきた雑菌をも受け入れて造っていく、清潔にするよりも菌と仲良くなることのほうが大切との理由からです。
麹を作るのと並行して、「酒母(しゅぼ)」を作ります。
酒母はその後お酒を造るための種づくりともいえます。
酒母は、蒸し米+麹+仕込み水をまぜあわせ、1時、3時、7時といった深夜から早朝の寒い中も3時間毎にかきまぜて、蔵の周りにいる乳酸菌や微生物が入ってくるのを待ちます。
普通はこの酒母のもとを普通は機械ですりつぶしますが、寺田本家では歌を歌いながら手作業でデッキブラシの毛が無いようなもので、みんなですりつぶしドロドロにします。
歌が終わると、すりつぶす作業が1クール終わるという流れです。
昔は歌でみんなの力を合わせ、すりつぶすタイミングをあわせ、そして必要な時間を計ったといいます。
また寺田本家では、良い歌が微生物の発酵にも影響すると考えているようです。
モーツァルトの音楽を聴かせるのと似ていますね。
そして、これをタンクに入れてゆっくりと1ヶ月ほど寝かすと、酒母が出来上がります。
結構時間がかかるものです。
酒作りはまだまだ続くのですが、今回は酒母つくりまでの紹介にしておきます。
写真は、上から「寺田本家入口」、「麹室(こうじむろ)での当主の説明」「酒母を歌いながらすりつぶしている」3枚です。
● 気功アカデミー練習予定
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