暖房器具が欠かせない季節ですが、気をつけたいのが低温やけど です。
使い捨てカイロやこたつ、電気あんか、湯たんぽ、ホットカーペットなど、普段危険を感じることなく使っているものが原因になります。
低温やけどは、痛みを伴わず、気づかないうちに進行することが多く、また、重症化してしまうケースも多いので注意が必要です。
暖房グッズを正しく使用し、低温やけどを未然に防ぎましょう。
■低温やけどとは
すぐにやけどを負うほど熱くないものでも、長時間同じ部分に触れることでやけどを負うことがあります。
このような「体温より少し高いくらい~60℃以下の熱源」に長時間触れ続けることによって起こるやけどを「低温やけど」といいます。
たとえば、44℃では3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分接触し続けるとやけどを発症します。
■低温やけどの症状
普通のやけどと違って皮膚の表面よりも深部の傷害が大きいのが特徴です。
低温やけどは、低い温度でゆっくり進行するために熱さや痛みを感じにくく、気がついたときには、皮膚の深部まで達する重症のやけどになっているケースが多く見られます。
重症になると皮膚細胞の一部が死んでしまう壊死(えし)の状態になり、痛みを感じないため軽症だと勘違いしがちです。
しかしこのような場合は、感染予防のための治療や、場合によっては皮膚移植の手術などが必要になることがあります。
一見すると軽いやけどのようでも、実際は重症のことが多いため、早めに病院を受診することが大切です。
低温やけどを起こす部位は、脚がほとんどです。
脚は感覚が鈍く、また血行がとどこおりやすいために、やけどを起こしやすいのです。
特に、かかとやくるぶし、すねなどは皮膚のすぐ下に骨があるため毛細血管が圧迫されやすい部位です。
そのため、血行が悪くなり、低温やけどを起こしやすく、重症のやけどになることが多いので注意が必要です。
■低温やけどの治療
低温やけどの場合、通常のやけどと違って、水で冷やしても応急手当の効果があまり期待できません。
また、自分で水ぶくれをつぶしたり、皮膚に何かを塗ったりすると、傷から感染するおそれがあります。
自己流の手当ては避けて、医師の指示をあおぎましょう。
治療中は、症状を悪化させないように次のようなことに注意しましょう。
●激しい運動は避ける
●全身を温める入浴は避ける。よくなってきたらシャワーから
●香辛料やお酒は控える
■低温やけどの予防
暖房グッズを使用する際は、低温だからと決して油断せず、「低温やけど」の危険性のある道具であることを踏まえて、配慮を怠らないようにすることが大切です。
次のようなことに気をつけましょう。
◆熱源に直接触れない
・使い捨てカイロは必ず衣類の上に貼る
・湯たんぽは厚手の布製の袋に入れる(タオルで包むとずれて直接皮膚にふれることも)
・パソコンは熱を持ちやすく、ノートパソコンでの低温やけどの事例が増えているため、長時間、直接肌に触れ続けないように注意する
◆長時間同じ場所に固定しない
・使い捨てカイロは1カ所に長時間あてない。使用時間を守る
◆睡眠中は使わない
・こたつやホットカーペットで眠らない
・使い捨てカイロを貼ったまま眠らない
・電気あんかや電気毛布は早めにセットし、就寝時には電源を切るか、タイマーを1~2時間に設定する
◆熱源を押しつけない
・湯たんぽや電気あんかに足を押しつけるように乗せたり、使い捨てカイロを貼った部分にサポーターやガードルを重ねない(圧迫により血流が悪くなりやけどの進行が早まる)
◆靴下用カイロは、靴を脱いだら外す
・靴下用カイロは酸素の少ない靴のなかで使うようにつくられている。
靴を脱いだ状態や、体のほかの場所に使うと、酸化反応が過剰に起こり高温になるので危険
疲れていたり、お酒を飲んでいたりして眠り込んでしまったときなども、熱に気づきにくくなります。
ホットカーペットやこたつで、そのまま眠ってしまうようなことがないように気をつけましょう。
また、冷え性で電気あんかや湯たんぽなどを使う機会が多い女性など、皮膚感覚が鈍くなっている人は、特に注意が必要です。
乳幼児などは、熱いと思っても対処できないこともありますので、周囲の人が注意を払ってあげましょう。
暖房器具を上手に使いながら、まだまだ寒い冬を乗り切っていきましょう。
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