Keyaki -70ページ目

出所

鉄の扉の一つが開けられた。

タタミ3畳くらいのスペースに2段ベッドがある。ドアの脇にはおもむろにトイレ。

小さな机と椅子が二つ。窓には鉄格子。

「おい!ルームメイトだ」と職員が言うと、2段ベッドの上から濃い顔がでてきた。

先にいたのはパンジャブ出身のインド人。

一言挨拶を交わして彼はまた寝た。

深夜2時も回っていたのでシャワー室は開いておらず、そのまま寝ることにした。

よっぽど疲れていたのか、意外とすぐ寝れた。



翌朝7時に、ドアの鍵を開ける音で目が覚めた。

職員が毎朝7時にドアの鍵をあけるシステムらしい。

そのまま2度寝、9時半頃また起きる。



インド人が朝からパンジャブミュージックを爆音でかけだした。

歌いながら歯を磨いている。陽気な奴だ。

彼はここに1ヶ月ちかくいるという。8年前にインドからUKに入り、仕事をしていたのだがVISAはとっくに切れていてらしい。

路上での職務質問から警察署に連行され、VISAが切れているのが見つかってここに収容されているとのこと。この後どうなるかは本人も知らないらしい。

オレだったらそんなの不安でしょうがないはずだけど、このインド人はなんだか全然気にしていないようで、すこし心がまぎれた。



朝食をとりに部屋を出る。やはり昨日のカウンターのところが配給場所。

当番制なのか、カウンターの向こうにはエプロンをした囚人?達が働いていた。

他の者は皆、MyカップとMyフォークをもって並んでいる。

メニューはコーンフレークとパンと紅茶。コーヒーは無かった。

列の一番後ろに並ぶ。俺の何人か前でパンが切れた。

前の若いロシアっぽい奴が「Hey!パンがないぞ」と騒ぎ出す。

もらえていない5人くらいで、そいつにのっかって一緒に「パンくれパンくれ」と口々に言った。

その瞬間、お互いなんかちょっとした仲間意識みたいなもんを感じた。



朝食を済ませると、特にやることもなく、部屋へ帰ってベッドの上にいた。

しかし部屋のインド人がパンジャブミュージックを爆音でかけるので落ち着かず、自由に出られる庭に出た。

庭といっても四方を壁に囲まれた、いわゆる中庭で、地面はバスケットコート。

何人かがバスケをしてた。朝、カウンター内で朝食の準備をしてたジャマイカ人もそこにいた。



オレに比較的良くしてくれたウクライナ人の職員に聞いたのだが、この施設には常時600人が収容されているらしい。

毎日何人かが入ってきて、毎日何人かが出て行く。

2時間だけで出る奴もいれば、2日~2週間かかる奴もいる。中には2年いる奴もいるそうだ。
この施設は他にあと4箇所あるらしく、つまり合計24000人の人間がここLONDONで毎日収監されているのだ。

このイミグレセンターに収容される理由は、俺みたいに空港もしくは駅や港での入国不許可になったものか、VISA切れで滞在してて捕まる奴、偽造パスポート、ボートなどでの不法入国などなど、とにかく入国及び滞在の法律に抵触した者が、次の措置に移る前に一時的に収容される場所なのだ。

2年以上いる奴はなんでだ?と尋ねると、「彼らは自分がどこからきたか忘れているから送り返せないんだ。意味わかるだろう?」といった。

それぞれの事情ってやつだ。

つまりこういう事。
偽造パスポートなどで各国を経由しながら来たものの中には、自分がどこの国から来たか言えない奴もいるのだ。

なんらかの事情で自国に戻りたくなくて言わない奴もいれば、何らかの事情で自国に戻る事を許されない奴、もしくは言って身分を明かしてしまえば自分の組織なりファミリーなりに迷惑がかかる奴などなど、それぞれ事情が複雑にあるようだ。

そういう奴はココで長い間お世話になるらしい。俺は心の中で彼らをベテランさんと呼ぶことにした。

俺ら新入りは特に仕事をさせられる事もないが、掃除や食事の準備なんかはベテランさんがしてたりする。

ジャマイカンのベテランさん達は明るく陽気だった。

冗談いいながら歌うたってるし、自分がいままでどんなにいい女と付き合ってたかを聞いてもないのに細かく説明してくれたりもする。

彼らと話せたおかげで心が軽くなった。



昼の1時を回る頃、部屋にいると職員が入ってきた。

「Mr Keyaki?」

「Yes」

「お前のフライトは今日だな。20分で荷物をまとめろ。20分後に迎えがくる」

「!!!!!!」



このとき俺は多分いままでにないほどの安堵の表情を浮かべてたと思う。

荷物をまとめるのに20分もいらなかった。5分でパッキングを終了し、シーツとタオルをOfficeに戻して待った。

バックパックをしょって出口で待っていると、ジャマイカンが「Good Luck」と。

他の奴も、「良かったな!」と声かけてくれた。




後は昨日の流れと逆をたどるだけだった。

預けられた荷物を受け取り、中身を確認し、書類にサインした。

昨日とは違う迎えの係員2人が入り口にワゴンを止めた。

そのまま荷物をいれ、また鉄条網の車に乗り込む。

来た道とは逆のルートでスタンステッド空港に向かう。

めちゃくちゃホッとしてた。



STD空港に着き、再度手錠をかけられ係員に付き添われながら空港内へ入った。

イミグレオフィスに到着すると、昨日の係員が「ホテルはどうだった?」と笑顔で聞いてきた。

「悪くなかったよ。ただ朝食は紅茶じゃなくてコーヒーが良かったけどね」

すると笑いながらワザワザ奥から自分用のコーヒーを持ってきてくれた。

出国のペーパーワークと最後の荷物検査を済ませ、待合室で待機した。

待っている間にたくさんの送還者が次々と入ってきた。

昨日の俺が沢山いた。皆不安そうな顔している。泣いている女性もいた。

俺はただそれを眺めていた。世の中本当いろんな人がいて、いろんな運命がある。





フライトは5時半、待ち時間はあと1時間半か。

昨日からの出来事に比べれば1時間半なんて屁でもない。

1時間半後には飛行機に乗ってマレーシアか。着いたらどうしよう。この後どうしよう。

まぁ飛行機の中で考えるか。なにしろもうじき俺は自由だからな。



フライトは定刻どおりだったようで、5時半きっかりに係員につれられ、Bording。

テロップから機内に乗り込む瞬間まで係員に付き添われた。

一番に機内に入り、席に着いた。シートベルトを締め、ホッとしながら離陸を待った。





予想もしなかったこの24時間の出来事。

一日だけだったけど、不安や焦りや孤独をたっぷり味わったLONDON24時間イミグレ収監の旅だった。こんなにスリルあるツアーは二度とごめんだ。

1日だからこそいい社会見学になったし、今こうやってネタにもできるけど、これが1ヶ月とかだったらマジでへこむと思う。




皆さんも個人旅行で大荷物でLONDON入るときは、くれぐれも気をつけてください。

とんだパッケージツアーが付いてくるかもしれません。







〈完〉








プリズンブレイク

空港内にはもちろん日本人観光客もいて、俺を指差して「ねぇ、あれ日本人じゃない?」なんて言っているのが聞こえる。

うつむく必要もないので、係員に連れられながらも堂々とむしろ威嚇気味に歩いて空港を出た。



空港の外には1台のワンボックスカーが待機していた。

一見普通のファミリー仕様、係員が「頭に気をつけて入れ」といってドアをあけると、中は鉄条網が張り巡らされていた。

箱の中に更に箱がある感じ。



乗り込むと手錠を外された。

ドライバーが「これから別の人間をPickUpするので、宿泊地に着くのは3時間ほど後だ」と言う。

わお!またこれから3時間もかかんのかよ。

今日朝に空港に着いてからというもの、待たされっぱなしだ。

でもまぁ俺が怒ろうが騒ごうが冗談いいながら明るく愉快にやろうが状況は変わらないわけで、オレに関わる全ての係員達もただの雇われた職員で、淡々と任務をこなしているだけなわけで、コレはもう成り行きに任せるしかない。



車に乗り込んでから外の景色を眺めていると、牧場や古い家が見えてきた。

懐かしいな、去年ドライブでグラストンベリーに連れていってもらったなぁ。

そういえば名前は忘れたけどLONDON郊外の何百年前の古い町並みが残るところへも、典子のお世話になっているご夫婦に連れていって頂いたなぁ。

あの鮎のいた小川は綺麗だったな。行きの途中のランチでのビールが旨かったなぁ。

あれが人生初のPUBでのFish&Chipsだったな。



ああ、これからどこに連れて行かれるんだろうな~。

宿泊施設ってどんなとこだろう。空港の係員は”安いホテルみたいなもんだ”って言っていたな。ということは外出はできるのかな。タバコくらい買いに行かせてほしいな。

腹も減ってるし周りにケバブ屋があったら買いたいな。

ケバブ屋でホットチキンウィング買おう!4本入って1ポンドだもんな。そしたら間違いなくビールもいるな。

これまた1ポンドのフォースター買おう!全部で2ポンドだもんな。電話も借りてガク(去年LONDONでのジャンベの生徒であり、友人)に来てもらおう。そしたら飲めるもんな。最悪外出できなくてもそこに来てもらえばアイツに会えるな。

うん、なんとかなるな。




なんて妄想を繰り広げている頃、車はLONDONの街中へ入っていった。

しばらすると見覚えのあるボウチャーチの交差点、ここからガクの家は歩いて1分だ。

ガク、ごめんな、心配してんだろうな。朝空港に着くっていったのにもう夜の9時過ぎだもんな。でも後で電話するからな。

車は見覚えのある通りを進み、テムズ川の下を通る。

あぁここはヒデに送ってもらった時に通った道だな。

ヒデ元気かな。Doblyとセッションしたかったなぁ~。

車は更に進み、テムズ河沿いへ進む。車内の鉄格子の間からロンドンアイが見えてくる。
あぁ、去年はあそこにお世話になったな。影絵のおじさんはまだいるのかな。酔っ払いのチムニーはまだ踊ってるかな。Fredはあ相変わらずナンパしてんのかな。本当なら今頃あそこで演奏してたのにな。

すっかり暗くなったテムズ河は、観光のLONDONバスやら黒タクシーやら、街のライトに照らされて、きらきら反射していた。周囲のレンガの建物達がまた良い雰囲気を出していた。




車は更にすすむ。そのあと更に見覚えのある街のなかへ入っていく。

そして街中の警察署を2件はしごし、車内の護送者は俺を含めて3人になった。

車は再び高速道路に乗った。

LONDONの街から1時間くらい走ったころだろうか。ヒースロー空港の看板が見えた。

ヒースローにいくのか?なんでだ?戻りの飛行機はヒースローからなのか、はたまた飛行機のせられて別のとこにいくのか?


道は暗く広かった。

空港に近づくにつれて、周りには高級そうなホテルが見えてきた。

なんだ?宿泊施設ってホテルか?でもなんでこんな高級ホテル?
あぁ、入国できなかった人に対してせめてもの慰めでホテルに泊めさせるサービスか?





勘ぐる。いろいろ勘ぐる。





すると車はホテルエリアを通り過ぎて、倉庫街のようなエリアへ入っていった。

あたりは今までより一層暗く。なんか不気味だ。

そのうちその倉庫街も通り過ぎる。






すると4階建てくらいの大きな建物郡が見えた。

「降りる準備をしろ」と係員。

一つの建物につく。見上げると壁はフラットで高く、壁の上部には何重もの鉄条網。窓という窓は鉄格子で埋め尽くされている。

鉄のゲートがゆっくり横に開いていくと車ごと建物の中に入っていった。

なかに入り、また次の鉄の扉を抜ける。敷地内はいくつもの鉄のゲートがあり、車にのったままゲートをくぐる。

6回ほどゲートをくぐった後、無機質な扉の前で降ろされた。




車を出て、中に入るように促される。午後11時。建物から漏れる明かりが冷たかった。




待合ロビーのようなところに集められた。他にも同じ境遇であろうもの達が8人くらいいた。

建物内の職員達は全て命令口調で高圧的だった。それぞれ一人づつ看護士の診断を受ける。その後別室に一人づつ通された。乱暴な職員が乱雑に荷物を全てあけ、中のものを小袋に小分けにされた。


荷物を取られ、自分の着替えと洗面用具を持った。ラップトップや携帯はダメだったが、本やノートは所持を許された。


荷物と検診が終わった者からひとりづつ、奥の扉へ消えていく。


俺は列の最後のほうだったのでかなり時間がかかり、自分が奥の扉へ行く頃は深夜2時をまわっていた。




職員に付き添われ、奥の扉をぬけてそこから建物内をかなり歩いた。途中上下したり外に出たり、完全に自力では戻れないと思った。




一つの建物に入った。「ここだ」と職員がいった。




入ると、それはどこかでみたことある光景。



1階から3階まで吹き抜けになっていて、1階はテーブルが並び、その食堂?を囲むようにして鉄の扉が並んでいる。

真ん中に階段が一つあって、そこから上階にいくようだ。

奥には食事は配給するようなカウンター。1階から2階と3階の鉄の扉も見える。窓はなく、白く冷たい電灯が薄暗くひかるのみ。






こ、これは・・・。






プリズンブレイクでみたやつだ!!!










〈続く〉








UKのイミグレの厳しさ。



18日にパースのマイメン、ヒロシと典子に空港まで送ってもらって無事にバリ行きの飛行機で定刻どおり13:30のフライト。初のバリのデンパサールにウキウキ!
問題なし。

バリのデンパサールも無事入国して3時間待ってからクアラルンプール行きに乗った。ちょっとだけバリ気分を味わって満足!
問題なし。

クアラルンプールも無事入国し、予定通り4時間待機、定刻どおりのフライトで後はLONDONのスタンステッド空港について入国するだけ。
KLP空港内はFreeのWifiもあってコーヒーも高くなく、快適に待つ。
問題なし。


長旅ではあったけど、LONDONに行けるのにワクワクしてたし、友達に沢山会えるしで、全然苦じゃなかった。

フライト中も、食事を楽しんだり、LONDONついたらどこへ行こうかとか、何しようかとか妄想してニヤニヤしてたので暇を持て余す事もなく。



飛行機がLONDONのSTD空港に近づくにつれ、窓からイギリスの田園風景や牧草地の牛たちがみえて、テンションも激アガリ。

スムースに着陸、天候は晴れ、思ったより寒くないぞLONDON!まだ朝の8時だ。さぁ空港出てコーヒーでも飲んでちょっと一息つこう。
どうやって目的地に行こうかな。電車がいいかバスがいいか、どうしようかな~。その前にまず両替しないとな~。

そんなこと考えながら荷物をもってイミグレカウンターに並んだ。

なんて考えていると俺の番。

カウンターには優しそうな中年女性。やった、ラッキー。隣のしかめ面のオヤジじゃなくてよかった~!

パスポートを出し、彼女の質問に答え始めた。ウキウキしながら。





女性「日本人ね?ここへは何しにきたの」

俺「観光です。あと、友達に会いに来ました。」

女性「どれ位いる予定?お金はいくらもっているの?」

俺「3ヶ月です。お金は○○ポンドもってます」

女性「あら、充分な金額ね」

俺「はい(心の声:よし!OK)」

女性「UKを出るチケットはあるんでしょ?」

俺「はいここに!(心の声:先にとっておいたもんね~!OK!)」

女性「なんで出るのがアムステルダムなの?」

俺「ヨーロッパを旅したいからです」

女性「でもアナタ、個人旅行にしては荷物が多いわね、これは何?」

俺「これは友人へのプレゼントです。ディジュリドゥとジャンベです」

女性「ここに来る前はどこにいたの?」

俺「オーストラリアです」

女性「あなた1年4ヶ月、日本に帰っていないわね。お金はどうしてるの?」

俺「貯金です」

女性「そんなに貯金があるの?アナタの仕事は何?」

俺「ミュージシャンです」

女性「ではあなたは音楽で稼いでいるのね?この二つの楽器は稼ぐために持ち歩いてるんじゃないの?」

俺「いえ、これはプレゼントです」

女性「売るつもりじゃないの?」

俺「まさか~!ただのプレゼントですよ(心の声:あれ?なんか雲行きが怪しいぞ)」

女性「ちょっと荷物をあけて調べさせてもらうわね。なにしろ個人旅行で持ち込むには大きいし重いわ」

俺「もちろんどうぞ・・・。(心の声:あれあれあれ?)」




このあたりから、なんか明らかに俺に対して何かしらの疑いをもっていると気付き始める。女性の、[コイツを徹底的に調べてやろう]という姿勢が見える。




女性「荷物を調べるために別室へいきます」

俺「・・・。はぁ」



メンドクサイ事になったらヤダな~。でも法に触れるものは何も持っていないし、なにしろ帰りのチケットもあるし、金もあるし、友人の住所もある。

まぁちょっと荷物をあければ直ぐに済むだろう。




別の係員が登場。2人がかりで全ての荷物をあけはじめた。

ものを出すそのたびに質問されるのだが、ことごとく堂々と答えた。

すると一人が「このカードは何だ?LONDONの病院のカードのようだけど」

俺「あぁそれは去年病院のボランティア(治験)をやったときのものです」

係員1「あ、そう」



全ての荷物を洗いざらいあけて質問攻めを受けたあと、係員2が言った。

「これからインタビューがあって、それが問題なければ入国だ」



ずいぶん長いなぁ。メンドクサイ事になったなぁ。

そこからさらに奥の個室へ進まされ、そこでインタビューを受けるのに3時間待たされた。

部屋には何も無い。壁にカメラがついていて監視されている。3時間後、さすがイライラしてきてた。早く出たい!


するとそこに別の係員3が登場。これがまたニコリともしない氷のような目の仏頂面の無表情男。
かなり義務的でDRYなインタビューが始まった。



(ちなみにここまでで到着してから4時間くらい経っている)


質問は多岐にわたり、前職やら本籍やら家族構成まで聞かれた。

1時間ほどの質問の最後に聞かれた。

仏頂面「このカードは何だ?」

俺「だから治験のボランティアのカードですよ」

仏頂面「これは謝礼金が出るやつだな」

俺「そうでしょ」

仏頂面「お前は去年ツーリストとして入っている」

俺「Yes」

仏頂面「いかなる場合においても、お金を受け取る行為は労働とみなされる」

俺「は?」

仏頂面「よってお前はツーリストなのにWorkしたということになる」

俺「・・・。は?」

仏頂面「以上だ」

仏頂面「これから上司に報告書をあげる。別室でまて」



あららら~~~~~。まずそうだぞ、まずそうだぞコレは!



とりあえず別室で結果を待つ。

そこから待つこと3時間。仏頂面が帰ってきて個室に呼ばれる。



仏頂面「上司に確認した。お前が去年ツーリストでWorkしたことはこの国の法律違反になる。つまり犯罪行為ということだ。犯罪経歴を持つものは入国できない。よって今回の入国は認められない。以上だ」

俺「・・・。いや、あの・・・。」

仏頂面「お前は明日の午後便でココへ来る前の最終国に戻される。」

俺「いや・・・。あの・・・。オレは・・・。」

仏頂面「それから、ここへは滞在できなから、お前は今からしかるべき施設へ送られる」

俺「え、ちょっ・・・。」

仏頂面「先ほどの部屋で迎えがくるまで待て。以上だ。なにか質問はあるか」

俺「・・・。」





そこから待つことさらに4時間。

空港に着いてから12時間後。午後8時に迎えの係員2人が来た。

一人の係員が俺の荷物を担ぐと、もう一人が言った。

「両手を前に出せ」

言われたとおり両手を前に出す。



すると、俺の腕におもむろに鉄の輪をかけた。


係員「このまま表の車に乗る。同じ歩幅でキョロキョロせずに歩け」



手錠をかけられた俺は個室を出ると、空港内を係員2人に付き添われながら歩いた。



まわりでヒソヒソ話す声が聞こえる。

子供が俺を指差し、親がそれを止めている。

すれ違う度に、ほかの旅行客や一般客が振り返る。



周りの視線が物凄く痛かった。



なんだよ!まるで犯罪者じゃね~~か!






〈続く〉