花王 メリットシャンプーの解析(前哨編2 ラウレス硫酸塩の安全性) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

(4/28追記)ラウリル硫酸Naの略称がSDSまたはSLSであること、またラウレス硫酸Naの略称がLESまたはSLESであることを追記しました。

化粧品犬です。

花王さんのメリットシャンプーの解析の続きになります。
前エントリーはこちらです。

しかし今回はちょっと寄り道して、界面活性剤の安全性について書いておきたい思います。
事前の勉強にもなりますし、前エントリーで触れた「自称シャンプー通の方々の硫酸塩批判」について、一言書きたい気持ちもあります。

本項の最後の方で、一般の人が入手できる、良い参考文献も紹介します。
探すのに結構時間がかかってしまった(^_^;)。お勧め文献です。


そもそも、どういう界面活性剤がダメかなんて、実際に手を洗ってみれば分かるじゃん?
と思いましたが、ラウリル硫酸ナトリウムとか、ラウリン酸とか、生の状態では一般には売ってないんですね。
会社にはいくらでも転がっていたのですが、確かに下手に触ると危ないものではあった。

仕方ないので、合成界面活性剤の歴史をたどりながら体験混じりの簡単な説明をします。

合成界面活性剤の歴史をひもとくと、まず最初に、アルキルベンゼンスルホン酸Naという合成界面活性剤が出来たんですよ。
略称はLASとかABSとか言います。
これは泡立ちが良く、今でも衣料用洗剤などに使われているのです。
例えば、アタックとか。
アタックの成分を確認できるように、おなじみケンコーコムさんのリンクをはっておきます(^_^;)
http://www.kenko.com/product/item/itm_6931303972.html

ママレモンとかもそうですね。メーカーのページを貼っておきます。
http://www.lion.co.jp/ja/seihin/shared/ingredients/053/01.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=500&width=500

しかしアルキルベンゼンスルホン酸Naは生分解性が悪いことと刺激があることが欠点でした。
アタックやママレモンは、その欠点を減らすために他の界面活性剤で割るなど、配合を工夫しているのだと思います、とフォローさせてください(^_^;)

ちなみにママレモンは、私は全くダメですね。すぐに手が荒れる。

そこでそれを改良したものが作られました。それがラウリル硫酸Naです。
略称はSLSとかSDSと書きます。
直接体に使える程度には改良されたので、現在でもヘアシャンプー等に使われています。
使われている製品はヘアものを中心に数多いです。
泡立ちは、まだまだ良いです。
しかし、やはりまだ刺激が高い。
その昔、ヒトパッチ試験という化粧品の試験で、陽性対象として使われていました。
陽性対象とは、パッチ試験をした人のだいたいが赤く晴れてしまう成分のことで、正常にパッチ試験が行われた確認として使われるものです。

そこで、泡立ちを犠牲にして更に改良したのが作られました。それがラウレス硫酸Naです。
医薬部外品的表記で書くと、ポリオキシエチレンラウリル硫酸Naです。
メリットシャンプーにはこちらの表記で表示されていますが、そう言う法律ですから(^_^;)
略称はLESまたはSLESになります。

自称化粧品通の方々はこれも目の敵にするのですが。
ますますの安全性とまずまずの泡立ち、まずまずの生分解性を兼ね備えた素材です。

これはネットでは日本石鹸洗剤工業会の資料が参考になります。
リンクはココです
http://jsda.org/w/01_katud/jsda/jsda_AES_201112.pdf

内容を一部抜粋すると(引用青字)、

ウサギを用いた皮膚刺激性試験では、(中略)70%以上の高濃度では中等度から高度の刺激性、10か ら 30%の濃度では軽度から中等度の刺激性、1%以下では無刺激性であることが報告されて います。

とかです。
いいですね。

わかりにくいかもしれませんので補足すると、ウサギを用いた皮膚刺激試験とは、ウサギさんにパッチ試験をする事です。想定としては、リンスオフではなくリーブオン。

つまりスキンケア想定ですね。
ラウレス硫酸Naは洗い物用なのですが、より厳しい試験法でやった思ってください。

また濃度を考える際には、ヘアシャンプー中のラウレス硫酸Naの濃度は10~15%であると考えてください。
これは化粧品の教科書的な本を買えば出ています。

これが頭の上の濡れた髪で希釈されると5倍~10倍ぐらい希釈されると思われます。
そうすると、実際に洗う時のラウレス硫酸Naの濃度は1~3%以下になります。
実際には、ヘアシャンプーの界面活性剤は、ラウレス硫酸Naコカミドプロピルベタインの併用系になっている子てゃおおいので、ラウレス硫酸Naの濃度はの濃度は元ずっと低くなります。
併用の割合はお\色々ですが、1%ぐらいになってしまうこともあり得ますよね。
そして引用文から分かるように1%以下ならラウレス硫酸Naは無刺激です。


この資料は、その他にもヒト健康リスク評価として
有害性評価
急性毒性
刺激性および腐食性
皮膚感作性
反復投与毒性
生殖発生毒性
遺伝毒性
発がん性

とかの、マジな論文がリファーされています。
色々確かめたい人に、超お勧め文献です!

日本石鹸工業組合さんの資料は堅くて良いですね。
これらもちょくちょく使いそう(^_^;)

話は変わりますが、今回の項は資料探しに時間がかかりました。

ヒステリックな資料はたくさん出てくるのですが、まともなものがない・・・。

その中でいいなあ、」と持ったのが、かずのすけさんのブログです。
http://ameblo.jp/rik01194/

今回、こちらのページを紹介しようと思ったのですが。
http://ameblo.jp/rik01194/entry-11907922688.html

おそらくかずのすけさんも化粧品関係の方ではないと思うのですが、冷静な語り口が良いですね。
ただ、おそらく大学の感覚でされている、文献の直リンが気になります。
私も文献のリンクを載せているんですが、それはもともとネットに公開してある文献で。
かずのすけさんが結構学術論文の直リンをされるので気になっています。
該当ページの、味の素の坂本さんの文献とか引用したかったのですが、これ直リンすると著作権違反の可能性がある。JSTAGEに収載されているようですが、規約が下記ですから。

JSTAGEの閲覧規約
https://www.jstage.jst.go.jp/pub/html/AY04S120_ja.html

勝手に紙媒体の研究論文のコピーをネットに挙げたりしてはダメなんですよね。
雑誌のレイアウトや図案にも著作権が発生するので。
著者なり出版元に許可取ってあればいいのですが。
(ちなみに海外の紙媒体の研究論文の圧化については、私はよく知りません)

もしかしてかずのすけさんは、著者なり出版元の油化学なりに許可を取ってらっしゃるかもしれないので、その場合は問題ないのですが。
私はその気はないので(^_^;)
かずのすけさんのブログの該当ページの紹介にとどめておきます。


続きます。
次はシャンプーの解析に入ります。たぶん(^_^;)