かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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アミノ酸系洗剤の構造の解説などをまだやっていないので、

このネタはまだあっためておこうかなと思っていたのですが…



質問数が非常に多いので取り上げておきたいと思います。




『危ないシャンプーの見分け方』


というページのとある記載が、

昨今ネット上で大きく注目されているようですね。



ちなみに↑は、

とある美容メーカーのホームページです。



このページには、

以下のような記載がなされています。



●アミノ酸系シャンプー見分け方

アミノ酸系シャンプーはタンパク質の一種アミノ酸を使っているため、髪と肌に優しいスキャルプタイプのシャンプーとして販売されていますが、肌にくっついて取れにくいため、トラブルを引き起こす原因にもなっています。

また2012年の近畿大学との共同研究の実験では、「ラウロイルメチルアラニンNa」「ラウロイルグルタミン酸TEA」等のアミノ酸系洗浄剤は、硫酸(りゅうさん)系洗浄剤と同様、またはそれ以上に細胞破壊を起こすことがわかりました。
その実験は、何度行っても同じ結果が得られました。


ただ、「ココイルメチルタウリンNa」「ラウロイルメチルタウリンNa」「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」はくっつきにくい構造なので安全です。

(引用: 『危ないシャンプーの見分け方』 原文ママ







これはよくいろんな美容メーカーがやっている、

他社成分を貶めて自社成分を格上げするという

商売トリックの一つですよね。



今更こういうのどうなの?っていう気もしますが、

ただこのネタの場合問題なのは


「近畿大学との共同研究」

という記載がされていること。

(※現在は大学名の記述は消えています。)



「大学」っていうと凄い権威じみて感じてしまうので

なんとなく信ぴょう性があるように感じてしまうのかもしれませんが…



残念なことに

僕の方で2012年度の近畿大の論文を色々と探してみましたが

それらしいものは見つけられず、、


つまり研究はしたのかもしれないけど、

論文にするような内容ではなかったってことなのでしょうかね。


(大学に問い合わせてみました!→「あの大学から返答頂きました~」




あと普通はこういう共同研究って大学名出さないものなんですよね。


うちの研究室も色々と共同研究やってますけど、

大学名はほとんど公開しないですよ。

(よっぽど最先端の研究なら公開もしているでしょうけど)



さらに言えばこういう企業からの委託研究はお金をもらってるので、

研究結果自体はかなり黒い結果になっても、

相手にとって嬉しい結果を半分捏造する


なーんてことも往々にしてありうるわけです。




ですから大学との共同研究だったからと言って、

その情報が本当に信頼できるかどうかなんてのは一切判断できません。




まぁ幸いホームページも胡散臭いし

情報ソースが無いので全体的に懐疑的な風潮があるような気はしますね。




とりあえずかずのすけの持っている資料で、

わかりやすいものを何個か提示しておきましょう。




◎アミノ酸系と硫酸系の刺激性比較


以前も言いましたが、

アミノ酸系洗剤が最初に開発されたのは

今から80年ほど前のことです。
(ラウロイルサルコシン系ですね)


そして

「N-アシル‐アミノ酸系界面活性剤」

というタイプの洗剤が確立したのは、

今から40年くらい前のことです。


つまり別にそんなに新しいものでも無いということですね。


だからアミノ酸系洗剤の刺激性試験なんていうのは

ずっと前から膨大な数行われています。



それで、


「Comparative studies on the ocular and dermal irritation potential of surfactants」
(界面活性剤の眼および皮膚刺激性の比較研究) 
A. Mehling,2006.

僕が持ってる文献だとこれが特にわかりやすいのでよく使っているのですが、

これは2006年の研究結果です。


多分普通のパソコンでは↑の記事読めないと思うので、
(ScienceDirectのアカウントが必要です。大学構内とかなら読めます;)

簡単に解説しておきます。



まずこの研究では

↓に示す
18種類の界面活性剤について

試験法として妥当性があると評価されている5種類の刺激性試験を用いて

各界面活性剤の刺激性を比較しています。


・ココイルグルコシド(非イオン系)
・ラウリルグルコシド(非イオン系)
・デシルグルコシド(非イオン系)
・ラウリルグルコシル酢酸Naとラウリルグルコシド(陰イオン+非イオン)
・ココイル加水分解コムギタンパクNa(アミノ酸系)
・ココイルグルタミン酸2Na(アミノ酸系)
・ラウレス‐7‐シトレート(陰イオン‐詳細不明)
・ココイルグルタミン酸コムギタンパクNa(アミノ酸系)
・ラウリル硫酸Na(硫酸系)
・ラウリル硫酸アンモニウム(硫酸系)
・ミリスチル流酸Na(硫酸系)
・ラウレス硫酸Na(硫酸系)
・ラウレススルホン酸2Na(スルホン酸系)
・ココアンホ酢酸2Na(両イオン系)
・ココアンホ酢酸Na(両イオン系)
・コカミドプロピルベタイン(両イオン系)
・ラウロアンホ酢酸Na(両イオン)
・ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク(陽イオン系)


という感じで並んでます。


外国の洗剤なので日本ではほとんど売ってないものも使っているみたいです。



そして刺激性テストとしては、

国際的に正当な刺激性評価法として定められている


以下の5種類の試験を行っています。

RBCテスト

(タンパク質変性作用を豚のヘモグロビンにて判定する)


HET-CAMテスト
(受精卵の出血・溶解・凝固などを評価する)


急性眼刺激テスト
(角膜上皮組織を用いてその反応を視覚的に評価する)


経皮パッチテスト
(テスターに2%溶液を24時間貼付して刺激性を評価する)


SCテスト

(1%溶液にて数日間に渡るパッチテストを行い経過を評価する)



まぁ例のメーカーは1種類、

しかもヒト三次元培養表皮モデルの試験はまだ申請段階で、

国際的に認められている刺激性試験ではありませんし


さらに言えば試験管内試験(in vitro)での方法ですから、

生体内試験(in vivo)ではありませんので

十分な信ぴょう性があるとは言いにくいです。



通常、

界面活性剤の刺激性試験は

ヘモグロビンなどを用いて試験管内で結果が出たら、

この研究のように実際に人の皮膚を用いた試験も行うのが常識です。



当然のことですが、

試験管の中で大きな結果が出たとしても、

生体に作用させたら全然効果が出なかった場合、


より尊重されるのは生体内試験です。

そちらの方が実際の影響に近いと判断されるからですね。


当たり前と言えば当たり前です。



例の研究とやらは明らかに試験管内試験だけですよね。


この点から評価しても

研究やってる人間からすれば全く信頼に足らない情報であることが言えます。




話が逸れましたが


実際の結果は↓のような感じです。
(頑張って日本語に作りなおしました;)





さっき上から書いた洗剤が左から順番に並んでいるのですが、

グラフの帯が長いほど高刺激性で、

グラフの帯が短いほど低刺激性です。


結果を見れば一目瞭然ですが、


非イオン系とアミノ酸系界面活性剤は、

ラウリル硫酸やラウレス硫酸と比較して明らかに刺激が弱い
です。



ラウロイルメチルアラニンNaが無いのは残念ですが、

ラウロイルグルタミン酸Naも槍玉に挙げられていますよね。




◎日本での研究も十分




結構昔の資料ではありますが、

これは皆さんも読めると思います。


『アミノ酸系界面活性剤』 坂本一民(味の素株式会社) 

この資料でも、

『2-2 アシルアミノ酸の生体適合性・環境適合性』の項で、


宮沢ら40,41)・芋川ら42)は
種々のアニオン界面活性剤の安全性を異なる評
価法を用いて調べ,
アシルグルタミン酸・アシルメチル
タウリン・アシル-β-アラニンなどの
アシルアミノ酸が
硫酸アルキル塩や硫酸アルキルポリ(オキシエチレン)塩,
セ ッケンなどの大表的アニオン界面活性剤にくらべ
安全性にすぐれることを示した。

(原文ママ)


という記載が見られます。


日本の研究者の間でも異なる評価法で検証し、

アミノ酸系のグルタミン酸塩やβアラニン塩は

硫酸系よりも安全であるという結果が示されている
のです。



ちなみにこの文献もしっかり読み込めばわかるんですが、


やはり、

刺激性試験は一つの方法では十分ではない

という理解が一致しています。


当然この人たちも

『異なる評価法』

で刺激性試験を行っています。




◎結論:アミノ酸系洗剤は硫酸系よりほぼ確実に低刺激


当たり前といえばそうですが、


やはりあれだけ大々的に公言していると

不安に思ってしまう人もいるのは仕方がないでしょう。



ただこれまで国内外様々な研究機関で膨大な研究が行われていて、

それが今更違うっていうのはちょっと考えにくいです(^_^;)




まぁ実験の方法によっては、

確かに言うとおりの結果になるのかもしれませんが…。。


しかし実際には

少なくとも3種類くらいの方法でその結果がでなければ、

その結果が正しいとは評価されないでしょう。


普通に考えれば、

これまでの結果から明らかに逸脱した結果が得られてしまったら、

それは

『実験方法がおかしいんじゃない?』

という評価がされるべきところなのです。



で、

そんないい加減な結果を大体的に公表しちゃうっていうのは、

研究機関としてはかなり恥ずかしい振る舞いだと思いますよ。





ちなみに、

実際に僕らでも簡単に評価できる方法として、


卵白を使ったタンパク変性の実験でも

この刺激性の違いは明らかです。



アミノ酸系のシャンプーと硫酸塩系のシャンプーを用意して

その溶液を卵白に入れると、


硫酸塩系は一気に白濁しますが


アミノ酸系はほとんど変化が起こりません。


これは洗剤のタンパク質変性作用がまるっきり違うからです。



まぁ卵白のタンパク質は人の肌とは違いますから

この結果をそのまま生体での結果と受け取るわけにはいかない部分もあるのですが、


単純なタンパク質変性の違いは誰にでも分かるんだよ~


という豆知識です。





なんでこのメーカーが1種類の試験の結果だけで

こんなに強気なのかは定かではないですが、、


(普通なら「可能性が示唆された」くらいにしか言いませんからね…;)


まぁウソかホントかは置いておいて、

不良情報の一種であることはまず間違いないでしょうね。




ちなみに今回はあんまり扱わなかったですが
「くっついて取れないからトラブルが多発」?
っていうのも根拠が乏しいような・・・(ーー;)  
まぁこれはまた今度にします(苦笑)




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