コーセー ビオリス ボタニカル シャンプー・コンディショナー(スリークストレート) の解析2 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

 

大分間が空いてしまいました。

その間に業界最大の展示会があったり、化粧品犬の仕事用Macのハードディスクがお亡くなりになったり。

 

それだけでブログが書けそうなことが色々ありました(^_^;)

 

とりあえず書きかけのまま放置してあった、ビオリス(2019)の続きを書きます。

今回はシャンプー詳細解析編なんですが、正直あんまり面白くは無いんです。

 

2018年度発売品から進歩がないので、落胆したりゲンナリしたりですよ(^_^;)

しかしとっとと、かたづけないと面白い物が書けないしな。

 

そんなわけで、解析行きます(^_^;)

 

いつもの様に、裏面の処方を整理します。

今回取りあげるビオリス シャンプー(スリークストレート)(2019)のほかに。

2018年から販売されれている2種のビオリス製品のうち、今年の製品と同じココイルグルタミン酸TEAが配合されている、ビオリス ボタニカル シャンプー (エクストラダメージリペア)(2018)を選び、同様に裏面表示を整理し、並べててみます。

これで、今年の物が、どう変わったかを確認する事ができます。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

こんな感じになりました。

 

 

見て分かるように共通成分が多い。

というか、いくつかの成分が例外で、ほとんど共通の成分でできていると言っていい。

2018年度品はダメージケア、2019年度品はストレート・スリークと、製品コンセプトは違うのにこのぐらいの差しかないとはねえ。

 

解析する気が無くなるなあ・・・でも気を取り直して進めます(^_^;)

 

まず洗浄剤のパート。

2018年製品も、2019年製品も成分は基本的には同じです。

よく見るとラウリン酸PEG2という成分の有無に違いはあるが、この成分は泡は立つが効果的には増粘剤なので、洗浄効果はあまり関係ない。

あとは、配合比率が多少違う

2019年製品では、比較的泡立ちの良いスルホコハク酸系洗浄剤の比率を下げ、資生堂TSUBAKIなどに使われているココイルメチルタウリンの比率を増やしている。こうすることで、泡立ちは落ちマイルド感は増すのだが、同時にラウレス硫酸の比率を上げているので。まぁ・・・どっこいどっこいと言うことになる(^_^;)

これは両者ともであるが、ケア効果の高いココイルグルタミン酸TEAが少量とは言え配合されているのが、全体の質を高めていると思います。

 

次はコンディショニング剤、オイル類のパート。

このパートも、2018年製品と2019年製品の間でわずかしか違いがない(^_^;)

オイル類の部分は全く同じですね。

違いはコンディショニング剤で、2018年製品では2種類のポリクオタニウムを使っていたところを、2019年製品ではポリクオタニウム10に統一している。こうすることで、仕上がりの柔らかさにはやや劣るが、滑りの良さが強調されて、ややストレートヘア向けの使用感になる。2019年製品の名前はストレートスリークなので、それに合わせた変更なのだと思います。

このあたり、妥当の変更ではあります。

 

次は防腐剤のパート。

フェノキシエタノール、メチパラ、安息香酸Naの3種併用ですね。シャンプーの防腐系としてはごく普通です。これは、2019年度品でも変更なかったですね。

 

最後は、保湿剤のパート。

いろいろなエキスが入っていますが、2018年度品も2019年度品も、大部分は共通しています。

 

共通エキスについては、下の方で個別にコメントを書きましたので、興味のある方はそちらを見て下さい。

ここでは何が変更されているのかについて書いていきます。

簡単に言うと、2018年度のエクストラダメージリペアでは、大豆タンパクが配合されていたものが、2019年度のストレートスリークではPVPに、変更されています

大豆タンパクはタンパク質なので上に吸着する性質がありダメージ毛のケアには効果がある成分です。

 

これをおきかえたPVPについては下の方でコメントしましたが、この原料はどちらかと言うとヘアセット剤に使われる、成膜性の高いポリマーで、ポリクオタニウムのような、コンディショニング性のあるポリマーではありません。

毛髪上に軽く膜を作るので、ストレート系の髪には合うようです。

 

 

簡単ですが、これで解析終わり。

 

このシャンプー、使えない程ダメではないのですが、なんか、「流して作ったな・・・・」と言われても仕方ないレベル。

コーセーにしては、少しがっかりな製品です。

 

 

以下、原料ごとのコメントを書いていきます。

 

洗浄剤:

・ココイルメチルタウリンNa:AMTと略されたりする、比較的起泡の早いアミノ酸系の洗浄剤です。安全性的にはまずまず良好で、資生堂のスーパーマイルドシャンプーの主剤だったことで有名。

・コカミドプロピルベタイン;そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。

・ラウレス硫酸Na:シャンプーでよく使われる洗浄剤。ネットでの評判は悪いが、洗浄力は強めであるものの、刺激はそれほどは高くない。そもそも、ラウリル硫酸Naという刺激の強い洗浄剤の、安全性を改良した洗浄剤。

下記エントリー参照です。

 花王 メリットシャンプーの解析(前哨編2 ラウレス硫酸塩の安全性)

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12019765318.html

・オレフィン(C14-16)スルホン酸Na:泡立ちが良い洗浄剤。石油由来の合成系ではあるが、使用感が良いため、ラウレス硫酸の代替として使われる事が多い。安全性は、悪くはないがラウレス硫酸並みです。

化粧品犬ブログでは以下のエントリーで詳しく扱っています。

コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 前編(AOSの安全性について)

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12023051399.html

・PPG-2コカミド:若干泡は立つのですが、主には増粘剤として働く原料です。

・ココイルグルタミン酸TEA:ココイルグルタミン酸TEAというアミノ酸系洗浄剤は、数あるアミノ酸系洗浄剤の中でも最初期に発明されたのもなのですが(40年以上前に発明された)、コンディショニング剤を髪に引きつける力は全アミノ酸系洗浄剤の中でも、最も強いです。とりあえずこれを配合しておけば、コンディショニング剤の働きがぐっと良くなって、すすぎが滑らかになり乾燥後もしっとりになるという成分です。

ただし、泡立ちは今一つで、油に合うと泡立ちがさらに落ちると言う特徴があります。あと値段が高い原料です(^_^;)

アミノ酸系洗浄剤というのは今ではたくさん有り、中には泡立ちが良いものもあるのですが、アミノ酸系洗浄剤というとなんとなく「しっとりして泡立ちが悪い」というイメージがあるのは、このココイルグルタミン酸が長い間、アミノ酸系の王道として君臨したからです。

 

コンディショニング剤、オイル類:

・アルガニアスピノサ核油:いわゆるアルガンオイルです。軽い感触だが保湿感が高く、酸化防止能や光安定性も高い油です。

・オリーブ果実油:オリーブ油のこと。食品で使われているオリーブ油と基本的には変わらない。

・ホホバ種子油:ホホバ油のこと。 ホホバ油は酸化しにくく伸びの良いオイルです。通常の植物油は脂肪酸とグリセリンが結合した形になっていますが、ホホバ油は脂肪酸の高級アルコールエステルで構成されており、いわば液状のロウともいえる、酸化安定性に優れた油です。肌になじみやすくさっぱりした感触のため、商品に広く使われています。

・オリーブ脂肪酸エチル:オリーブ油脂肪酸のエステルで、成分的にはオレイン酸エチルとほぼ同等。粘度が低く吸収性の良い油剤です。

・ポリクオタニウム-10:もっとも良く使われているヘアシャンプー用のコンディショニング剤。別名カチオン化セルロース。コンディショニング効果のほか、線やボディソープに配合すると若干の刺激緩和効果がある。

 

防腐剤:

・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。

当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いてます。

プロピルパラベンの安全性についての文献を紹介

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12119450565.html

・メチルパラベン:比較的低刺激な防腐剤。ただし、環境ホルモンや蓄積性の点で叩かれることも多い。環境ホルモンについては多くは根拠の無い噂であるが、蓄積性についてはファンケル社が学会で報告し、報文を出している。(ただし、防腐剤の蓄積による影響は、可能性レベル)

化粧品中の防腐剤は皮膚に残り、肌にストレスを与える(IFSCC*2005 in フローレンス中間大会)

http://www.fancl.jp/laboratory/report/17.html

・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

 

保湿剤、香料類等:

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・アルテア根エキス:治癒効果が高いため、古くからヨーロッパで傷の治療に津買われてきたエキス。抗炎症、皮膚柔軟効果、収斂効果に優れます。

・ウイキョウ果実エキス:ウイキョウ(フェンネル)の果実から抽出されたエキス。抗酸化効果や、紫外線からDNAレベルで肌を防御する効果があるとされている。

・力二ナバラ果実エキス:ノバラ(ローズヒップ)より抽出されたエキス。。保湿性が高い。

・セイヨウハッカ葉エキス:セイヨウハッカの葉から取られたエキス。メントールが多く清涼感がある。また抗炎症効果やかぶれの改善にも効果がある。

・トウキンセンカ花エキス:別名カレンデュラエキス。成分はカロチノイド、サポニン、リテルペノイド、フラボノイドを含み、ii'i炎作川、鎮痛作用、発泡補助効果があるエキス。敏感肌用の化粧品に使われる事が多いエキスです。

ホホバ葉エキス:ホホバ葉由来の水抽出エキス。肌の構造、肌のハリ、バリア機能、水分消失を改善します。

・ラベンダー花エキス:抗炎症、抗酸化、抗菌、メラニン抑制に優れたエキスです

・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。

・EDTA-2Na:キレート剤と呼ばれる原料で、製剤の酸化安定性やpH安定性を向上させる。

・PG:多価アルコールとも呼ばれる、代表的な保湿成分。グリセリンと似た性質であるが、ややさっぱり感がある。油を可溶化する力が強く、皮膚への浸透性や刺激性を疑う声もある。国内では、昔の薬事法で表示指定成分として扱われていたこともあり、むしろ海外で使用されていることが多い(ただし、国内で食品添加物として許可されている成分でもある)。弱い抗菌性も有している。

・PVP:成膜性の高い(乾かすとフィルム状になりやすい)ポリマー。PVPはヘアセット剤などによく使われている

・イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油;油を可溶化する効果が、特に強い乳化剤。コーセーでは一部のジュレームシリーズの他、コーセーのヘアシャンプーによく配合されている。

・クエン酸::pH調整剤。実はクエン酸はピーリング効果のあるAHAの一種でも有り、濃度やpHによっては、ピーリング効果を発揮する。

・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤。

亜硫酸水素Na:酸化防止剤、還元剤として用いられる。

・塩化Na:いわゆる食塩。シャンプーを増粘させる効果がある。