化粧品犬です。
今回は牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントしっとりの解析の、第3回です。トリートメント解析編をお送りします。
カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントしっとりの解析は今回で最終回です。
2017/9/1にリニューアルされた製品です。
今回のリニューアルは4年ぶりとなります。
しかしこのトリートメント、あまり変更点がないんですよ。
たった1種類の原料が、変更されてるだけです(^_^;)
でも、もう一つのトリートメントである、さらさらタイプは、もっと変更がない。
さらさらタイプは新規原料がなく、旧製品の組成の順番を変えただけ(配合比率の変更に相当する)なんです。
なので、必然的に、しっとりタイプの方をとりあげるしかない(^_^;)
しかし既に旧製品のエントリーをかいてしまっています。こちら。
牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析3 トリートメントしっとり解析編2016.1.14追加
ので今回、軽く行きます(^_^;)
今回も例によって、裏面の処方を整理します。
今回は対象品のほかに、2013年に発売された旧製品の裏面も整理しました。
分かりやすいように末尾にそれぞれ2013、2017とつけました。
原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。
九通の成分は、共通欄に○印をつけました。
こんな感じになりました。
表からわかるように、リニューアルでの変更点は、油剤のハートのトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルが、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルになっただけ。
さすがにこれだけじゃ、大きくは変わりません(^_^;)
といってもコレで終わり、だとつまらないので、旧製品の解析エントリーとかぶる事が多いと思いますが、上から順位解析して行きます。
まず、ワックスのパート。
水添ナタネ油アルコールとミリスチルアルコールが使われています。
普通ここにはセタノールが入るのですが、これらはその代替です。
昔はセタノールは表示成分に指定されていたので、これらで代替する技術は、昔から使われてきました。
表示成分に指定されていたのは、防腐剤など刺激の強い原料が多かったのですが、なぜセタノールが規定されていたのか・・・、さっぱりわかりません(^_^;)
セタノールなんて刺激も無いのですが・・・、昔は品質の低い物が出回っていたのかも?
牛乳石鹸さんは、それを踏まえて、このセタノールの代替技術を持ってきたのでしょうが、実際的な意味はないです。
次はコンディショニング剤のパート。
トリートメントの基剤として使われているのはベヘナミドプロピルジメチルアミンです。
これは保湿剤のパートに分類した乳酸に、処方中で中和されることで、コンディショニング効果を発揮します。
ベヘナミドプロピルジメチルアミンは三級アミンと言われるコンディショニング剤で、広く使われているベヘントリモニウムクロリドに比べると、安全性や生分解性は良いのですが、しっとり感や髪の柔らかさなど使用感的にはかなり劣ります。
ベヘナミドプロピルジメチルアミンは、花王も使っていました(今も使ってます)。
花王なんて、昔のアジエンスでは、使用感の今一つな三級アミンを2種類併用で使っていたりしました(ベヘナミドプロピルジメチルアミン+ステアロキシプロピルジメチルアミン)。
花王 アジエンス(2016)ふんわり弾力タイプの解析3 コンディショナー処方解析編
2014年の頃ですね。
人によって感想は違うと思いますが、この2014年頃から2016年にアジエンスMEGURIが出る前辺りが、アジエンスの人気はどん底の時期だったように思います。
今の花王さんは牛乳石鹸酸と違って、今ではベヘナミドプロピルジメチルアミンとはほぼ縁を切り(^_^;)、ステアロキシプロピルジメチルアミンは使ったり使わなかったりなんですが、使う場合も普通のコンディショニング剤の四級カチオンとの併用にして、三級アミンの使用比率を大きく下げています。
アジエンス人気も、今の方が回復した感がある(^_^;)
次は油剤のパート。
唯一の変更点がありますね。
旧製品のトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルが、新製品ではテトライソステアリン酸ペンタエリスリチルに変更されています。
ペースト状のオイルだったトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルに比べ、新しく配合されたテトライソステアリン酸ペンタエリスリチルはメイク物にも使われる、特にツヤの出やすい油なので、しっとり感を向上させる事に少しは寄与しそうでは、ありますね。
変更がこの1点だけっていうのは、どうかと思いますケドね(^_^;)
あと油剤で一番多いのは、ジステアリン酸ペンタエリスリチルという油です。
この油は採用している製品もすくなく、謎が多かったのですが(いつも頼りにあるCosmetic Infoさんにもメーカー情報が載っていない!)。よく調べたらメーカーは紫外線吸収剤で有名なBASF。BASF内での商品名はCutina®PESといい、乳化安定に効果のあるワックス状の固形油でした。この製品はセタノールの所を水添ナタネ油アルコールとミリスチルアルコールで代替しているので、そうしてもクリームが弱い。そこを補助しているようです。
最後は保湿剤のパート。
DPGは保湿剤兼防腐効果。これはシャンプーと変わりません。
乳酸は前述のように、コンディショニング剤であるベヘナミドプロピルジメチルアミンの中和用途です。
これで解析終わりです。
うーん、書くことがないなあ(^_^;)
DPGで防腐なんてしている特異な製品のリニューアルなのに、新鮮さがなさ過ぎる。
せっかくのリニューアルなんだから、新しいことをやって欲しい。
牛乳石鹸さん、頼みます!
あとは原料ごとのコメントを書いていきます。
ワックス
・水添ナタネ油アルコール:菜種油から作られたワックス。セタノールやステアリルアルコールなどの代替品として使われる。
・ミリスチルアルコール:セタノールやステアリルアルコールなどの代替品として使われる事の多い固形油。鎖長がやや短いため、柔らかいクリームになりやすい。
コンディショニング剤
・ベヘナミドプロピルジメチルアミン:ステアロキシプロピルジメチルアミンと同じ三級アミン類の一種であるが、疎水基が大きくなり、使用感が改良されている。花王のアジエンスのほか、クラシエのヒマワリオイルコンディショナーにも、サブのコンディショナー基剤として採用されている。
・アルギニン :髪や皮膚に対して、最も吸着性の高いアミノ酸の一つ。
油剤
・ジステアリン酸ペンタエリスリチル:ペンタエリスリトールにステアリン酸を結合させた原料であり、とくにW/O乳化物の安定性を向上させ、使用感を高める効果があります。融点48-52℃のワックス状の油です。日本語の資料が少ないので調べにくい原料ですが、販売会社はBASF社で、BASFでの商品名はCutina®PESといいます。
・テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル:イソステアリン酸エステルの中では重みがあり、リッチな使用感の油。ダメージ毛の摩擦を軽減する効果がある。ツヤに優れるため、メイクアップ処方にも向いている。
・パルミチン酸セチル:パルミチン酸とセタノールから作られる固形油で、エステル油の一種です。これを配合すると、べたつかず、滑りの良い感触を与えます。
・ジメチコン:化粧品では一般的に使われているシリコン油。
保湿剤、増粘剤他
・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。
・DPG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。やや抗菌性がある。ネットでは安全性について疑問の声もあるが、ほぼ誤解だと思われる。詳しくは以下のエントリーに書きました。
牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性
・乳酸:pH調整剤。AHAの一種でも有り、pHによってはピーリング効果を示すこともある原料