化粧品犬です。
やっと中国出張から帰ってきました。
まるまる1週間行っていたもので、今はたまった仕事の消化に追われています(^_^;)
なので今回は、短めな、読み物的な記事をアップしますね。
内容は、ヘキサンジオールについてです。
ヘキサンジオールを知らない?
大丈夫、今回のエントリーっを読めば分かります(^_^;)
このブログを読んでいただいている方は「BG」という成分をよく目にすると思います。
BGは化粧品の裏面に書くときの表示名称で、もう少し詳しい名前としては「1,3-ブチレングリコール」といいます。
また、「1,3-ブタンジオール」ということもありますが同じ物です。
ブタンという成分の端っこ(1位)と、端から三番目(3位)に水酸基(-OH)が付いた構造です(下図)
グリセリンと似た構造の保湿剤で、パラベンなどをよく溶かす溶解効果も高く、それ自体も弱い効抗菌効果もあるという便利な成分です。
そしてこの抗菌力は炭素の長さが長くなると上がる傾向があり、ブタン(炭素数4)骨格から、ペンタン骨格(炭素数5)にしたものは、BGより強い抗菌効果を発揮します。
この炭素数5骨格の成分は、ペンチレングリコール(別名1,2-ペンタンジオール)とよばれています。
ペンチレングリコールは低刺激で、防腐剤ではないがそこそこ抗菌性も高い、良い成分なのですが、あまり使われていません。
しそれは、皮膚感作性(皮膚アレルギーを起こす)があるという症例が少数ながら報告されているのです。
とりあえずいつも頼りになる、化粧品成分オンラインさんのリンクを挙げておきます。
ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)とは…成分効果と毒性を解説(化粧品成分オンライン)
このアレルギーの発現はごく希なので、ペンチレングリコールを製品に使えるかどうか悩むところですが、知っている人には気持ちの良い情報ではありません。
ではさらに炭素鎖を長くしてヘキサン骨格(炭素数6)にしたらどうか。
ヘキサン骨格(炭素数6)のものは、ヘキサンジオールといいます。
やっと今回の本題に入りました(^_^;)
じつはこの系統の成分は、炭素数が長すぎると抗菌力の上昇とともに皮膚刺激も上がってきてしまうのですが、ヘキサン骨格(炭素数6)までんばらそれほど刺激は上がりません。
防腐力もパラベン程度にはあるようですし、なにより感作性あり(アレルギー性あり)の、致命的な報告がありません。
勿論、防腐剤にも分類されませんし。
今後、広く使われて行きそうな成分です。
しかし、ちょっと笑える問題もあります。
それはこの成分の構造を間違えている人が、とても多いと言うことです(化粧品のプロでも)。
例えばいつも頼りになる化粧品成分オンラインさん。
先ほども引用しましたが。
ヘキサンジオールについても、分かりやすく詳しい解説を、挙げてます。
1,2-ヘキサンジオールとは…成分効果と毒性を解説(化粧品成分オンライン)
しかし化粧品成分オンラインさんでも間違えてまして。
上記エントリー中で、1,2-ヘキサンジオールを「ヘキシレングリコールと呼ばれることもあります。」と書いてしまっているのです。
これは間違いです。
1,2-ヘキサンジオールと、ヘキシレングリコールは化学構造が異なる成分なのです。
(間の悪いことに、どちらも化粧品で使われる成分なのですが)
これは[本当に間違えやすい。
これまで
ブタン骨格(炭素数4)は、
1,3-ブタンジオール=1,3-ブチレングリコール=BG
ペンタン骨格(炭素数5)は、
1,2-ペンタンジオール=ペンチレングリコール
だったのですが、ヘキサン骨格(炭素数6)だけ、
1,2-ヘキサンジオール ≠ ヘキシレングリコール
なのです。
具体的に図で書くと以下になります。
まずヘキサンジオール。
主鎖が直線的な構造です。
対して、ヘキシレングリコールの構造はこちら。
こちらは主鎖が分岐構造なんです。
ヘキシレングリコールは色々な解説を読んでも抗菌性について書いていないので、抗菌性については1,2-ヘキサンジオールよりも、やや劣るようですね。
偉そうに書いてますが、実は化粧品犬自身も、1,2-ヘキサンジオールとヘキシレングリコールを混同してました(^_^;)
次回の開発品に使おうかな???と考えて、真剣に調べている内に、この2つは違う!、と言うことに気付いた次第です。
危なかった〜(^_^;)
お客さんの前で、おかしな事しないで良かった。
今回は、ちょっとマニアックなお話しでした。