1. はじめに――『三ツ星カラーズ』もっと評価されるべき
気が付けば2018年冬クールが終わり、すっかり暖かくなりました。
例によって生きてます。
やたら素晴らしい作品だらけだった2018年冬クール、ドハマりした作品がまた1つ増えました。『三ツ星カラーズ』です。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
私は超ゝ熱しやすい性格なので、ハマるときの瞬間的な熱量がめっちゃ高いです。
なので、瞬く間に全話視聴し、原作も買い揃えました。
思えば、『三ツ星カラーズ』は、好きにならないわけがない作品だった。
女の子三人組が上野の平和を守るヒーロー「カラーズ」として、日々奮闘する物語。
プリキュアとはまたテイストの異なる作品ですが、プリキュアを愛する私のツボをグーッと押してきた作品であったように思います。
ところで、このまえ上野をぶらぶらと散策して『三ツ星カラーズ』で描かれていた場所の写真をパシャパシャ撮ってきました。いわゆる「聖地巡礼」というやつです。
今日は『三ツ星カラーズ』の試論と共に、『三ツ星カラーズ』聖地巡礼記をお送りします。
『三ツ星カラーズ』のファンの方でも、全くノーマークだった!という方でも、
「『三ツ星カラーズ』いいよね!」という共感を覚えてもらえるような、
そんな記事を書いていければと思います。
2. 都市空間アニメとしての『三ツ星カラーズ』
この作品の魅力は、舞台である上野がとてもリアルであると同時に、とても魅力的に描かれていることに多くを負っていると思います。
今回は「聖地巡礼記」でもあるので、アニメ画像を普段よりも多めに引用させていただきます。
『三ツ星カラーズ』が描いてきた上野が、すごくリアルであるということを感じていただけるのではないかと思います。
(あと、本稿の上野の写真は実際に私が歩き回って撮影したものを使っています)
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
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このように、アニメのキャプチャーを集めるだけでも実際に上野を散策しているような気がして楽しくなっていたのですが、実際に『三ツ星カラーズ』を読み込み、視聴を繰り返した後に上野の散策をすることは、本当に楽しかったです。
それなりに知っていたはずの上野という街の、新たな魅力をたくさん発見することができました。
そして、<フィクション>を通して新たな<リアル>を発見することができることが、「文学作品」に限らず<作品>(私が使う<作品>という言葉は、文学作品・藝術作品・アニメ・マンガ・ゲームなんでも含みます)がもつ大きな魅力だと思っています。
だから、私は日々<フィクション> を研究しているわけです。
また上野行きたくなってきた。今度は動物園と科博に行きます。
3. 「コドモ」と「オトナ」の境界線
そんな(もうすでに十分平和な)上野の平和を守るべく、日々奮闘する3人組の女の子がいます。それが「カラーズ」なのです!
さっそくメンバー紹介いってみましょう。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
まずは青の子。琴葉!ことちゃん!
いつもゲームを片手に握りしめるゲーム厨。人の頭を踏んづけたがり物騒な物言いをする青いクソガキ。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
続いて黄色の子。さっちゃん!
中身は完全に小学校低学年男子のウンコ大好きウンコマン。なんかたまにいるよねこういう女子。
の割には「わたしかわいい!」を常に連発する。とにかく五月蠅い黄色いクソガキ。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
最後は我らがカラーズのリーダー。やはりリーダーは赤色じゃないと。結衣ちゃん。
この子、一見マトモそうな常識人枠と見せかけて、自分の持つとんでもない狂気に自覚すらしていないという一番タチの悪いクソガキです。
私は第8話の科博の回で「小さい時に来たときは骨ばっかりで博物館怖いなーって思ったんだけど今はもう大丈夫!怖くない!」という趣旨の発言をした直後、展示されている人骨を指さして「あはは変なポーズ!」と無邪気に笑顔を浮かべるシーンに、なんか言いようのない狂気を感じて戦慄しました。
そんな3人で結成されたカラーズは、今日も上野の平和を守るために日夜(門限の17時までですが)奮闘しています。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
本作では「コドモ」と「オトナ」の対比が明確になされており、そのことはOPテーマの『カラーズぱわーにおまかせろ!』にも表現されています。
どーしたら どーしたら みんなを守れるかな?
ちょっと待って! 相談するよ
オトナっていそがしい いそがしい まかせられない
そうだ この街のことは
カラーズぱわーで なんとかしようっ
『カラーズぱわーにおまかせろ!』(作詞:畑亜貴)
どんなとき どんなとき 面白くなっちゃうかい?
もっともっと調べなきゃ
オトナって元気かな 元気じゃない コドモは元気だ
じゃあさ ぜんぶおまかせて?
カラーズぱわーで かつやくしようっ
『カラーズぱわーにおまかせろ!』(作詞:畑亜貴)
本作で登場する上野の「オトナ」は皆すごく優しくて暖かい本当にいい人たちですが、カラーズの3人に比べると恐ろしく無力でちっぽけな存在です。
想像力を柔軟に働かせて、上野の街を駆け回りながらどこまでも無限に遊んでいる3人に比べて、当然ながら「オトナ」たちは日々の仕事をこなしながらカラーズに接しています。
いつもカラーズに楽しい「事件」を提供するオヤジさえも、やっぱり「オトナ」です。
第3話のラストシーン。オヤジはカラーズに尋ねてしまいます。
「おーいカラーズ!この街は好きか?」と。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
カラーズが上野を愛していることは、あまりにも自明です。そうでなかったら、「上野を守るカラーズ」を結成するはずがありません。そんなことは普段のカラーズを見ていれば明らかなはずなのに。オヤジは訊いてしまったわけです。
そんなオヤジの愚問とも言える質問に、さっちゃんはこう答えます。
「全然だなー!」
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
このシーン、すごく好きです。『三ツ星カラーズ』を象徴する名シーンだと思います。
ここで、「大好き!」と答えていたらただの「いい子」になってしまいます。というか、それじゃプリキュアになってしまう。
この子たちは本当に根っからのクソガキです。「オトナ」の思惑通りには全くならない「コドモ」です。だからこそ、面白くて、愛おしい。
『三ツ星カラーズ』は、不思議な魅力を秘めた作品であるように思います。
この「不思議な魅力」をうまく言語化できないのがとてももどかしいのですが、上野の描き方にしても、人々の描き方にしても、「一言ですぱっと言い表せるようにはうまく分析できない感じがある」ということは指摘しておきたいと思います。
つまり、『三ツ星カラーズ』で表象された街も人々も、多様な表情を見せていたように感じるのです。
なんだか、今後も参照し続けた上で、いつかきちんとアカデミックに扱う作品になる気がします。
4. ニューフルーツのバナナミルク(Mサイズ:300円)
最後に。聖地巡礼の出発点となりゴール地点ともなったアメ横のニューフルーツを紹介します。
看板がまんまその通りなのですが、ここはさっちゃんの実家「黄瀬フルーツ」のモデルとなったお店です。
(C)2017 カツヲ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/三ツ星カラーズ製作委員会
ニューフルーツの店員さんとも『三ツ星カラーズ』の話をしました。
「急に聖地になってびっくりしました」という話が印象的で面白かった。
お店には、『三ツ星カラーズ』にまつわるグッズが色々と飾ってありました。
メインキャスト3人のサインもありました。
お店には、カラフルなフルーツを販売している場所と、窓口スタイルのジューススタンドの二つの区画がありました。私はそこでバナナミルクを注文しました。
ジューススタンドの隅には椅子とテーブルがあり、ジュースを座っていただくことができます。テーブルの上には「聖地巡礼メッセージノート」が置いてありました。
このノートには色々な場所から聖地巡礼に来た人々の、『三ツ星カラーズ』と上野への愛あるメッセージが記されていました。私も記してきました。
「願わくば、カラーズがずっと上野の平和を守り続けますように」と。