「相手の設定している論点で議論をすると負ける。」「議論に勝ちたければ、相手の設定した論点では絶対勝負しない。」 ディベートでは鉄則です。

 今の内閣の経済政策は、全体も見えず異例ずくめで争点に馴染みません。何と言っても現在進行形だと言われればそれで口をつぐむしかないのも事実かもしれません。
 何かしらいいことが一部見られても多くの人には実感できないどころか格差拡大、生活困窮につながっています。

 ただこの論考で申し上げたいのはいわゆるアベノミクスへの批判ではありません。 

 ディベートでは鉄則のことであっても政策課題は、真正面から議論しなければならないということです。事実、私は衆議院予算委員会で事前にこの経済政策の理論的な元となったような方々と議論を重ねて総理・日銀総裁との議論に臨みました。

 ディベートで自分の土俵に持ち込むことと、国家・国民のために大事な政策について議論を真正面から戦わせることとでは、自ずと性格も責任も違うと思ったからです。

 仮に他党の政策であっても良いものは評価する。そして足らざるところを補うという建設的な姿勢を私は強調したいと思って予算委員会での議論を進めました。

 あれから2年。
  
 期限を決めて目標を提示していたことからしても限られた政策資源を使い過ぎだという責めは負うべきだと思います。

 選挙ともなれば対決姿勢が強まるのは当然ですが、対立点をしっかりと確認しながらも共同で進めてきたことについてもきちんと国民の皆様に明らかにして、といかけておきたいと思います。

 いたずらに対立点を強調するのではなく解決策を共有する事の方が何倍も生産的だと私は考えます。

 私たちは立法者です。共同提出の法案は、それこそ例示すればきりがありませんが、与野党の枠を超えて協力してきたものについて私自身が関わったものとして、近年の代表的なもの「国連の障害者の権利条約」「国家主権と国益を守るためのいわゆる主権3法」「消防団支援立法」「放送法」改正案などがあります。

 これに対して、一人一人の人の持つ可能性、地域の持つ独自の力、人材への投資に着目した政策。これを私たちは、日本の経済再生の柱となると考えて政権時代から様々な改革を行ってきました。

 一部の人の恩恵を受けるというのではなく、まるで泉の湧き出るように一人一人の人材を大切にすることで、そして協働することで豊かで温かな絆を保ちながら経済を成長させていく戦略です。

 泉のことを英語でファウンテンといいますがファウンテン型の経済成長モデルを私は、総務大臣の時に地域主権改革・ICT維新ビジョン・緑の分権改革・未来の学校という形で政策として実行させていただきました。

  私たちが最も重視したのは、暮らしの安心と格差是正、一人一人の教育、社会全体での女性の社会進出、働き方の質、生活の安心でした。

 少子高齢化で働く人の人口が減る中で一定の成長を遂げようとするならば、一人当たりの生産性を上げることが一番です。
 幸い日本は、ICT(情報通信技術)においても世界をリードしています。
それを教育に入れて子どもたちが小さなころからICTを使って学び、ひいては社会、産業を強くする政策の道筋を示しました。未来の学校構想です。

 世界の経済成長を見るとその原動力となっているのはICTです。すなわち情報通信分野における裾の広げ、さらに輝ける日本を創るということは、とても大事なことです。

 地域の再生についても国が示したメニューを補助金に頼るのではなく、一括交付金で自らの考えたものを実現する。これこそが地域の経済を変え、そして安定したものにする計画です。一人一人を大切にし、協力することによって、泉が湧いて出るように地域の力が引き出されていく。それぞれが独自の創造を行い協力しあうことで、さらに相乗効果を生みます。

 一部の人が富を独占し一部の地域が発展する。日本はそんな国であってはなりません。

 世界の経済大国である日本が未だに地方によって景気回復が実感できないという事は本来あってはならないことだと思います。私は今の古い経済政策のやり直しのようなものではなく、今述べたような一人一人の力を引き出す、国民の安心を増やし、国民の生産性そのものを上げることで日本を再び穏やかで輝ける国にして言いたいと思います。

 尚、詳細については、自著「ICT維新戦略地域主権改革」の中で詳しく述べておりますのでどうか皆様ご参考にされてくださいますよう宜しくお願い致します。

 私たちが目指す日本の成長戦略について述べたいと思います。

 この間、日本の株価は上昇しましたが、その中身を見るとほとんどが外人の機関投資家によるもので日本人の投資には必ずしも結びついていません。

 これまでの政府の経済政策を見てみるとその多くが「中央・都市」中心で「一部の資本投資家たちに利益が偏りがちだった。」「本当に企業や人材・技術や会社を育成するという育てる投資というよりも、利益のみに着目して売り買いを繰り返す「貪る投資」が目立っているのではないかと思います。

  「日銀のバランスシートを異次元に拡大・金融をじゃぶじゃぶにして、国債も大量発行して経済を良くする」という政策は、異例づくめです。しかし、大きく引いてみると旧来型経済政策の欠点が、異例で大胆とされる分、さらに拡大して現れているのではないでしょうか?すなわち一部資本の利益寡占の弊害を有しているように思います。

 膨大な国債を発行して公共事業等に使う景気対策は、既にその効果が幾年も議論されてきました。財政再建は待ったなしです。後世へ赤字をつけ回し、財政への信認を失へば、マーケットそのものの信認も崩れますし、日本そのものが危機に陥っていまいます。

 一部が大きく先頭を走って利益を上げれば、その恩恵は、自然と行きわたるという経済政策を「トリクルダウン型」モデルと言います。

 現内閣の政策も大きく分類すれば、ここに入るのかもしれません。

 それでは、経済の成長を促し、人々の暮らしを豊かにする道は、このトリクルダウン型しかないのでしょうか?

 このような政策を推し進める政治しか他に選択肢はないのでしょうか。

 一部の人たちは経済の「好循環」の恩恵を受けるけど、地方や普通に汗して働く人たちには、その恩恵が回るのに、恐ろしく時間がかかるか、もしくは回りもしないということでいいのでしょうか?