花王エッセンシャルflat モイスト&モイスト の解析3トリートメント解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

今回から2020年の更新になります。

今年もボチボチやっていきますので、よろしくお願いします。

 

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皆様、どうもありがとうございます。

まだセールをやっていますので、こちらもよろしくお願いします。

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さて今回の解析に移ります。

今回は、エッセンシャルflat モイスト&モイストトリートメントの解析でになります。

 

関連エントリーは以下になります。

2019.12.29花王エッセンシャルflat モイスト&モイスト シャンプートリートメントの解析1概要編

019.12.31花王エッセンシャルflat モイスト&モイスト の解析2シャンプー解析編

 

 

 

エッセンシャルflat モイスト&モイストトリートメントの全成分表示は以下の通り。

 

エッセンシャルflat モイスト&モイスト トリートメント全成分

水、ステアリルアルコール、ジメチコン、DPG、ステアロキシプロピルジメチルアミン、乳酸、ヒマワリ種子油、イソステアリルグリセリル、ポリグリセリン-3、リンゴ酸、アモジメチコン、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシエチルセルロース、ラノリン脂肪酸、ビスメトキシプロピルアミドイソドコサン、セテアレス-7、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド、PEG-45M、セテアレス-25、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、香料、黄4、青1、赤227

 

 

ではいつもの様に、裏面の処方を整理します。

今回取りあげるエッセンシャルflat モイスト&モイストの他に、去年発売されたエッセンシャル の主力製品である、スマートリペア トリートメント(2018)の裏面表示も整理し、並べててみます。

 

スマートリペア トリートメント(2018)は現行製品でもあります。

このスマートリペア シャンプー・トリートメント(2018)についても、以下に関連エントリーを上げておきます。

これも発売当時「意外に良い!」、と一部で話題になっていた製品です。

 

関連エントリー

2018.11.15花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析1概要編を追加

2018.11.21花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析3を追加

2018.12.03花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析2を追加

 

 

この比較で、エッセンシャルflatトリートメントが、どういう製品なのか、、、。

まあイソステアリルグリセリル以外は注目点はないのですが(笑)、それを確認するノが今回のエントリーになります。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にグルーピングし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

こんな感じになりました。

 

 

では解析。

Flatトリートメントの処方は、新規に投入された「髪ときほぐし成分」であるイソステアリルグリセリルを除けば、既存のエッセンシャルコンディショナーとあまり変わっていません

 

シャンプーの方はコストダウンという特徴があったのですが、それもあまりないです。

多少変わっている原料もありますが、いずれも花王のコンディショナー製品では、常連的に使われている原料ばかりですね。

その範囲での変更です。

 

 

では簡単に見て行きます。

まずワックスのパート。

ステアリルアルコールですね。

これはトリートメント・コンディショナーでは一般的な原料です。

 

次はコンディショニング剤のパート。

ステアロキシプロピルジメチルアミンという、効果がやや軽めの三級カチオンに、髪保護効果の高い二鎖型カチオンのジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリドを加えています。

ステアロキシプロピルジメチルアミンを主剤とするのは、花王の伝統的な定番処方であり、そこに二鎖型カチオンを合わせて味付けするのも花王トリートメントの処方では一般的です。

エッセンシャルでも、この2018年版では省かれていますが、その前の2016年版や2014年版のエッセンシャルトリートメントの処方では、ステアロキシプロピルジメチルアミンと二鎖型カチオンの組み合わせで作られていました。

当ブログでも過去に扱っています。

参考:2018.12.03花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析2を追加

なので、花王的には目先を変えただけで、ごく普通です。

 

次は油剤のパート。

ここでは注目の「髪ときほぐし成分」イソステアリルグリセリル以外は、ラノリンの量が減らされたぐらいでほぼ同じ構成です。

あとは、ちょと長い名前ですが、似た構造のシリコン系化合物2種類((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーと(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー)が、整理されて1種類にまとめられ、その代わりに、これも長いな雨の油剤であるビスメトキシプロピルアミドイソドコサンが添加されていることですね。

このアヘン長い名前が多いのですが、どれも花王の製品では良くよく使われている油剤です。

 

恐るべきことに、防腐剤が配合されていません

保湿剤に分類した、ベンジルアルコールが持つ抗菌力によって、製剤の防腐を行っているようです。

すごい技術なんですが、この製品からと言うわけではなく、花王さんは数年前からコンディショナー分野では、この技術を確立しています。

 

最後は保湿剤のパート。

ここも、過去のエッセンシャル製品と比べて、ほとんど同じ構成です。新規に追加されてるのは、保湿剤のグリセリンの三量体と、PEG45Mですが、取り立てて高機能なわけでもなく、普通の保湿剤です。

また、PEG3カプリリルエーテルという花王独自の原料が省かれていますが、この原料はすでにシャンプーに入っているので省かれたんじゃないかと思います。

 

これで解析は終了です。

 

イソステアリルグリセリル配合以外は、取り立てて見るところのない処方でした。

しかし製品としては良いので、文句は言いません(^_^;)

 

次回は、ジュレームシュープリームを予定しています。

ナタは仕込んであるので早いうちに登場予定です。

 

 

あとは、原料ごとのコメントを書いておきます。

 

 

ワックス類

・ステアリルアルコール:コンディショナーやトリートメントに良く使われる、一般的な固形油の1種。

 

コンディショニング剤

・ステアロキシプロピルジメチルアミン:ちょっと変わったリンス基剤。アミドアミン類と呼ばれる成分で有り、使用感の良いリンスを作るのは難しく、大部分の会社は使用を止めてしまったのですが、一部の会社はこの成分をを改良しながら使い続けている(その内の1社が花王)。ステアロキシプロピルジメチルアミン自体は、1社のみが生産している原料ではありませんが、参考としてミヨシ油脂さんのカタログを上げておきます。

http://www.miyoshi-yushi.co.jp/_userdata/yuka/palner_color.pdf

これによると、ステアロキシプロピルジメチルアミンは髪のまとまり感や、髪への吸着量が大幅にアップしてるみたいです

・ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド:二鎖型カチオンと言われるタイプのカチオン界面活性剤で、髪への吸着が強く、髪の保護作用を発揮しやすい原料です。

 

 

油剤

・ジメチコン:化粧品で最もよく使われている、普通のシリコン油

・ヒマワリ種子油:ヒマワリ種子油はオリーブ油に似た油で保湿感が高く、トコフェロール(ビタミンE)を豊富に含むことで知られている。元々は不飽和結合が二個あるため、オリーブ油に較べて安定性の悪い油であったが、近年では品種改良が進み、オリーブ油レベルの安定性に改良された製品も出回っている。

・イソステアリルグリセリル:別名イソステアリルグリセリルエーテル。油溶性が高く、特にW/O乳化物(ファンデーション、日焼け止め)に向いている原料である。乳化特性にすぐれ、液晶を形成することで、高水分含量の乳化物を作ることができる。花王が販売している原料でもある。今回の製品では、この原料の新たな性能として、髪をまとまりよく仕上げ、アイロンなどで熱を加える事で、髪を柔らかくして整髪しやすくする機能があることを見いだしたとしている。

・アモジメチコン;アミノ基をつけて毛髪への吸着力を高めたシリコン油。

・ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:この素材は名前は長いですが、ラノリン類似油剤の一種で、抱水性、コンディショニング性に優れた油剤です。

・ラノリン脂肪酸:羊から取られるラノリンを加水分解して得られる、脂肪酸混合物。エモリエント剤として機能する。

・ビスメトキシプロピルアミドイソドコサン:花王製品では、ヘアケア・スキンケア問わずよく使われている、エモリエント効果の高いオイル。化粧品犬は触ったことの無い原料なのですが、鎖長の長いイソドコサン二酸をメトキシプロピルアミンと縮合させて更に長くしてあるので、かなりべったりしたオイルだろうと思います。アジエンスMEGURIにも使われていますね。

・(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー:吸着力の高いアミノ変性シリコンとしっとり感の高いポリエーテル変性シリコンがブロック共重合した形の直鎖状のポリマーで、両者の性質を併せ持つ素材

 

保湿剤、増粘剤他

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。水

・DPG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。やや抗菌性がある。ネットでは安全性について疑問の声もあるが、ほぼ誤解だと思われる。詳しくは以下のエントリーに書きました。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12115752613.html

・乳酸:pH調整剤。AHAの一種でも有り、pHによってはピーリング効果を示すこともある原料。

・ポリグリセリン-3:グリセリンが3分子重合した保湿剤。グリセリンに較べ、保湿効果が飛躍的に上がるわけではないが、粘度はかなり高い。

・リンゴ酸;通常はpH調整剤として使われる。花王によると、ドライヤーの熱から髪を守り効果もあるとのこと(花王のスタイリング剤である、リーゼの説明より)。

・ヒドロキシエチルセルロース:化粧品でよく使われる、汎用的な増粘剤。

・セテアレス-7:基本的な乳化剤。コンディショナーの粘度を調整する。

・PEG-45M:水に溶解させることで、若干の油性感を持たせる効果のある保湿剤。

・セテアレス-25:基本的な乳化剤。コンディショナーの粘度を調整する。

 

・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。

・イソプロパノール:アルコールの一種だが、エタノールより強い臭いがあり、化粧品で使われる事は少ない。殺菌力もエタノールより強いが、安全性は同程度と言われている。トリートメント基剤となるカチオン活性剤の溶媒として使われている事が多い。

・ヒドロキシエチルセルロース:化粧品でよく使われる、汎用的な増粘剤。

ベンジルアルコール:若干の抗菌性を持つ、グリセリンやDPGに似た液状の成分。水と混合可能で、油溶性の成分を溶かしやすくする効果もある。浸透性が高いので、毛髪に他の成分を浸透させる力があり、その効果を生かして、ヘアマニキュアでは色素を髪に浸透させるために、よく使用されている成分です。

・黄4、青1、赤227:タール系色素と呼ばれる着色剤。食添でもあり、案zン性上の問題を指摘されることも多い(本当に大きな問題のあるタール色素は既に排除されている)。化粧品で使う場合は、少量であり、口に入るわけでもないので、大きな問題は無いと思われる。ただ個人的に意見であるが、必要なくタール色素で着色することは、リスクを増すだけなので感心しない。この製品でも、着色することに、意味を見いだせない。