入 宮
試 本
問 輝
題 が


宮本さんの小説は、
よく中学・高校・大学の入試問題に使用される。
そこで編集部では、
宮本さんの文章を元にした問題を
宮本さん自身に解いていただくことを企画した。
以下は、一九九五年度「東北大学」の文系前期、
国語の問題に挑んだ宮本さんの記録である。


【問題】






 宮本輝は、試験に向けて、前日から酒を控え、前夜にはスッポンを食して精をつけ、当日も、頭の冴える起床三時間後に試験開始するという念の入れようだった。



『東北大学かなんか知らんけど、そんなもん、オレは作者やでぇ、満点に決まっとるやないか』



 そう語りつつも、用紙を手にした時の目つきは宙を彷徨っていた。
 制限時間は二十分である。開始の合図とともに用紙を表に返し、問題文に目を落とした。五分かけてじっくりと読み、問一にとりかかる。



「なぜか…っていわれても。五十字以内で書かれへんから、オレは長い長い小説の一部分として千代の心情を書いとンや」



 と弱音を吐きつつ、鉛筆を走らせる。



「あっ、マスが足らん!」
「あっ、時間がない!」
「消しゴム使うの、何年ぶりや?」
「学校制度反対や!」
「これを書いた作者の気持ちがだんだんつかめてきたぞ!」



 つっこんでくれる者などない、静謐な空間で彼は、消しゴムと鉛筆を交互に、しかも不器用に操りながらも、問二、問三、問四と一見順調に解いていった。そして、伏兵問五である。



「なんで『小走り』かっていわれても」



 そして嵐の二十分が過ぎた。こうして下の答案ができあがった。


































【模範解答】





【敗者の弁】
「問題が悪いンちゃうか。『小走りで』に傍線引くなよ」

 哀しい叫びであった。







以上、

宮本輝
新潮四月
臨時増刊

における
たいへん興味深い
企画でした。






お求めは

Amazonその他にて🙇‍♂️。








残り1点のようです。



早い者勝ちなのだな真顔




新潮社様

編集部の皆様

宮本先生

拝借してしまいました


🙇‍♂️