花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析2 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

前回から2018/8/5にリニューアルされた、新らしいエッセンシャル スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析をやっています。

 

前回はシリーズ全体も含めた概要編でしたが、今回はシャンプーの解析編です。

 

関連エントリはこちら。

2018.11.15花王 エッセンシャル(2018) スマートリペアシャンプー・コンディショナーの解析1概要編

 

いつもならシリーズ全製品の解析をするのですが、長くなりすぎてだれてしますので(^_^;)

今回は一番気に入ったスマートリペアシャンプー・コンディショナーのみ、詳しく取り上げて行きます。

 

前バーション(2016年品)で強調されていたのは「ハンドブローだけでみるみる毛流が揃う」ということでしたが。

今回は「手ぐしでラク!しっとりまとまる髪に」プラス「傷みによる髪のからまりやパサつき、まとまりにくさを感じている方に」となっています。

また、前バーション(2016年品)では、「するする補修TECHNOLOGY」だったものが、リニューアル後は「オートスムーステクノロジー」となっています。詳しく書いてないので良く分かりませんが、なんか似ていますね(^_^;)

 

正直、処方もあまり変わっていないのかなという感じです。

 

しかし使った感じは、良い意味で結構変わっています

最近大幅に変わったします製品が多いのですが、大きくラインは変えずに改良するという今回のリニューアルは、かなり好印象でした。

 

処方の変更は小さいですが。

特にシャンプーの変更が小さい(^_^;)

 

まあ、この変更でこうなるんだ、というのが分かりやすくはある、としておきましょう(^_^;)

 

使用感的には、やけにボリュムダウンするけど、髪のまとまりよく使える!という印象です。

以前はこの感じでは無かったと思います。うろ覚えですが(^_^;)

 

そんなわけで、どんどん解析行きます(^_^;)

 

いつもの様に、裏面の処方を整理します。

今回は、2014年と、2016年のリニューアル時の裏面表示も整理し、並べててみます。

名前は発売年で多少変わっているのですが、まあ後継製品はこれだというのは分かりますので、それを並べました。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

こんな感じになりました。

 

 

エッセンシャルは大体2年おきに全面リニューアルされるのですが、2014年以降は処方的には、あまり変わっていないのがわかります(^_^;)

まあ今回は、それはそれでいいとしていますので、あまり突っ込みません(^_^;)

 

全体的な処方の解析は後回しにして、今回の改良のポイントについて解析しましょう。

今年の処方(2018年)を見ると、配合量が多少変わっている成分もありますが、あまり大きな差ではありません。

今年から新規に追加されているのは、1成分です。

それは、コンディショニング剤、オイル類のパートの下から2番目にある、

(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー

という成分ですね。

これはアミノ変性シリコン油に、更に親水基(ポリエーテル基)を追加して、水溶性にしたような成分です。

カタログによると、アミノ変性シリコンとポリエーテル変性シリコンが交互に結合している、ブロック共重合体とのことです。アミノ変性シリコンの感触に加え、ウェット時のきしみ・ドライ時のぱさつきを低減すると。

シリコンの含有量を高めに設定しており、なめらかな感触を強調したタイプですとのことです。

シリコンに親水性の基を加えた、ポリエーテル変性シリコン油という成分は、実は結構使われている成分なのです。

個人的には、それらではあまり良い使用感になったことはないのですが、そこにアミノ変性シリコンを加えて使用感を高めた成分であるともいえますね。

 

実はこれに良く似た成分である、

(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーという成分は、既に2014年度からコンディショナー使われていたのです(PEG-14の部分がPEG-15になっただけ)。

 

多分ですが、花王さん内部でもう一度再検討し直して、PEG-14の方が良いということになり、2018年版からはシャンプー・コンディショナー共に、(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーを追加したのでしょう。

まあ、あまりかっこ良くないから、詳しい説明は書けませんね(^_^;)

ただ使ってみると、結果は良いのです。花王さんも、かっこ良さよりも結果を取ったのでしょう。

 

またこの新成分追加と交換されるように、省かれた成分もあります。

コンディショニング剤、オイル類のパートの下から4番目くらいにある

ビスセテアリルアモジメチコン

という成分です。2014-2016年には配合されてましたが、2018年には抜かれています。

これは、両端に疎水基をもつアミノ変性シリコンで、新成分のように親水基(エーテル基)は入っていない成分でした。 

べたつかず、毛髪にまとまりの良さを与える成分らしかったのですが、新成分の(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーで、毛髪ケア効果は充分と判断されたのでしょう。

 

 

 

あとは全体的な部分を簡単に見てみましょう。

2018年の製品も基本的には、典型的なラウレス硫酸型のシャンプーです。ラウレス硫酸系洗浄剤と汎用的な両性洗浄剤とも言えるラウラミノプロピルベタインとラウリルヒドロキシスルタインが加えられている形です。

 

しかしコンディショニング剤、オイル類のパートを見ると、2016年度の解析でも書きましたが、この製品はかなり変わっています。

普通はコンディショナーに入っている、ミリスチルアルコールの様なワックスや、ステアロキシプロピルジメチルアミンのようなカチオン界面活性剤や、シリコン油まで配合されているのです。

いわば、リンスインシャンプー的な作りです。

カチオンの量とかは控えめなのか、それほどの効果は無いのですが、凝った作りです。

花王さんの製品では、実はアジエンスのシャンプーも同じような作りをしています。(アジエンスMEGURIではない方)

 

花王 アジエンスシャンプーしっとり仕上がるタイプの解析 後編

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12053149482.html

 

リンスインシャンプー的な構成は、コストが高くなるので、いつまでこの路線で行くのか分かりません。

例えば比較的新しいメリットピュアンなんかは、]こんな構成ではありません。

しかし、花王シャンプーの伝統として長く続けて欲しいものです。

 

 

 

あと個別に、原料について書いておきます。

 

花王さんは自身でラウレス硫酸や化粧品原料を作っている会社でもあるので、色々カスタマイズされているようです。

 

洗浄剤

・ラウレス硫酸アンモニウム:ラウレス硫酸アンモニウムは、ラウレス硫酸ナトリウムの刺激性を改善した物です。地味に珍しい原料です。また、このラウレス硫酸Naは、花王さん自身が生産した、特別に泡立ちのよい物である可能性が高いです。詳しいことはラウレス硫酸Naの項を参照してください。

・ラウリルヒドロキシスルタイン:よく使われているコカミドプロピルベタインと良く似ている、安さとそこそこの安全性が取り柄の洗浄剤ですね。

・ラウラミドプロピルベタイン:よく使われているコカミドプロピルベタインと殆ど同じ成分で、安さとそこそこの安全性が取り柄の洗浄剤です。

・コカミドMEA:シャンプーでよく使われる増粘・増泡剤

・イソデシルグリセリルエーテル:花王さんが良く使う起泡剤。花王さんの食器用洗剤のキュキュトにもアルキルグリセリルエーテルと言う似た名前の起泡剤を使っているので、同じ成分かもしれません(表記からは分かりません)。

・ラウレス-4カルボン酸Na:酸性石けんとも言われる刺激の低い洗浄剤。ただし、泡立ちは良く無く、しっとり系の洗い上がりになる。

・ラウレス硫酸Na:シャンプーでよく使われる洗浄剤。ネットでの評判は悪いが、洗浄力は強めであるものの、刺激はそれほどは高くない。そもそも、ラウリル硫酸Naという刺激の強い洗浄剤の、安全性を改良した洗浄剤。

 

下記エントリー参照です。

花王 メリットシャンプーの解析(前哨編2 ラウレス硫酸塩の安全性)

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12019765318.html

 

また、このラウレス硫酸Naは、花王さん自身が生産した、特別に泡立ちのよい物である可能性が高いです(化粧品の表記からは分かりませんが)。

メリットに使われているラウレス硫酸塩は、そうでしたね。メリットのような医薬部外品は、構造が正確に表示されるので、花王製のトイ別に泡立ちの良いラウレス硫酸塩であることが分かります。

下記エントリーにて詳細を書いていますので、興味ある方はどうぞ。

 

花王 メリットシャンプーの解析(本編 洗浄成分について)

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12020148517.html

 

コンディショニング剤、オイル類

・ヒマワリ種子油:ヒマワリ種子油はオリーブ油に似た油で保湿感が高く、トコフェロール(ビタミンE)を豊富に含むことで知られている。元々は不飽和結合が二個あるため、オリーブ油に較べて安定性の悪い油であったが、近年では品種改良が進み、オリーブ油レベルの安定性に改良された製品も出回っている。

・ラノリン脂肪酸:羊から取られるラノリンを加水分解して得られる、脂肪酸混合物。エモリエント剤として機能する。

・ミリスチルアルコール:柔らかめのワックスで、本来はコンディショナーに使われる事は多い成分。

・ステアリルアルコール:硬めのワックスで、本来はコンディショナーに使われる事は多い成分。

・PPG-2ヒドロキシプロピルトリモニウムセルロース:ヒドロキシプロピルセルロースをベースにし、髪への吸着性を高めたカチオン化ポリマー。

・ヒドロキシプロピルセルロース;増粘剤。

・グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:昔から使われているカチオン化ポリマーの1つだが、最近再度よく使われるようになっている。

・ポリクオタニウム-10:もっとも良く使われているヘアシャンプー用のコンディショニング剤。別名カチオン化セルロース。

・ポリクオタニウム-52:別名 N - ジメ チ ル アミノエ チ ル メタクリル 酸 ジ エ チ ル 硫 酸 塩・N , N - ジ メ チ ル ア ク リ ル アミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール 共重合体。花王自身も使っているが、外部に販売もしている花王の化粧品原料で、コンディショニング剤。ラウレス-16と混合された状態で販売されている。

・ステアロキシプロピルジメチルアミン:ちょっと変わったリンス基剤。アミドアミン類と呼ばれる成分で有り、使用感の良いリンスを作るのは難しく、大部分の会社は使用を止めてしまったのですが、一部の会社はこの成分をを改良しながら使い続けている(その内の1社が花王)。ステアロキシプロピルジメチルアミン自体は、1社のみが生産している原料ではありませんが、参考としてミヨシ油脂さんのカタログを上げておきます。

http://www.miyoshi-yushi.co.jp/_userdata/yuka/palner_color.pdf

これによると、ステアロキシプロピルジメチルアミンは髪のまとまり感や、髪への吸着量が大幅にアップしてるみたいです。

・(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー:ポリオキシエチレンタイプの直鎖アミノポリエーテル変性シリコン。ポリエーテルとアミノ変性シリコーンが交互に結合した直鎖状のブロック共重合体。アミノ変性シリコーンの感触に加え、ウェット時のきしみ・ドライ時のぱさつきを低減します。シリコーンの含有量を高めに設定しており、なめらかな感触を強調したタイプになっています。

・ジメチコン:化粧品で最もよく使われている、普通のシリコン油

 

 

防腐剤

・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。

当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いた。

プロピルパラベンの安全性についての文献を紹介

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12119450565.html

 

増粘剤、保湿剤、香料等

・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。

・ジステアリン酸グリコール:シャンプーで良く使われているパール化剤。

・リンゴ酸;pH調整剤。

・コハク酸2Na:化粧品犬的には強くは信じられないのですが、髪内部にたまった不要なカルシウムを洗い出す効果があるようです。

詳しくは下記エントリーで書きました。

花王 アジエンスMEGURI の解析2 コンセプト・理論編

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12087261213.html

 

・PPG-3カプリリルエーテル:花王さん自身の新規化粧品原料で、髪にまとまりとツヤを与え、シリコーン様の感触を実現する新規成分です。

PPG-7:ポリプロピレングリコールの1種。水を改質し若干の油性感を与える成分。

・ラウレス-4、ラウレス-16、ラウレス-23:花王のシャンプーに良く配合されているノニオンで、増泡・増粘効果を高める効果がある物です。

水酸化Na;pH調整剤。

ベンジルアルコール:若干の抗菌性を持つ成分。水と混合可能で、油溶性の成分を溶かしやすくする効果もある。