薬事法ドットコム社主、エグゼクティブ戦略顧問
の林田です(元政府委員・元弁護士)。
今日は、適格消費者団体なら消費者ネットが、
化粧品ECを展開するAMBER BLOOM社を
追及した事件のケーススタディの1回目です
(>リンク)。
今日検討するのは、定期初回2200円の化粧品
セットを購入した後、つまり、お試しだけの購
入で解約した場合に6000円を課金する(不正
転売防止と解約手数料という名目)ことはOK
か?という問題です。
この「転売ヤー」対策については2023年12
月4日の薬事の虎が参考になります。
こんな内容です。
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総じて「消費者→善、企業→悪」と括られるこ
とが多いのですが、そう言えないケースもあり
ます。
いわゆる「転売ヤー」はそういうケースだと思
います。
この賢しい「消費者」の方々は、多くの企業が
(1)いつでも解約可の定期コースを提供し、
かつ、(2)初回をぐっと安くしている(たと
えば、初回980円、2回目から6400円、単品
だと8690円)ことに目を付け、初回買って
(たとえば980円)解約し、その商品(単品
だと8690円)をたとえば3000円でメルカリ
などで売って、その差額(たとえば2000円)
をGETします。
さて、今日はそういう「転売ヤー」対策に関す
るQ&Aです。
Q.「転売ヤー」対策として、定期購入ボタン
の前に次のような記述をしたバナーを置いてい
る例があります(>例)。
「初回のみの受け取りでご解約される際は、転
売対策のため必ずお電話でのご連絡後、解約申
請日を含む3日以内の消印で『お買い上げ明
細書』と『商品(開封済み可)』を送料をお客
様負担にてご返送ください。返送いただけない
場合、単品価格との差額をお支払いいただく必
要がございます。(クーポン使用時は、クーポ
ン適用価格との差額)
ご連絡なく上記2点をお送りいただいた場
合、お受け取りはできかねます。」
これはOKですか?
A.1.若干変更すればOKと思います。
2.解約にいろいろ条件を付けてもそれは無効
で、争われれば解約側の勝ちです(適格消費者
団体がその解約条件の差止を求めてくることも
あります)。
3.本件の解約条件は、(あ)次回お届け予定
日の10日前までに電話で行うこと、(い)解
約申請日を含む3日以内の消印で「お買い上
げ明細書」と「商品(開封済み可)を送料お客
様負担にて返送すること」です。
そこでこれを検討すると―
(あ)→次回配送を止める必要があるので合理
的な条件と言えます(ギリギリのケースが多く
なる可能性もあるので「電話」に限るのも合理
性あり、と言えます)。
(い)→イ.「お買い上げ明細書」はどこで購
入したかを明確にする必要が認められるので、
これを要求するのはOK、と言えます。
ロ.初回の商品代は払ってもらいますが、続け
てもらうことを前提としての「特別価格」で
す。続けないのであれば「特別価格」で商品を
保有することを認める必要はない、と言えます。
ハ.「解約申請日を含む3日以内」という時間
的制限も、解約を認めるということは次回配送
を止めるということであり、急ぐ必要があるの
で、合理的制限と言えます。
4.(1)こうして解約が認められれば、そこで
定期は終わり、2回目の配送はなし。
(2)条件を満たさず解約が認められなけれ
ば、定期は継続し、2回目が配送され、注文者
は6400円払わなければなりません。
その後、3回目の配送の10日前までに電話で
解約することになります(この場合は、商品の
返送等は不要)。
(3)以上で「転売ヤー」対策は達成できてい
るので、「(商品を)返送いただけない場合、単
品価格との差額(=7710円)をお支払いいた
だく必要がございます」は不要と思います(こ
れは転売を狙ったことへのペナルティの意味し
か持ちえませんが、「転売ヤー」対策は(2)
で達成できている以上、そこまでやらせる合理
性はないと思います)。
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以上からすると、AMBER BLOOM社のはと
ても大雑把で、消費者に一方的に不利な契約を
無効とする消費者契約法10条に違反すると言
わざるを得ません。
なお、このケースはAMBER BLOOM社が
「なら消費者ネット」の追及に従う形で本年2
月12日に終了しています。