牛乳石鹸 カウブランド無添加シャンプー・トリートメント(2017)しっとり 解析2シャンプー編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

今回は牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントしっとりの解析の第2回です。

シャンプー解析編をお送りします。

 

第1回のエントリーはこちら。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメント(2017)しっとり の解析1 製品概要編

 

2017/9/1にリニューアルされた製品です。

今回のリニューアルは4年ぶりとなります。

リニューアルとはいえ、もともと1種類しかなかったシャンプーが、しっとりタイプとさらさらタイプに分かれたのでケッコウ大きな改変です。

しかし使用感も含め処方もあまり変わってはいないんですよね。

たださらさらタイプのほうは、本当に微妙な変更でしかないのです。

そこで今回は、明確に処方変更されているしっとりタイプを取りあげています。

 

さてさっそく解析して行きましょう。

 

今回も例によって、裏面の処方を整理します。

今回は対象品のほかに、2013年に発売された旧製品の裏面も整理しました。

分かりやすいように末尾にそれぞれ2013、2017とつけました。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

九通の成分は、共通欄に○印をつけました。

 

こんな感じになりました。

この製品はラウレスフリーとかの要素もあるんですが、最大の特徴は保湿剤の一種でグリセリンの親戚でもある、DPGで完全防腐しており、防腐剤が不使用というところです。

こういう効果はグリセリンの親戚には多かれ少なかれあるのです。

ただDPGはそれがやや強いので少ない量で済む。それでも10%以上は配合しないと防腐できないので、」けっこうなおコストアップ要因だと思います。

もうひとつの特徴は、ココイルグルタミン酸のNa塩の使用です。

普通へアシャンプーでココイルグルタミン酸を使うといえば、TEA(トリエタノールアミ)で中和した、ココイルグルタミン酸TEAを使うのが定番です。実はジュレームもヌーディオーラもモイストダイアンも、みんなココイルグルタミン酸TEAを使っています

ココイルグルタミン酸TEAの方が、しっとり感が出やすく、使用可能なpH範囲が広いからです。

ただNa塩のほうが値段が安く、印象的には安全そうなイメージがある(実際には安全性は同等です)。

その辺の理由で牛乳石鹸さんはNa塩を選んでいるんだと思いますが、使用感的には相当に不利です。

今回のリニューアルでも、上記の2点は変更ありませんでした。

頑固に個も2点を守っているのも、この製品の特徴とも言えるかもしれまsねんが、平凡なリニューアルとも見えてしまいます

 

 

では表に沿ってみていきましょう。

まず洗浄剤のパート。

アミノ酸系洗浄剤のココイルグルタミン酸Naの配合は多いのですが、裏面上は両性洗浄剤のコカミドプロピルベタインの方が多いです。まあ、コカミドプロピルベタインは安いですから(^_^;)

ただ、ココイルグルタミン酸のNa塩は、ココイルグルタミン酸2Naとココイルグルタミン酸Naのように分けて書かれるモノなのです。

ココイルグルタミン酸は中和するところが2個あるので、1個中和している物はココイルグルタミン酸Naと表記され、2個中和している物はココイルグルタミン酸2Naと表記されるのですが、シャンプー用のものは、中途半端に1.8中和されているのです。

そこで、コイルグルタミン酸2Naとコイルグルタミン酸Naに分けて表記されているのです。

そんなわけで、コイルグルタミン酸2Naとコイルグルタミン酸Naを足したモノが、真のコイルグルタミン酸のNa塩の量となるので、実際にはアミノ酸系洗浄剤の配合量は、両性洗浄剤にもっと近い可能性もあります

カタログによると、コイルグルタミン酸2Naとコイルグルタミン酸Naの比率は4:1です。

 

他の原料でについては、旧製品ではスルホコハク酸ラウレス2Naという原料が使われていまあいたが、これは安全性は両性洗浄剤なみ確保されており、かつ比較的起泡が速い洗浄剤でした。新製品ではこれを、比較的起泡の速い両性洗浄剤のココアンホ酢酸Naと安全性の高いエーテルカルボン酸(ラウレス-4カルボン酸Na)の組み合わせに変えることで、起泡の速さを維持しつつ安全性を高めようとしています。

ただ一般に両性洗浄剤といえばコカミドプロピルベタインが常に使われているのは伊達ではなく、使用感ではココアンホ酢酸Naはコカミドプロピルベタインに劣ります。ラウレス-4カルボン酸Naも、泡立ち・使用感ともイマイチなので、使用感的には、やや後退という感じです。その分は、この後解析する、コンディショニング剤を強化して補うって感じなのかもしれませんが。

 

というわけで、次はコンディショニング剤、オイル類のパート。

ここは旧製品よりも大幅に強化されています。

旧製品では、ヘアシャンプー用の汎用的なカチオン化ポリマーであるポリクオタニウム-10しかはいっていなかったのに、新製品ではポリクオタニウム-50とカチオン化グアーガムの併用となり、さらにアミノ酸系のカチオンであるココイルアルギニンエチルPCAまで配合されています。

ポリクオタニウム-50と言う原料は化粧品犬も初めて見たのですが、泡立ちを良くして髪も滑らかにする、ポリクオタニウム-7に似た原料のようですね。カチオン化グアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)は、昔からありますが最近また流行っているカチオン化ポリマーですね。TSUBAKIなんかに使われています。

ココイルアルギニンエチルPCAは、アミノ酸系らしく安全性は高いのですが抗菌効果も高く、スキンケア製品の防腐に使われることもある原料です。またヘアケアではコンディショナーに使われたり、最近はあまり見かけないのですが、この製品のようにシャンプーのコンディショニング剤として使われることもあります。ただもともと髪に吸着しやすいアミノ酸のアルギニンを、さらに吸着しやすくしたような成分なので、吸着しすぎて、髪に硬さや、ごわるきなど、いまいちな使用感を与えてしまうことも多いんです。

制御が難しいという感じです。しかもシャンプーに入れた場合沈殿なども起こりやすい。

牛乳石鹸さんがこの原料を無添加シャンプーに使用したのは、かなりの冒険であり、相当検討したんだろうな・・・と思わせます。

しかし、このコンディショニング剤のパートの工夫を持ってしても、コイルグルタミン酸のNa塩を使用していては、使用感の向上はなかなか難しいです。TEA塩なら、]汎用的なポリクオタニウム-10でも、使用感は上がるんですが。

 

次は防腐剤のパート。

ここは何も配合されていません。DPGで防腐してあるのです。

 

最後は保湿剤などのパート。

弱い抗菌効果のある保湿剤DPGが、水の次に配合されています。上の方でも書きましたが、コレで防腐しているので、化粧品犬の予想では10%以上配合されていますね。

あと、セテアレス-60ミリスチルグリコールと、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタンは、アミノ酸系洗浄剤専用の増粘剤です。特にセテアレス-60ミリスチルグリコールの方は結構古いので、アミノ酸系洗浄剤を検討している人は、みんな知っていると言うほど有名な原料です。逆にアミノ酸系洗浄剤を検討したことがない人には全く知られていない原料でもあります(^_^;)

ただ、この2種類を併用する製品は珍しいですね。

 

あと裏面を見る限りアミノ酸の一種のPCANaが、やはりアミノ酸の一種のベタインに変更になり、また乳化剤的な効果のあるコハク酸ジエトキシエチル(HLB=6)が新製品では省かれています。ベタイン昔からある原料(保湿剤)なんですが、は花王も使って利してリバイバルの兆しアリなんで、流行に乗っかったのかな(^_^;)

 

 

コレで解析終了。

 

今回は新旧あまり差が無いので、ココイルグルタミン酸NaをDisり気味に書いてしましたが、全て化粧品犬の個人的な感想です。

むしろこれをある程度配合した良いシャンプーがあったら、化粧品犬に教えてください(^_^;)

 

また「ココイルグルタミン酸TEAの使用感の良さって何?」と思われる方もいるかのしれません。

本文中ではわかりやすいようにジュレームをたびたび引き合いに出しましたが、世の中に「ココイルグルタミン酸TEAを使ったアミノ酸系シャンプー」を認知させたのは、歴史的には、やはりレラですね。

さすがに30年前の製品なので、使用感は粗いところまあり今から使う必要は無いですが、ココイルグルタミン酸TEAを認知させた、歴史的な一品です。

本文中で「ココイルグルタミン酸TEAの良さ」と書いているところは、このレラ的な良さだと思ってください。

ココイルグルタミン酸Naはいくらいじっても、このレラ的な良さは出てこないのです。

 

 

次回はトリートメント解析編です。

 

あとは原料ごとのコメントを書いていきます。

 

 

洗浄剤

・コカミドプロピルベタイン;そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。

・ココイルグルタミン酸2Na:ココイルグルタミン酸2Naやココイルグルタミン酸Naは広いpHに対応が難しい(結晶が出やすい)ので、弱酸系の処方を作るのはやや難しいという欠点があります。

・ココアンホ酢酸Na:そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。コカミドプロピルベタインより安全性がやや高く、泡切れも良いため、ベビーシャンプーや身体用洗浄剤に使われることが比較的多い。

・ラウレス-4カルボン酸Na:酸性石けんとも言われる刺激の低い洗浄剤。ただし、泡立ちは良く無く、しっとり系の洗い上がりになる。

・ココイルグルタミン酸Na:ココイルグルタミン酸のNa塩の表示上の片割れです。一般的にシャンプー用のココイルグルタミン酸のNa塩は、ココイルグルタミン酸2Na:ココイルグルタミン酸Na=4.1の割合で含まれています。(全てココイルグルタミン酸2Na)の製品もあります)

 

コンディショニング剤、オイル類

・ポリクオタニウム-50:別名ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液。洗浄剤処方へ添加することで、クリーミーで弾力感のある泡にします。すすぎが早く、残留感はありません。ヘアケアでは、使用後の毛髪に柔らかな仕上がり感やシリコーンのような滑らかさを与えます。

・グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:昔から使われているカチオン化ポリマーの1つだが、最近よく使われるようになっている。

・ココイルアルギニンエチルPCA:ココイルアルギニンエチルPCAという成分は、吸着性の高いアミノ酸であるアルギニンの吸着性を、さらに強化したようなカチオンです。

髪に吸着しすぎて使いこなすのがむずかしい素材なので、あまり使う会社も無い素材

 

保湿剤など

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・DPG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。やや抗菌性がある。ネットでは安全性について疑問の声もあるが、ほぼ誤解だと思われる。詳しくは以下のエントリーに書きました。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性

・トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン:実はアミノ酸系洗浄剤は、増粘させるのが難しい。特にアミノ酸系洗浄剤の配合量が多くなると、数種類の増粘剤しか効果が出せなくなる。この原料はアミノ酸系洗浄剤が主剤であっても増粘できる、数少ない原料の一つ。

・セテアレス-60ミリスチルグリコール:実はアミノ酸系洗浄剤は、増粘させるのが難しい。特にアミノ酸系洗浄剤の配合量が多くなると、数種類の増粘剤しか効果が出せなくなる。この原料はアミノ酸系洗浄剤が主剤であっても増粘できる、数少ない原料の一つ。トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタンより古くから知られていた。

・ベタイン:サトウダイコン等から抽出される植物系アミノ酸。保湿効果が主な作用で、良い意味で他の効果は無く、成分としても安定。どんな用途にも使いやすい保湿剤。

・クエン酸:pH調整剤。